なかがわよしの

水が好き。ねこが好き。中の人はおじさん。本の匂いが好きです。あとは夏が好きでした。崩し…

なかがわよしの

水が好き。ねこが好き。中の人はおじさん。本の匂いが好きです。あとは夏が好きでした。崩した文法で日々を小説化。できるだけ毎日書きます。ますます文学に励みます。音楽を愛する、アイスすぎには注意が必要ですね。400字小説をライフワークにしつつ、長編小説を書いている。成功はしたくない。

マガジン

  • 随筆

    音楽とか映画とか読書とか。

  • 400字小説

    400字程度で書かれた小説たち。ライフワークであーる。2024年1月1日午前7時オープン!

  • 朗読(叫びがち)

    叫んでます、注意。

記事一覧

詩的に説明します!【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】について!

これらの曲はわたしの血であり骨だ。青春だったかもしれない。でも、今も春っぽい青のなかを全力失踪している、孤独。上から影響を受けた順番。できるだけカッコつけて選ん…

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【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】「Wet Sand」Red Hot Chili Peppers

肌寒い海辺で砂の城を作るふたり、恋人の関係。同性同士だから男性でも女性でも関係ない。ただひとりはオワリで、もうひとりはエイエン。ズブズブに海水に浸ったスニーカー…

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カネコアヤノ『ラッキー/さびしくない』/音楽レヴュー

デビュー当時からは想像できないほど、すくすく育ちましたね。屈辱や失敗や悔しさがあったことは想像できる。色気は間違いなく大人のそれ。『ラッキー』はこのままでも好き…

Knosis『THE ETERNAL DOOM』/音楽レヴュー

「これが最前線のサウンドなのか?」そんなこと、知ったことではない、関係ない。金勘定も憂鬱も暮らしの果てにあるものも、すべてぶっ飛ばしてくれる!それで十分だ。これ…

あぶらだこ『青盤』/音楽レヴュー

聴いてはならない音楽を聴いてしまった感覚がする。新しいも古いもない唯一無二の音楽。ましてや勝ち負けなんてないんだ。自分の存在を信じて自分たちの音を鳴らしているこ…

【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】「Trark1」Regurgitator

飲み会の乾杯挨拶を急にフラれて戸惑った。でも、そこは演劇の経験を生かして、平静を装う観音。「カート・コバーンが亡くなってから30年の時が経ちました。わたしはまだ生…

【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】「MO’FUNKY」ズボンズ

「早く着いたよ」のLINEをタケルに打って、ドリンクバーを適当に4品持ってきて、ミモトは一気にガブガブする。甘いコーラはもちろんのこと、苦いブラックコーヒーでもお構…

【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】「When Doves Cry」プリンス

寺の境内で鳩がギャーテーギャーテーうるさい。守は地面を徘徊する鳩の群れに突っ込んでいって、彼らを曇り空へぶっ飛ばした。「ダメだよ、そんなことしちゃ、小学生かよ!…

【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】「祝日」カネコアヤノ

試合の大事な局面でミスったことを引きずって、練習のコートに戻ってこない灰治を部員のみんなが心配。灰治はチームの大黒柱。 ある祝日の前夜に大会の《残念でした飲み会…

【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】 「No Success」Atari Teenage Riot

酒野麹は自分らしさとは何かを追求している。ペンネームが表すようにユーモアのセンスがあるとは言えない真面目なタイプ。人には信頼されるが重宝はされない。助けた人はた…

Kamasi Washington『Fearless Movement』/音楽レヴュー

正座して初聴した際、満足できなかったのだけど、わたしが力み過ぎていたらしい。ドライブしながらふふ〜んと聴き重ねていくうち、繊細な表現にハッとしたり。サックスの咆…

【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】「FLOATIN’」舐達麻

ハンシャ人の女だっていうきよみにアフロは恋をしてしまって、明日、初デートっていう段階で事情を話された。「今ならまだ引き返せるよ」と言われ、逆に火が点いた。白昼堂…

【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】「夏の日の午後」eastern youth

いずれやって来る死。罪は溶けない。背中に晒して生きていくしかない。誰もが前科者。 そんな達観した考えに10歳で到達してしまって、久仁は苦しかった。生きづらいと言語…

【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】「月さえも眠る夜」THE BOOM

美野里は結婚する。何人かの男と愛し合って、辿り着いた岬。勇二と船を出す。海へ旅立つ。 そんな海岸沿いのホテルで、ひとり。勇二は大浴場へと一足先に行った。今まで会…

Regurgitator『Invader』/音楽レヴュー

ジャケットを目にした途端、いい予感がしたので、思わず勇み足で拝聴。これが、ん~、いいっ。チープと見せかけて、ド*洗練された80sポップス&ロック。97年に発表された…

【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】「Myself」長渕剛

たつみは胸を隠して立っている。暗い部屋で、龍生は微笑んでいる。全身のタトゥーが暗闇と同化して輝いている。真面目なたつみとチンピラの龍生の人生が絡み合ったのは偶然…

詩的に説明します!【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】について!

