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棚卸

高齢者介護施設で働いていた時のこと。
1日の殆どを80代90代の方々と過ごしていた。
中には事故や病気で躰が動かなくなったり、痴呆症が進み己が誰かも解らなくなった高齢者も少なくはない。
接する度、話しをする度、愛おしくもあり悲しくもなる。

人が生を受けてから命つきるまでに、その畢生を省みる事が何度あるだろうか。

私は常々思う。
時間・お金・血液など人間が生きていく上で必要不可欠なものの全ては「流れ」によって出来ていると。

大きな時代や歴史の流れの中で万物は進化し知恵を得た。
お金の流れに翻弄され羨望し、失う度に教訓を得た。

大自然の中で循環する水によって生かされ、日本人は巡る四季に魅せられ心ほだされている。

体内を巡る血液は生物の生死に関わり、時に血統や遺伝などでレベル分けされる。

この様々な流れが錯綜する世の中で、私達は常に選び進んで行かなければならない。

ところが我々は、日々頭を働かせ必死に生きているようで、実はその大半を無意識の流れにのって過ごしている。

例えば、歯磨き粉の分量、何となく通っている右端の改札、車のエンジンを掛けてから到着までの経路、つい買ってしまういつものパンとコーヒー、口ずさんでしまうあの曲、心のこもっていない挨拶。

その大小は様々だが、日々の流れの中で立ち止まり普段の言動を省みることなど滅多にない。
その「いつもと変わらない長い日常」の中で、幸か不幸か多くのものは自然淘汰されていくのだ。
歳を重ねる毎に思考は最適化され、持ち物や人間関係はよりシンプルになってゆく。
幾年の年月を経て大切なもののみが残ったからこそ、今一度「意識的」に自らを振り返り、見据え、そして改めて選ぶ事が大事ではないか。

今回自らの37年を振り返ってみた。
常に人に支えられ教えられながら生きているということが改めてわかる。
それは、苦い思い出よりも圧倒的に感謝の方が多かったからだ。

“人生の棚卸し”

当たり前の毎日にただただ流されて行くのではなく、一度振り返ることで自身を構築しくれた物事や人に対して感謝をし
自分自身が今どういう存在であるか・今後の自分と向き合うというとても有意義な時間となった。

今自分が何を欲しているのか、今後だれの為に何をするのか。
これからの限りある時間を、より意味あるものにするために。
自分自身をもっと大切に生かし活かすべきだと気付かせてくれた。

見えない流れを愛をもって紡いでいくため
老いも若きも関係なく、人生という流れの中で一度立ち止まり、確認し、選択することも必要なのではないだろうか。



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