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誰も泣かない世界の話

人々の心は空っぽで 無感情だった

そんな世界を逃れ 孤立する者がいた

ティアメイカーだ

猫背で青白い顔の陰うつな男

だけど 瞳は明るく澄んでいて

水晶の涙を作れた

人々は感情を持ってみたくて

彼に 泣かせてと頼んだ

そこで彼は皆の目に 涙を授けてやった

すると人々は

怒り 絶望 痛み 苦悩に涙を流した

あふれる激情や 深い失望で泣いたのだ


これはイタリアの子供向けの物語だ。
結末はなくこれで話は終わりだ。

どうにも頭からはなれず、
読者の方と共有しようと思って書いた。

ティアメイカーは善人だろうか?それとも悪人?

泣けない世界は楽園なのか地獄なのか

涙で感情を取り戻した人々が感じたのは
悲しみや苦しみだけだったのか

孤立したティアメイカーは
何を思っていたのだろうか。

誰かを悲しませないために離れたのか。
自分だけが辛くて悲しくて泣いていたのか。

簡単な内容なのに妙に考えさせられる。
読む人によって感じるものがあると思う。


Netfrixで配信している
ティアメイカーという映画を観た。

いつもなら映画三昧で感想など
詳しく紹介するところだが、
今回は映画の冒頭で語られた
ティアメイカーの物語に惹かれ紹介したいと思った。

恋愛ものは普段観ない。
観てみようかと思ったのは内容が
児童養護施設で育った男女の複雑な愛の話
だったので少し興味をもったのだ。

養護施設の女院長は長年、
子供達に虐待を繰り返していた。

ピアノの上手な美しい少年ミゲルを溺愛していた。
ミゲルは8歳で施設に来たニカに心を寄せている。
そのせいでニカは院長から目の敵にされ
暗い地下室に縛り付けられ放置されたり酷い扱いだった。

ミゲルはわざとニカに冷たくし
嫌っているように見せかけていた。

子供達はみな里親が見つかるまで
院長の機嫌を損ねないよう
感情を殺して生きるしかなかった。

高校生くらいの歳になってニカは
ある里親に引き取られることになった。
たまたまピアノを弾くミゲルをみた里親たちは
彼も一緒に引き取りたいと申し出る。
こうしてミゲルとニカは同じ里親の家で暮らし始める。

イタリア少年ミゲルがムンムンした魅力を発している。
ニカと抱き合うシーンは首筋への狂おしいキスや
めくりあげた洋服の下の腹部に顔を埋め
肌の感触に陶酔した表情のミゲルの
幼稚さとエロティックさが美しい。


実は恋愛ものは苦手だ。

ミステリーでもアクションでも大抵
男女が近づくとSEXシーンになる。
観ていられなくて早送りする。

何年か前からかラブシーンに酷く
嫌悪感を持つようになった。
まったく感情移入出来ないし、
肌を触れあっているのを観ると不快感が込み上げる。

なぜだろう?
恋愛が嫌いになったのかな。
歳のせいか?
ひとりで暮らす快適さに慣れてしまったのかも知れない。
誰かと一緒に暮らすのは、
例えそれが家族だとしても
何らかの軋轢があったりして苦労するものだ。
自分はもう解放されている。
子供は早くちゃんと自立させた方がいいと思う。


ティアメイカー  涙と感情を与える人

誰も泣かない世界

自分のいる世界

自分にとってのティアメイカーは
一体どこにいるのかな。。


今日も読んでくださった方ありがとうございます。

田中もなかは読者様のサポートをパワーに執筆活動をしています!よろしくお願いします!