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あぶらだこ『青盤』/音楽レヴュー
聴いてはならない音楽を聴いてしまった感覚がする。新しいも古いもない唯一無二の音楽。ましてや勝ち負けなんてないんだ。自分の存在を信じて自分たちの音を鳴らしていることに感銘。だから変態(あるいは天才)と簡単に書くのは、失礼すぎるだろう。それゆえ真正面から向き合いたいのだが、そうすればするほど、気が変になりそうだ。これだけ脳みそと心と生命そのものを揺さぶる芸術はそうそうない。あなたに出逢えて良かった。
Kamasi Washington『Fearless Movement』/音楽レヴュー
正座して初聴した際、満足できなかったのだけど、わたしが力み過ぎていたらしい。ドライブしながらふふ〜んと聴き重ねていくうち、繊細な表現にハッとしたり。サックスの咆哮に胸アツしたり。前作までと変わらない綱渡りのようにスリリングな演奏+今まで感じることのなかった傷を癒やすようなアンビエントなプレイに満足。まだまだわたしの感性を刺激してくれそうなので星は以下の通り。大きな期待を込めて。可能性は輝いている。
もっとみるただの映画感想『レザボア・ドッグス』
★★★★★
*ネタバレあり注意⚠
4点か5点か迷っての満点。個人の好みなので嫌いな人は嫌いな映画かもだけど。DVDでは何度も観ているのだが、映画館で観るのは初めて。やっぱ大きなスクリーンで観るのや、大音量で体験できるのイイネ!そこが5点にした後押しでした。ほかの理由はカッコいいからっていう言葉しか出てこないんだけど笑。お話の展開の仕方、登場人物たちのアナザーストーリーの挟み方、冴えに冴え渡るジ
芸術作品としての『らんど』
ここで言う芸術作品とは、商業主義一切抜きで、かつ受け手のことをあえて考えない、純粋に自分自身に向けられて作られたARTのことを指す。しかし、この芸術作品『らんど』(2024年1月24日発売)を生み出す時点でZAZEN BOYSは少なくとも稼ぐためにやっているのだろうし、リスナーのことだって意識して考えているはず。それでも、根底にあるのはビジネスでもファンサービスでもなく、自己探検だとわたしは確信し
もっとみるただの映画感想『12人の優しい日本人』
★★★☆☆
「痛快&爆笑の会心作。渦巻く人間模様とテンポの良い展開に目が離せなかった。老若男女にウケる邦画史上の金字塔!」……、きっとそういう作品なのだろうが、年々、脳みそがおじいちゃん化しているわたしには複雑だった。いや、全然複雑ではないと思うのよ、中3の娘は話についていってたからネ。わかった範囲で書くと、日本人の性格をあんなに明瞭に書き分けているところ、三谷幸喜すげえ。あと一貫として有罪を唱
ただの映画感想『ちょっと思い出しただけ』
★★★☆☆
会話の巧妙なトリックが印象的。最初は気づかず、内容のない会話だなあとマイナススタートだったわけだが、決めるとこではきっちりパンチラインハメめてくる展開にハッとした。会話劇ならぬ《会話映画》だった。あと、妻を待ち続ける男(永瀬正敏)の存在も気にかかった。葉(伊藤沙莉)は待っているタイプではなく、自分から掴みにいくタイプに見えた。妻を待つのも、恋をトライしようとするのも、儚くていいな。そ