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8月2日 ヤバい喫茶店。

夏は喫茶店がいいですねってことで、最近バイト終わりに色んな店に足繁く通っている。
お気に入りの店を2店舗くらい見つけられたいいなと思って探し始めた訳だが、どの店も結構好きだ。
だが、総じて客がクソだ。特に夏休みに入ってから、クソまみれなのである。

客がどう糞なのかは、ここ数日で日記に書き殴っているのでもう良いとして、何故僕の行き先ざきの店に糞が溜まるかというと、それはコーヒー1杯の値段が貧乏に良心的であるからなのだ。昨日も書いたが、貧乏に良心的な店だからと言って、良心のある貧乏が集う訳ではない。
コーヒー1杯の値段が高い店は、当たり前だがコーヒーが美味い。
そして居心地が良い。椅子が座りやすいとか、灰皿がイカしてたり、そういったことだ。
が、バカはそうゆうものに1ミリも関心がない。
いかに安くどれだけその場いれるか、それが重要なのである。
数年前会社を辞めてから、僕は5ヶ月間無職でいたためお金が一銭もなくなってしまった時期がある。
その頃僕はとても大きな味のしないゼリーをよく食べていた。
理由は、安い割に長い間食べれるからである。
美味い美味くない、味がするしない、そんなことはどうだってよく、どれだけの時間食べれるかが当時の僕は重要だったのだ。
無関係な思い出は話はいいとして、とにかくバカな客に当たってしまうのは、僕のせいでもあるってことだ。
僕も安くて、長くいる店を求めていたからである。

サービス残業がきついからと言って、個人一人の力で、会社のシステムを変えてしまうのは中々難しい。職場ごと変えてしまえばいいのだ。
それと一緒で、僕も少し値段のはる喫茶店に足を運んでみようではないかと考えた。店内にいる客を変えることはできないのだ。

1杯320円のアイスコーヒーを頼み、他人に2時間削られるより、1杯600円のアイスコーヒーを頼み、素晴らしい2時間を送れた方がよっぽど良い。
てな訳で、夜中に片っ端から良さそうな喫茶店をネットで検索しまくって、やっと見つけた店で、こうして今日記を書いている訳である。

手の先が痺れ、耳鳴りがする。最近ストレスを感じると、僕の身体はすぐにこうなってしまう。つまり今僕は怒り狂っているという訳だ。

この喫茶店は自転車に乗って、家から30分の所にある。
何時から営業していて、定休日がいつなのかはネットに載っていなかった。それが良いではないか。そうあるべきである。より期待に胸が躍った。

今日は朝の7時に起きて、映画を1本見た。なんかの韓国映画で、めちゃくちゃ面白くなかったけど、それも許せた。何故ならお気に入りになりそうな喫茶店にこれから足を運ぶからである。

数年後、このプールサイドのネタはここから生まれたんですよとか言って、Aスタジオで鶴瓶さんが、喫茶店のマスターと話に言って、
「彼はいつも寡黙な男でしたよ。アイスコーヒー1杯で何時間もいるんですよ。時折、あ〜とか言って、首を傾げたりしてね。彼が芸人だなんて知らなかったですねえ。」みたいなことを言って、スタジオに戻って、僕が「あはははは〜」とか言ってたらいいなと、ペダルを弾ませながら自転車を漕いだ。

今日はとっても晴れていて、それも良かった。全部大丈夫な気がするのだ。
汗くせえといけないなと思って、途中コンビニに寄って制汗剤を買った。
喫茶店の前に着き、一番迷惑にならなそうな場所に自転車を止めた。
「あそこの自転車君の?どけて。」なんて言われたら、2度と来れなくなってしまう。

店の佇まいは最高。車は一台も停まっていない。元々、人が寄らなそうな場所だ。そうゆう所を探した。
少し緊張しながら、店に入るとキャンキャンきゃんきゃんキャン、犬が喚き出すではないか。世界一最悪な店に来てしまったと僕は泣きそうになった。

店内に番犬を置くって、店主は頭がイカれているのだろうか。

品のかけらもない乱暴そうな店主がメニューを持ってきたが、それを見ずにアイスコーヒーと言った。何度も言った。何度も何度もアイスコーヒーと言った。俺の声が小さいからでも店主の耳が遠いからでもない。犬の声がバカでかいからだ。喚く犬に目をやると、犬種はミニチュアダックスフンドだった。胴が長くて気持ちの悪い生き物だ。普段はそんなことは思わない。

あ、ミニチュアダックス憤怒だなと思った。それを日記に書こうと思った。

犬がバカなら飼い主もバカである。
店主は何故か客席に座りながら、犬みたいな鳴き声で数席先のお姉さんと会話をしている。
お姉さんが、「マスターかき氷やってくださいよ!」と言った。そうゆう会話いらないだろと思っていると、マスターも同感だったみたいで、「やらないよ。」と冷たくあしらった。それで会話が終わると思ったら、お姉さんの隣の席に座っているおじいちゃんが、「天然水のかき氷は美味いよ。」と言った。