詩的に説明します!【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】について!

これらの曲はわたしの血であり骨だ。青春だったかもしれない。でも、今も春っぽい青のなかを全力失踪している、孤独。上から影響を受けた順番。できるだけカッコつけて選んでいない。純粋に人生に影響を曲を選んだ。だから若い頃によく聴いたダサい選曲が多いけれど、誰だって青かったし、今だってそうかもしれないんだ。思春期から革命期、闇期や激躁期を越えて現在へ。音楽は鳴り止まないし、なんならわたしが鳴らして見せるさ。

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【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】「Wet Sand」Red Hot Chili Peppers

【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】「Wet Sand」Red Hot Chili Peppers

肌寒い海辺で砂の城を作るふたり、恋人の関係。同性同士だから男性でも女性でも関係ない。ただひとりはオワリで、もうひとりはエイエン。ズブズブに海水に浸ったスニーカーが変色。太陽は真上にあり、人生を照らす。

「多様性って何かな」
「ぼくたち、わたしたちには、知らないことだよ」

ディレイして海面で蒸発する言葉。波打つ海は永遠に思える。

「今、この瞬間も若さを失っている」
「永遠なんてないんだ」

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カネコアヤノ『ラッキー/さびしくない』/音楽レヴュー

カネコアヤノ『ラッキー/さびしくない』/音楽レヴュー

デビュー当時からは想像できないほど、すくすく育ちましたね。屈辱や失敗や悔しさがあったことは想像できる。色気は間違いなく大人のそれ。『ラッキー』はこのままでも好きだし、ダブアレンジも聴きたいと思わせられた。『さびしくない』はそのフレーズを連呼するところにせつなさを感じた。多分、さびしいとさびしくないの狭間の叫び。新しいフェーズに入ることを予感させるバンド・サウンド。まだまだ遠くに連れて行ってくれよ。

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Knosis『THE ETERNAL DOOM』/音楽レヴュー

Knosis『THE ETERNAL DOOM』/音楽レヴュー

「これが最前線のサウンドなのか?」そんなこと、知ったことではない、関係ない。金勘定も憂鬱も暮らしの果てにあるものも、すべてぶっ飛ばしてくれる!それで十分だ。これ以上の幸福があるのなら教えてほしい。あらゆる音楽ジャンルの要素を感じさせるが、誰にも似ていない。演奏力も別格で突き出ている、説得力◎。ノイズも轟音もデスボイスも美しく、超*透明。あまりにきれいで涙が心の傷に染みそう。泣いてもいいですか?

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あぶらだこ『青盤』/音楽レヴュー

あぶらだこ『青盤』/音楽レヴュー

聴いてはならない音楽を聴いてしまった感覚がする。新しいも古いもない唯一無二の音楽。ましてや勝ち負けなんてないんだ。自分の存在を信じて自分たちの音を鳴らしていることに感銘。だから変態(あるいは天才)と簡単に書くのは、失礼すぎるだろう。それゆえ真正面から向き合いたいのだが、そうすればするほど、気が変になりそうだ。これだけ脳みそと心と生命そのものを揺さぶる芸術はそうそうない。あなたに出逢えて良かった。

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【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】「Trark1」Regurgitator

【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】「Trark1」Regurgitator

飲み会の乾杯挨拶を急にフラれて戸惑った。でも、そこは演劇の経験を生かして、平静を装う観音。「カート・コバーンが亡くなってから30年の時が経ちました。わたしはまだ生まれていませんでした」と言い始めても、誰も顔をしかめるような人はいなかった。観音は続ける。

「でも、カート・コバーンが生まれる前からこの会社はあります。それはどういうことかわかりますか?」

そこで「んん?」と顔を歪ます人たちが出だす。

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【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】「MO’FUNKY」ズボンズ

【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】「MO’FUNKY」ズボンズ

「早く着いたよ」のLINEをタケルに打って、ドリンクバーを適当に4品持ってきて、ミモトは一気にガブガブする。甘いコーラはもちろんのこと、苦いブラックコーヒーでもお構いなしに飲みまくってハイに。

「急がないでいいよ」のLINEをしたのにも関わらず、タケルが早く来ないかなって楽しみに。コロナ禍前からずっと会っていないのだ。その分、タケルは年を取っただろうがミモトもそうだから、イーブンだと考えた。

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【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】「When Doves Cry」プリンス

【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】「When Doves Cry」プリンス

寺の境内で鳩がギャーテーギャーテーうるさい。守は地面を徘徊する鳩の群れに突っ込んでいって、彼らを曇り空へぶっ飛ばした。「ダメだよ、そんなことしちゃ、小学生かよ!」と里穂が頬を膨らませて、プンプン怒り出す。「男はいつまでも子どもなんだよ」と在り来たりのことを守は言い出す。六体の地蔵の前に敷き詰められた砂利の大きめな石を蹴り散らかす、落ち着かない。

