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随筆

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音楽とか映画とか読書とか。
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詩的に説明します!【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】について!

詩的に説明します!【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】について!

これらの曲はわたしの血であり骨だ。青春だったかもしれない。でも、今も春っぽい青のなかを全力失踪している、孤独。上から影響を受けた順番。できるだけカッコつけて選んでいない。純粋に人生に影響を曲を選んだ。だから若い頃によく聴いたダサい選曲が多いけれど、誰だって青かったし、今だってそうかもしれないんだ。思春期から革命期、闇期や激躁期を越えて現在へ。音楽は鳴り止まないし、なんならわたしが鳴らして見せるさ。

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カネコアヤノ『ラッキー/さびしくない』/音楽レヴュー

カネコアヤノ『ラッキー/さびしくない』/音楽レヴュー

デビュー当時からは想像できないほど、すくすく育ちましたね。屈辱や失敗や悔しさがあったことは想像できる。色気は間違いなく大人のそれ。『ラッキー』はこのままでも好きだし、ダブアレンジも聴きたいと思わせられた。『さびしくない』はそのフレーズを連呼するところにせつなさを感じた。多分、さびしいとさびしくないの狭間の叫び。新しいフェーズに入ることを予感させるバンド・サウンド。まだまだ遠くに連れて行ってくれよ。

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Knosis『THE ETERNAL DOOM』/音楽レヴュー

Knosis『THE ETERNAL DOOM』/音楽レヴュー

「これが最前線のサウンドなのか?」そんなこと、知ったことではない、関係ない。金勘定も憂鬱も暮らしの果てにあるものも、すべてぶっ飛ばしてくれる!それで十分だ。これ以上の幸福があるのなら教えてほしい。あらゆる音楽ジャンルの要素を感じさせるが、誰にも似ていない。演奏力も別格で突き出ている、説得力◎。ノイズも轟音もデスボイスも美しく、超*透明。あまりにきれいで涙が心の傷に染みそう。泣いてもいいですか?

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あぶらだこ『青盤』/音楽レヴュー

あぶらだこ『青盤』/音楽レヴュー

聴いてはならない音楽を聴いてしまった感覚がする。新しいも古いもない唯一無二の音楽。ましてや勝ち負けなんてないんだ。自分の存在を信じて自分たちの音を鳴らしていることに感銘。だから変態(あるいは天才)と簡単に書くのは、失礼すぎるだろう。それゆえ真正面から向き合いたいのだが、そうすればするほど、気が変になりそうだ。これだけ脳みそと心と生命そのものを揺さぶる芸術はそうそうない。あなたに出逢えて良かった。

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Kamasi Washington『Fearless Movement』/音楽レヴュー

Kamasi Washington『Fearless Movement』/音楽レヴュー

正座して初聴した際、満足できなかったのだけど、わたしが力み過ぎていたらしい。ドライブしながらふふ〜んと聴き重ねていくうち、繊細な表現にハッとしたり。サックスの咆哮に胸アツしたり。前作までと変わらない綱渡りのようにスリリングな演奏+今まで感じることのなかった傷を癒やすようなアンビエントなプレイに満足。まだまだわたしの感性を刺激してくれそうなので星は以下の通り。大きな期待を込めて。可能性は輝いている。

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Regurgitator『Invader』/音楽レヴュー

Regurgitator『Invader』/音楽レヴュー

ジャケットを目にした途端、いい予感がしたので、思わず勇み足で拝聴。これが、ん~、いいっ。チープと見せかけて、ド*洗練された80sポップス&ロック。97年に発表された名盤『Unit』の進化版。演奏は音数が極端に削がれていて清々しい。『Unit』の頃は偶然の感覚で生まれた演奏もあっただろう。四半世紀以上経って、すべては計算して生み出したはず。偶然の産物ほど神々しいものはないが、経験がモノを言うこともあ

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【観劇レヴューのようなのもの】「アイカとメグミ」演劇ユニットゆめのあと

【観劇レヴューのようなのもの】「アイカとメグミ」演劇ユニットゆめのあと

ケンジたちは普通列車のボックス席に座っている。車内は早い夕方だが、土曜ということもあってそれなりに混雑。ケンジたちの座った目の前には姉妹らしき20代のふたりがスペースにちょうど良く横並びになって前歯のように並んで座っている。窓の外にはケンジの写し絵と、止まったままの景色が見える。電子車掌が抑揚のない声で出発のアナウンスをする。プシュ~ッと音を立ててドアが閉まる。動き出す車窓。時空の旅が始まる。

