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#7 読書記録(発達障害に関する本)

リワーク専門の心療内科の先生に「働きながら発達障害と上手に付き合う方法」を聞いてみました 

著者 亀廣聡 夏川立也
2022年9月1日 初版出版
発行所 ㍿日本実業出版社


◯本の内容

大人の発達障害の特徴や発達障害との付き合い方、それをどう改善して復職するかを物語のように記している本です。
この本の登場人物は著者である亀廣先生以外は全て架空の人物であり、実際の患者さんをモデルにしているわけではありません。
亀廣先生以外の主な登場人物は4人。
それぞれ別の視点から「大人の発達障害」に向き合っているので、発達障害当事者のみの視点、治療者の視点のみではないというのが私にとって新鮮でした。

また多くの精神科医の診断方法や薬に頼る治療方法に対して問題提起しているというのもこの本の大きな特徴だと思います。

※薬を処方すること自体が悪いというわけではなく、短い診察時間で簡単にうつ病や発達障害と診断し、集団認知行動療法やリワークプログラム等を視野に入れず薬を処方するという選択肢のみに頼っているパターンが多いということに対しての問題提起だと私は感じました。



◯この本の面白い点

ここは少し私のオタクな部分が出てしまうのですが、この本の著者は私とかなり趣味が合うと感じました。
幼い頃からZARDが好きで、ドラゴンボールも見ていた私からしたら面白いネタが散りばめられていました。


・章ごとのタイトルがZARDの曲名になっている、また登場人物のうちの1人の名前が「泉水」であること(ZARDのボーカルは坂井泉水さん)

・亀廣先生の病院のスタッフさん達のあだ名がドラゴンボールのキャラクター名になっている(亀廣先生→亀仙人、他にも天津飯、クリリンピッコロ等出てきます)

また上記以外にも亀仙人こと亀廣先生のお茶目な部分が所々に散りばめられていて、読む時に程よくリラックスしながら読めたので、普段あまり本を読まない人でも読みやすいかもしれません。


◯印象的だった点

・薬についての説明
私は現在「イフェクサー」「メイラックス」、そして発達障害の方によく処方されている「コンサータ」を服用しています。
外出先等で不安や緊張から気分が悪くなることがあるので、その際は「アルプラゾラム」を服用することもあります。
私は医療従事者ではないのである日先生にこの薬を処方することを言われてもその効果や危険性が全然分かりませんでした。

「ADHDの傾向がありますね」
「眠気がかなりひどいみたいなので、コンサータっていう薬処方しますね」

こういった説明しかありませんでした。
この本の中には名前は出てきませんが、おそらく「コンサータ」、またはそれに似ているであろうという薬についての説明や危険性について書かれています。
私もこの本を読む前にコンサータについて自分でネットで調べて少しは危険性を知ってはいましたが、その薬自体の構造や成分に関しては考えたことはありませんでした。
先生には薬の処方についての相談や薬についての説明をして欲しいと改めて思いました。
ちなみに「メイラックス」と「アルプラゾラム」は現在お世話になっている先生に説明を受けた上で処方していただきました。

現在地元でお世話になっている先生は比較的患者の話を聞いてくださる方だとは思いますが、東京でお世話になっていた先生方(2か所通ったことがあります)は「今回薬どうします?」みたいなテンションで聞いてくる先生だったので「薬に詳しくない患者の私に聞かれても……」と当時から思っていました。


・リワークプログラム、集団認知行動療法 
  ⇨「共助の保証」


自分のネガティヴな一面を曝け出すこと、相手(仲間)のネガティヴな部分を聞くことでそれらを分かち合うこと。
これが治療として有効であるということが書かれていました。
現在私はカウンセリングや認知行動療法は受けていませんが、薬だけに頼るだけでなく「誰かに頼る」治療を受けてみようかなと心が動きました。

また「発達障害」は自分だけでなく周囲の人の理解や職場での配慮が必要だということがこの本にはしっかり書かれていました。
最初の方にも書きましたが、この本は当事者・治療者視点だけでなく、当事者の家族、企業側の視点でも書かれています。
この本には一貫して「周囲の協力無くして発達障害の治療はできない」ということが記されていて、これは発達障害だけでなく他の障害や病気にも通じることだと感じました。

