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気持ちを漬けていく

ピクルスを作ったことがある。

煮沸消毒した瓶に、調味料を入れて加熱した酢と、詰めたい野菜を入れていく。
ローリエの葉っぱをひとつ入れて、数日置けば簡単なピクルスが完成する。

ピクルスの瓶は見た目もなんだかおしゃれだ。

先日、実母と喧嘩をしてしまった。
「尋問する」と本人が言った。
私は、ギュッと喉が詰まるような気持ちになった。

私は何も抵抗できなくて、思わず押し黙った。
実母が欲しい情報だけを渡して、もう好きにしてくれと思った。

嫌な気持ちが自分に詰まっていくような気がした。

わたしがアパートで暮らしている事、元旦那とのことで困っていた時は、どんなに相談しても聞いてくれなかったのに、
私が実家に住んでいて、自分の目の届く範囲にいるから、こんなことを聞かれているのだろう、と思った。

自立、していればよかったと思った。

子供が小学生に上がるタイミングで仕事が長時間働けるようにと思って、実家にお世話になっている。

とても助かる部分もあるけれど、こういう時はなんだかしんどくなってしまう。

最初はただ聞かれたまま答えて、実母がいなくなった台所で、ゆっくりと悲しみが横にいた。
それから、怒りがわいてきた。

もう子供じゃないんだから。
それは過干渉なんじゃないの、とか。

言ってやりたいことがあっても、それを言うことが良い結果を生むとは思えなくて、やっぱり押し黙るしかない。

気持ちが自分の中にいっぱいに詰まっているのは、なんだかピクルスみたいだなと思った。

私の気持ちを、私の中に漬けたら、それはいったい何になるんだろうか。

おいしいピクルスのうちに、食べて消化してしまいたい、そう思った。

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