「鳩って本当はどう鳴くか知ってる?」と変化球で里穂

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【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】「祝日」カネコアヤノ

【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】「祝日」カネコアヤノ

試合の大事な局面でミスったことを引きずって、練習のコートに戻ってこない灰治を部員のみんなが心配。灰治はチームの大黒柱。

ある祝日の前夜に大会の《残念でした飲み会》をマネージャーが企画し、彼女は灰治を誘った。でもLINEの返事が全然返って来ず、飲み会の直前に灰治の下宿先に行く。

「ほっといてくれ」と灰治がドアー越しに。イラっとしたマネージャーは「いつまでひとりでバレーするつもりですか!」と大きな

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【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】 「No Success」Atari Teenage Riot

【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】 「No Success」Atari Teenage Riot

酒野麹は自分らしさとは何かを追求している。ペンネームが表すようにユーモアのセンスがあるとは言えない真面目なタイプ。人には信頼されるが重宝はされない。助けた人はたくさんいるけれど、その割にSNSのフォロワー数が伸びない。誰にでも「いい人だよね」と一言で片付けられてしまうのは、よくある例。「自分らしさをください」と神様に祈っているようだから、まだまだ甘い。ただ在るだけでいいのに、自分らしさを求めるから

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Kamasi Washington『Fearless Movement』/音楽レヴュー

Kamasi Washington『Fearless Movement』/音楽レヴュー

正座して初聴した際、満足できなかったのだけど、わたしが力み過ぎていたらしい。ドライブしながらふふ〜んと聴き重ねていくうち、繊細な表現にハッとしたり。サックスの咆哮に胸アツしたり。前作までと変わらない綱渡りのようにスリリングな演奏+今まで感じることのなかった傷を癒やすようなアンビエントなプレイに満足。まだまだわたしの感性を刺激してくれそうなので星は以下の通り。大きな期待を込めて。可能性は輝いている。

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【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】「FLOATIN’」舐達麻

ハンシャ人の女だっていうきよみにアフロは恋をしてしまって、明日、初デートっていう段階で事情を話された。「今ならまだ引き返せるよ」と言われ、逆に火が点いた。白昼堂々、繁華街のアーケードにふたりで繰り出して、速攻、ハンシャ人の子分がやって来て、アフロは脅された。「こえ~よ」と輩が立ち去った後、半泣きしたが「もう帰ろう」と言うきよみの言葉に頷く気にはならなかった。「事務所って100均あったテナントの2階

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【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】「夏の日の午後」eastern youth

【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】「夏の日の午後」eastern youth

いずれやって来る死。罪は溶けない。背中に晒して生きていくしかない。誰もが前科者。

そんな達観した考えに10歳で到達してしまって、久仁は苦しかった。生きづらいと言語化できたら少しは楽だっただろう。生きたくないというのが久仁の本音。でも自決する勇気など持ててしまえるほど、神様は残酷ではなかった。学校に行くのが苦しかった。でも、親を心配させたくなかったから、普通でいた。誰にもそうであるように、小学校の

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【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】「月さえも眠る夜」THE BOOM

【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】「月さえも眠る夜」THE BOOM

美野里は結婚する。何人かの男と愛し合って、辿り着いた岬。勇二と船を出す。海へ旅立つ。

そんな海岸沿いのホテルで、ひとり。勇二は大浴場へと一足先に行った。今まで会った誰よりも勇二を愛している。愛の記憶は、一昨日、引っ越しをしてすっからかんになったその部屋に置いてきた。何も思い残すことはなく、勇二を愛することが出来そう。

ひとつだけ悔いることがあるとすれば、中学生の時に「付き合って」と言ってきたG

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Regurgitator『Invader』/音楽レヴュー

Regurgitator『Invader』/音楽レヴュー

ジャケットを目にした途端、いい予感がしたので、思わず勇み足で拝聴。これが、ん~、いいっ。チープと見せかけて、ド*洗練された80sポップス&ロック。97年に発表された名盤『Unit』の進化版。演奏は音数が極端に削がれていて清々しい。『Unit』の頃は偶然の感覚で生まれた演奏もあっただろう。四半世紀以上経って、すべては計算して生み出したはず。偶然の産物ほど神々しいものはないが、経験がモノを言うこともあ

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【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】「Myself」長渕剛

【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】「Myself」長渕剛

たつみは胸を隠して立っている。暗い部屋で、龍生は微笑んでいる。全身のタトゥーが暗闇と同化して輝いている。真面目なたつみとチンピラの龍生の人生が絡み合ったのは偶然。気まぐれな悪戯。でも、たつみが龍生に惚れたことは間違いなかった。「死んだ弟もやんちゃだったね」と緊張を隠して言った。

「なんで死んだ?」

その答えは《自殺》だったが「事故だった」とたつみは嘘をついた。龍生は嘘を見抜いたが、そこまで鈍感

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