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ただの映画感想『レザボア・ドッグス』

ただの映画感想『レザボア・ドッグス』

★★★★★

*ネタバレあり注意⚠

4点か5点か迷っての満点。個人の好みなので嫌いな人は嫌いな映画かもだけど。DVDでは何度も観ているのだが、映画館で観るのは初めて。やっぱ大きなスクリーンで観るのや、大音量で体験できるのイイネ!そこが5点にした後押しでした。ほかの理由はカッコいいからっていう言葉しか出てこないんだけど笑。お話の展開の仕方、登場人物たちのアナザーストーリーの挟み方、冴えに冴え渡るジ

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芸術作品としての『らんど』

芸術作品としての『らんど』

ここで言う芸術作品とは、商業主義一切抜きで、かつ受け手のことをあえて考えない、純粋に自分自身に向けられて作られたARTのことを指す。しかし、この芸術作品『らんど』(2024年1月24日発売)を生み出す時点でZAZEN BOYSは少なくとも稼ぐためにやっているのだろうし、リスナーのことだって意識して考えているはず。それでも、根底にあるのはビジネスでもファンサービスでもなく、自己探検だとわたしは確信し

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ただの映画感想『12人の優しい日本人』

ただの映画感想『12人の優しい日本人』

★★★☆☆

「痛快&爆笑の会心作。渦巻く人間模様とテンポの良い展開に目が離せなかった。老若男女にウケる邦画史上の金字塔!」……、きっとそういう作品なのだろうが、年々、脳みそがおじいちゃん化しているわたしには複雑だった。いや、全然複雑ではないと思うのよ、中3の娘は話についていってたからネ。わかった範囲で書くと、日本人の性格をあんなに明瞭に書き分けているところ、三谷幸喜すげえ。あと一貫として有罪を唱

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ただの映画感想『ちょっと思い出しただけ』

ただの映画感想『ちょっと思い出しただけ』

★★★☆☆

会話の巧妙なトリックが印象的。最初は気づかず、内容のない会話だなあとマイナススタートだったわけだが、決めるとこではきっちりパンチラインハメめてくる展開にハッとした。会話劇ならぬ《会話映画》だった。あと、妻を待ち続ける男(永瀬正敏)の存在も気にかかった。葉(伊藤沙莉)は待っているタイプではなく、自分から掴みにいくタイプに見えた。妻を待つのも、恋をトライしようとするのも、儚くていいな。そ

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ただの映画感想『ほかげ』

ただの映画感想『ほかげ』

★☆☆☆☆

★は限りなく5に近い1。理由は感情がシンクロしてしまいすぎて、精神的にずっときつかったから。喉ぼとけに包丁を突き付けられ、眉間にも短銃を押し付けられた気分の95分。何度か耐えきれず発狂してしまう!という危機に瀕した。内容に触れると、子どもは女のまぼろしであり、希望だとずっと思いながら観ていた。だから女が子どもに「嫌いだ」と伝えたシーンには胸が張り裂けた。あんな気持ちをぶちまければいけ

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ただの映画感想『パラサイト 半地下の家族』

ただの映画感想『パラサイト 半地下の家族』

★★★★☆

本作公開前、はりきって観るつもりだったのに、メディアに取り上げられ、話題になってしまったので、あまのじゃくなわたしは観るのをやめた。あれから数年が経ち、気まぐれにゲオでレンタル。結果……、いやあ、観て良かった。悲しくも愉快。でもやっぱりせつない。韓国映画の真骨頂を見た。まったく先が読めなかったですねえ。「とにかく面白かった」となんのひねりもなく言うのもためらわないほどに、良かったなあ

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ただの映画感想『野火』

ただの映画感想『野火』

★★★☆☆

息詰まる作品だった。ただ冒頭の軍隊と野戦病院をたらい回しにされるシーンは滑稽でしかなかった。声に出して笑った。ジョークのように人が死んでいき、肉体もろとも吹き飛んだり、脳天を撃ち抜かれたり、笑いしかなかった。が、徐々に追い詰められ、田村一等兵(主人公)が狂っていくと一転、戦争の現実を突き付けられた。今もこの映画のような惨劇が、遠い世界で起こっていることに絶望した。すぐに近くに戦争が

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