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#根付余話

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2023年「卯年」なので、今まで創った『うさぎ』を並べてみました! 《 後編 》

2023年「卯年」なので、今まで創った『うさぎ』を並べてみました! 《 後編 》

《 後編 2017年〜2022年 》●2017年
ピンクアイボリーの眼を持つ白兎。 「ぶらり」とも呼ばれる着物の帯からブラブラ提げて使う“提げ飾り”です。

●2021年
白兎の鈴を模した根付。“難を転じる”と言われ厄除けの縁起物「南天」を血赤珊瑚で象嵌。

●2022年
青竹の上に乗る雪兎。眼には南天の実、雪の結晶を身にまとう。

●2022年
実はカメのことが大好きな 「うさぎ」。 亀と紐で

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2023年「卯年」なので、今まで創った 『 うさぎ 』 を並べてみました! 《 前編 》

2023年「卯年」なので、今まで創った 『 うさぎ 』 を並べてみました! 《 前編 》

《 前編 2004年〜2013年 》●2004年
根付の工程見本用に創った“可愛くないうさぎ”。 今でも根付の講義や講演で活躍する作者愛蔵の根付。

●2008年
手鞠と遊ぶモフモフの耳長うさぎ。うさぎ自身も鞠のようにコロンとしたフォルムに。

●2009年
血赤珊瑚の眼が可愛い跳ねうさぎの帯留

●2010年
黒兎を大黒様に見立てた縁起の良い根付。白い袋を背負っている姿が可愛い。

●2010年

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『 歌舞伎根付ができるまで 』 〜 終盤編 〜

『 歌舞伎根付ができるまで 』 〜 終盤編 〜

いよいよ終盤、完成までの過程を画像とともに紹介していきます。

●制作過程を画像で追う ㉔〜㉚完成前回、序盤編は鯉の眼玉の象嵌の埋め込み穴を彫って仮組みして終わりましたので、彫りを仕上げて本染めをして完成させます。

㉔ 人物の目を彫り、鯉と目線が合うよう瞳の位置を決めていく

㉕ 着物の柄や、人物の髪の流れを慎重に少しずつ彫り込んでいく

㉖ 最後に鯉の全ての鱗(おそらく300枚近く…)に細かい

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『 歌舞伎根付ができるまで 』 〜 中盤編 〜

『 歌舞伎根付ができるまで 』 〜 中盤編 〜

序盤編に続き、歌舞伎の演目「鯉つかみ」を根付にするまでの中盤編は、仕上げ彫りから象嵌の過程を画像で紹介していきます。

●制作過程を画像で追う ⑱〜㉓前回 ⑰ 左刃を使って仕上げ彫り〜鯉のウロコの下彫りから「さあ、ウロコの本彫りへ!』とすすめる前に、重要な確認&インプット作業をしなければなりません

⑱ 胸ビレを掴む「手の動作」を自分の手で確認する

⑲ 腕の筋肉構造を意識しつつデフォルメさせなが

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『 歌舞伎根付ができるまで 』  〜序盤編〜

『 歌舞伎根付ができるまで 』 〜序盤編〜

● 注文からラフスケッチまで① 歌舞伎の演目 『鯉つかみ』の根付を創って欲しいとご注文をいただく

② 「鯉つかみ」の浮世絵や「鯉」の資料をひたすらかき集める

③ 資料を凝視して頭の中にそれらの映像を叩き込む

④ 「鯉つかみ」と「鯉」で脳内が飽和状態になりしだい 『根付』のカタチにデフォルメする

⑤ 脳内で出来上がったイメージをいそいで落書き帳に描きうつす

● 制作過程を画像で追う⑥材料の

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「鳴蝉潔飢」(めいせんけっき)な根付

「鳴蝉潔飢」(めいせんけっき)な根付


気高く清らかな蝉は「露」を糧とする蝉は羽化したあとは何も食べずにいると昔は思われていたらしく
(実際は木の樹液などを吸っているのですが)

“飢えても俗世の食べ物を口にせず「露」だけを糧にして生きる気高い生き物”→【信念を変えず気高く高潔な心を持つことのたとえ】として
この
鳴蝉潔飢
という言葉ができたと言われています。