するとマスターが「あんなもんまずいよ!!!」と大きな声で言った。

「いや本当に美味いんだよ。」「きたねえんだよ。天然水って。池だろ?」「本当に美味いんだから。」これの繰り返しである。

マスターと爺さんに挟まれた、お姉さんは下を向きながら冷め切ったパスタを食っていた。

数分後、
爺さんは「さつまいも美味いよね」とつぶいた。口に出す程のことなんだろうか。
お姉さんは「おいしいですね〜」と言った。
マスターは「あんなもんに金出すなら他の食いもん買えよ!!」と怒鳴った。
爺さんはまた、さつまいもが美味いということを主張しだした。
如何に美味いかということを説明しないから腹が立つ。この爺さんはとにかく俺は美味いと思うっ、てことをただただデカイ声で言いやがるのだ。

「さつまいもはクソ蠅がたかるから。きったねえ。」とマスターは言った。

とんでもねえ喫茶店に来てしまった。
店に着いてから、すでに8回はコジキというワードを耳にした。

爺さんは戦争の話をしだした。隣のお姉さんが母の話をしだした。
辛いことを思い出させてごめんねと、爺さんは謝り出した。

「いいんです、今の若い子は戦争のこと知らないから、私達が下の世代に話していかないとね」と言って、お姉さんは店を出て行った。

犬がギャンギャンないている。マスターと爺さんはNHK受信料について言い争っている。爺さんは、受信料を支払っていないマスターが許せないらしい。

アイスコーヒーはめちゃくちゃ美味かった。ムカつく。

と、ここでパソコンを閉じた。
そうして今家に帰り、また日記を書き始めている。

日記を書き終えた後、マスターは爺さんと話しをしながら店を出て行った。
ギリギリまで口論を続けながら、店を出たのだ。
店のドアが閉まった後も、マスターは店内にいる爺さんに向け何かを言っていた気がする。
マスターはそのまま自転車に乗ってどこかに消えて行ってしまった。
5分後、喋り相手がいなくなったことに退屈したのか、今にも窒息死しそうな面で爺さんも店から出て行った。

隣の席におばさんが座っている。
爺さんが店から出るとき、おばさんの手元に小銭を置いていたので、彼女も店員なのだろう。
店内が静まり返った。彼女と二人きりって感じで、静寂が耳障りだった。
おばさんは何故か僕の方を向いて座っている。僕は顔の左側でおばさんの視線を感じながら、本を読んでいた。
そのうち二人きりなのに、読書をする自分が何か失礼なことをしているような気がしてきた。友達の家に遊びに行って、いきなりリュックから持ってきた本を取り出し「話しかけないで。」と言って、読書にふけているようなことをしてしまっている感じがするのだ。
一度本を閉じ、おばさんの方はチラリと見た。
すると「どこに住んでるの?」と話しかけてきた。

そこから2時間は喋った。彼女は
自分がお金持ちであることを絶え間なく喋り続けた。
そこで彼女は、海外で水族館に行ったとき、スタッフにチップをこっそり私たら、イルカを撫でながらの2ショット写真が撮れたという、とても面白い話を聞かせてくれた。
つまり、日本以外はチップが全て。店員の接客態度もサービスも何もかも、チップで決まるの。と彼女は僕に言った。

それから10分後に彼女は、日本で息子と馬を見に行ったときの話を始めた。
そこのスタッフに息子に馬を触らせてもらえないか?とお願いすると、なんと触らせてくれたのだ!!という、これもまたとても面白い話を聞かせて頂いた。
僕はすかさず、「チップなしでそこは触れたんだ。」というと、
「チップ?」みたいな顔をされ、会話が途切れてしまい、そこで僕は完全に心が折れた。
心は折れたものの、聞くことに徹しようとすると幾らか楽になった。
おばさんは話し相手が出来てとても嬉しそうだった。
悪意は感じなかったので、それからは割と楽しく会話が出来た。
会話というと語弊があるかもしれない。彼女が言葉を投げ、僕が壁となり、跳ね返った言葉を彼女がキャッチして、またそれを投げるという、繰り返しだったからである。
外が晴れまくっていたせいか、人の昔話も悪かないなと思えた。
話をされている内にドンドン仲良くなってきて、最終的には彼女の若い頃のアルバムを同じテーブルで見た。
そして、次来るときは朝に来るから、その時は朝ごはんを作ってくれる、という約束までもした。


マスターが自転車を店の外にとめている。
帰ってきたのだ。

あんたは、「住んでる場所と、仕事を聞かれるよ。」とおばさんに言われた。
店に入ってきたマスターは僕のことを見もせずに、タバコ吸わないで。
と言った。なんのための灰皿なのだろうか。
客席に座ったマスターは、「住んでる場所、仕事は何?」と言った。
まるで面接官のようだ。
「〇〇に住んでます。仕事はお笑いをやってます。」と僕は答えた。
「無理だね」と彼は言った。
アハハハハハそうですよね。と僕は言った。
それから30分ほど、僕は努力が足りないと彼に怒られ続けた。
なんで休みの日までヘラヘラしなくてはならないのだろうか。
それは僕がまだこれからも生きたいからである。
これは「世間」の出来事に過ぎない。と僕は自分に向けられた言葉をかわしながら、そう思うことしか出来なかった。
耳鳴りが止まらないのである。
2度と行かない。アイスコーヒーは旨かった。
相手を貶めるとか、結果的にそうゆうことになったとしても
自分のために怒り狂ったりしてもいいのではないかと、最近思う。

帰りはHIP HOPを聞いた。

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落合諒です。お笑いと文章を書きます。何卒よろしくお願いします。