◯全体を通しての感想

個人的に読みやすく、思っていた以上にスラスラ読めましたし、希望が持てる終わり方で物語としても好きでした。
この本を通して改めて大切だと感じたことは大きく2つあります。

①先生との相性
私も亀仙人こと亀廣先生のような丁寧な先生に最初から出会いたかった……と思いました。
発達障害について、薬について、治療方法について……こんなにもしっかり患者に向き合って診断してくださる精神科医・心療内科医ってどのぐらいいるんだろう。
病院や先生側にも都合があるのはわかるし、診察は慈善事業じゃないしできる限りたくさんの患者を診察する必要がある。

でもその患者一人一人に悩みがあって、これまでの歩みがあって、人生がある。
体調が悪くても必要だから頑張って通院している人もいる。
これ以上どうすれば良いかわからなくてとにかく駆け込む人もいる。
初めての診察で緊張しながらも病院にやって来る人もいる。

もっと患者の気持ちに寄り添ってくれる先生が増えればと願うばかりです。

そう強く思うのには理由があります。
私は以前通っていた病院で自分の体調についてその場で上手く説明できない可能性があることを踏まえて資料(といっても簡単なグラフとそれについての説明、疑問点をまとめた簡易的なもの)を作って診察に臨んだことがあります。
その際その資料をほとんど先生に見てもらえず、先生は疑問点が書かれた部分にチラッと目を通しただけで私は悪い意味でびっくりしました。
その頃は一時期あまりなかった希死念慮が再び酷くなっていた時期で「社交不安障害」の診断しか下りていないという状態でした。

「でも本当に社交不安障害だけ……?昔診断された適応障害が再発したんじゃないか?でもなんか違う気もする……それともまさかうつ病……?」

そんな不安が渦巻いている状態で先生にはまともに資料を見てもらえず精神的にかなりショックを受けました。休日に頑張って診察に来たのに……
そして私は意を決して聞きました。
「希死念慮が最近急激に酷くなっていて楽しいことをしている時でも気分も沈むことがかなり増えました。これも社交不安障害のせいですか?」

「さあ、わからないですね」

お大事にどうぞ、という先生の無情な言葉が聞こえてきて私は震える声でありがとうござました、と告げて診察室を出ました。

この経験やその他の理由からその後転院し、そこでうつ病の診断も下りました。
コンサータを処方した先生はこの転院先の病院の先生です。
最初の病院よりは私の体調について耳を傾けてくれるしマシだと思ったけど、薬の説明やADHDの診断テストの説明とか色々足りていない先生だったなぁ……と今では思います(笑)
「ADHDの傾向がありますね〜」とだけ言われても……

現在は地元宮崎に戻ってきているのでまた別の病院に通院しているのですが、今の先生は体調について聞いてくれるのはもちろん、語り口が優しく物腰柔らかい雰囲気の先生なので変に緊張しすぎず質問もしやすいです。
先生との相性は大事だと思うので、「この先生あまりにも酷い」と感じたら転院するのも一つの手だと思います。 

②精神疾患の根本的な治療(※人による)
少し前に現在お世話になっている先生からカウンセリング等の紹介もしていただき金銭的な面から保留にしていたのですが、最近無事自立支援の申請も通ったのでカウンセリングとか受けてみようかな……と思い始めました。
この本を通して、たとえ自分がこのまま薬の服用を続けたとしても効果はあるだろうけど根本的な解決にはならないのかもしれないと思ったからです。
自分の考え方や認知そのものを変えたり、そうなるに至ったトラウマにも(無理しない程度に)向き合う必要があると感じました。
そのためには専門家であるカウンセラーさん達のお力を借りたほうが良いのかなと。
保険が効かないのは辛いけど……(笑)
将来のための先行投資と思って思い切って申し込んでみようかな。



思っていた以上に長文になってしまいました。
最近はこの本以外にも障害年金に関する本を読んでいるのですがそちらは内容が完全に制度についての説明なので、本に関する記録は投稿したとしてもこの記事に比べたら簡潔なものになると思います。

ここまで読んでくださりありがとうございました。

kuma

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