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2018年12月福島、丈六公園〜持蓮華舎利塔

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<続き>

目的の県道253号へ向かう。今回は、10月に歩いたルートとは逆側から向かう。
奥には「幸せの黄色いハンカチ」を模した家が見える。前回訪れた時もあれはあった。あの家には住民が戻っている。

(この付近の線量はこの程度)

前回訪れた謎の美術館は、解体が始まっていた。今回は、ロープで規制線が張られていて中に入ることは出来ない。

雪がパラつくなか、前回終盤に訪れ、疲れのあまりほとんど探索できなかった丈六公園へ。浪江に住んでいた知人によれば由緒ある場所だというが、今は荒れ果ててしまった。

しかしここまできて断念する。これだけの落ち葉があると、どうしても放射性物質の溜まり場を意識してしまう。

当然のことながら空間線量は上がる。

雪も降っており、地面は緩い。そこが気になるが、この展望台で撮影しない手はない。

海の上は晴れているようだ。こっちも早く晴れないかな。
それにしても、なんて空が青く美しいのだろう。

(カメラを少しズームすると、海沿いの中間貯蔵施設が見えた)

さらに空間線量は上昇。帰還困難区域が目と鼻の先にあり、当たり前といえば当たり前。

当たり前?
…ここは避難指示解除された場所だ。子供や乳幼児でさえ来れる場所だ。当たり前のわけがない。ダメだ、感覚がおかしくなっている。

避難指示解除された公園の遊具でーす

丈六公園の別の入り口へ。モニポは0.344。ここは感度の悪いエアーカウンターSでも0.6を超えた記憶があるが…

案の定この数値。
モニタリングポストの数値はあてにならない。普段と比べて上がったか下がったかの比較には必要だが、数値はあてにしないほうがいいと思った。

(別の入り口から上がってみる)

ここは避難指示解除された公園。この公園で子供を遊ばせたい人いますか?
これ以上上に進むことは、断念した。あまりにも激しく植物が生い茂っていることと、昨日のイノシシとの遭遇がきいている。全身放射性物質にまみれるのも嫌だし、野生動物と遭遇して怪我もしたくない。

丈六公園から「いこいの村なみえ」を見る。避難した人たちが墓参りなどで訪れた際の宿泊施設。震災前からあった「いこいの村なみえ」を改修してオープンしたという。
この写真のすぐ右は帰還困難区域。

(丈六公園を降りて253号を進む。帰還困難区域のゲートが見えてきた)

ふと横を見るとお寺のような屋根が見えた。少し登ってみる。

そういえばグーグルマップには「持蓮華舎利塔」と書かれていた。お寺の名前はわからない。しかし立派なようだ。

やはり…立派だが、人気はない。この写真の裏に家が建っているが、人が帰ってる気配はない。考えてみれば当たり前だ、帰還困難区域の目の前なのだから。

浪江町指定重要文化財、木造十一面観音座像のある持蓮華舎利塔。大切な重要文化財も放射能に汚染された。これもいずれはフレコンバッグに詰め込まれ、放射性廃棄物として捨てられるのだろうか。
放射能安全と言い募る保守派の人々はどう思うのか。重要文化財が廃棄物になってどう思うのか。

幾世橋の大聖寺は大晦日の昼に鐘を突いているが、ここはどうなのだろう。

お墓が見える。ここに墓がある人たちはどんな想いを抱いているのだろう。

空間線量はそれほど高くはない。…いや高い。さいたま市の約14倍。もう慣れちまったよ。1マイクロを超えても驚かない。

この後、10月以来、帰還困難区域に進入する。

<続く>

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