また蝉は幼虫の姿で地中で何年も生き続けたのち、地上に出て羽化して成虫とな

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大いなる幸せを運ぶ小さなツバメの根付

大いなる幸せを運ぶ小さなツバメの根付

“ 福ら雀 ” ならぬ「福らつばめ」「つばめ」は日本でも昔から縁起の良い鳥として親しまれ、着物などの紋様や装飾図案にも好んで使われていますが、どちらかというと尾羽がスラリとしたシャープなフォルムで描かれています。

やはり縁起の良い鳥の図柄として昔から好まれているのが「福ら雀」。
寒さの中、羽を膨らませたコロンと丸いその姿が、食べ物に困ることなく丸々肥えているように見え、それが豊かさと子孫繁栄のシ

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将棋駒と戦国武将を融合した根付 『 戦国駒シリーズ 』

将棋駒と戦国武将を融合した根付 『 戦国駒シリーズ 』

もの心ついた頃から「将棋の駒」はとても身近な遊び道具でした。
幼稚園の頃はなんと言っても “ 将棋くずし ” と “ はさみ将棋 ”が大のお気に入りでよく父に相手をしてもらっていた記憶があります。

正当な「将棋」は、父と兄が指しているのを横でじっと眺めていただけなので、なんとなくルールがわかるようなわからないような…
ただ、それぞれの駒の文字と動きがまるで生き物のようで、横から盤上の動きを眺めて

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“鹿の角”の中から「カタツムリ」と「柄杓」を

“鹿の角”の中から「カタツムリ」と「柄杓」を

●鹿の角の「す(鬆)」縄文の頃より、釣針やモリなどに加工し生活の道具として利用させてもらっていた“鹿の角”ですが、遺跡の展示品として飾ってあるいにしえの「釣り針」や「モリ」を目にするたびに、

『この部分に「す」が見れるということは、おそらく鹿角のあの部分をこんな角度でこう材料取りしてるのでは…』

などと、太古のロマンに浸らずに現実的でマニアックな想像に耽ってしまうのは根付師の性(サガ)と言って

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ウロコ狂〜魚編〜

ウロコ狂〜魚編〜

「鱗」という文字そのものの造形にも惹かれるのですが、一枚一枚ポリポリと鱗を彫っていくという行為になぜか筆舌に尽くし難い魅力を感じてしまうのです。

果たしていつ頃からその魅力に取り憑かれているのか…

ということで、根付を創り始めた初期作品からの記録写真を遡ってウロコ狂のへの軌跡を辿ってみようと思います。

●2004年の「ウロコ」“鯉のぼり”の真鯉と緋鯉をモチーフにした根付。真鯉は立ち姿、緋鯉は

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「恋する金魚」ができるまで

「恋する金魚」ができるまで

●まずは少々長いですがスマホで撮り留めた画像を順を追って並べてみました

↑クラウンと呼ばれる鹿角の根元の部分は比較的「鬆(す)」が少ないのですが、何本かカットしてこの材料はクラウンの鬆が少ないので、この部分を金魚胴体部分いなるよう材料取りをしていきます。

※写真の上部が底面、つまり金魚のお腹にしますので、次の画像からは天地が逆転となります。

↑「荒彫り」と言われる工程。大まかなカタチをヤスリ

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今まで創った「おひなさま」たち

今まで創った「おひなさま」たち

約6年勤めていた化粧品会社(某S堂)を退職し、念願の「根付師」になってかれこれ今年で23年目になりました。

その間いろいろな根付を作ってまいりましたが、その中には根付ではない彫刻品も依頼されて数多く創っております。

今で言うストラップの「ぶらり(提げ飾り)」はもちろん、根付の素材として使う牙角類や木材を彫刻して創る「帯留め」や「かんざし」等の和小物から、「指輪」・「ブローチ」や「ペンダント ト

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根付師の陽佳です。

根付師の陽佳です。

ブログに載せきれない作品画像や細かい説明、そして作品にこめる思いや“こだわり”など作品にまつわるアレコレを、自分で撮った作品の記録画像と一緒にnoteに書き留めていきたいと思います。

●着物のシワにこだわる子供の頃から「きもの」が生活の中に普通に存在していたせいか、気が付いたらかなりの着物好きになっていました。

両親とも “ 家着 (いえぎ) ” として普段着の「きもの」を普通によく着ていたも

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