おぐてら

東京で小さな日本酒のお店を営む夫婦。 山が好き、旅が好きな夫と 音楽とお酒が好きな妻。…

おぐてら

東京で小さな日本酒のお店を営む夫婦。 山が好き、旅が好きな夫と 音楽とお酒が好きな妻。 旅の記録や日々のことを少しずつ。 ※山のことは【Steps】 日々のことは【Scene】として記録 2019/4月〜2019/5月  スペイン巡礼(カミーノ)を歩きました。その日記も少し

最近の記事

【Step5】春の歴史探訪ハイク(御岳山〜日の出山)

 お店の皆と行く山の企画。今回は、春の御岳山。 コース概要は以下の通り。()内は通過時刻。 JR古里駅(9:00)→丹三郎尾根→中ノ棒山(11:00)→大塚山(11:15)→御岳山/武蔵御嶽神社(12:20)→日の出山(13:30)→つるつる温泉(15:10)下山 コースタイムは6時間10分。 歩いた距離は約12km。 標高差は登り1117m、下り1029m。 山行記録春の丹三郎尾根  直前まで危ぶまれた天候もなんとかもち、今回の山行も雨にやられることなく行うことが出

    • 【Scene9】僕たちのthe least common denominator

      ひとりごと インバウンドが増えた。らしい。  最近、神保町を歩く外国人が増えた。世界を見ても有数の古書店街であるから、元々そういうコアな層には人気があったのだろう。コロナ禍で一時期街から外国人が消えた瞬間はあったけれど、あの時は外国人に限らず人が街から消えた。それが戻ってきたと言えば戻ってきたのだけど、それにしても以前よりもずっと増えたような気がする。  古書と言ってもその分野は幅広く、神保町には学問からコミックまで全てが散りばめられている。ある人にとっては宝物のような一

      • 《Step4》鹿沼アスレチックハイク(04/07)

         「岩場を歩く練習がしたい。」と言う友人に誘われて、栃木県まで行ってきた。鹿沼市に丁度いい山があるらしい。その名も岩山。いかにもな名前にどんな山なのか興味が湧いた。 鹿沼岩山(328m)栃木百名山  栃木県鹿沼市にある岩山は、標高328mの低山だ。高さだけ見れば千葉の山々とそう変わらない里山だが、この山の良さは手軽に岩場歩きを楽しめることにある。三番岩、二番岩、一番岩(岩山山頂)と岩続きの尾根を歩き、最後には猿岩と呼ばれる70mに及ぶ長大な鎖場を下るルートもある。この猿岩

        • 《step3》秩父の絶景ハイクと酒蔵探訪

           今月も皆と山に登る企画の日がやってきた。今回登る山は、埼玉県は秩父にある丸山(960.3m)だ。西武秩父線の芦ヶ久保駅からスタートし、丸山まで登り、金昌寺まで下る。下山後には皆さんお待ちかねの酒蔵訪問。秩父の銘酒、武甲正宗を醸す武甲酒造にお伺いするというプラン。今回は春の低山ハイク&酒蔵見学ということもあって参加人数も14人と増えて、賑やかな山行になりそうだ。 秩父丸山について  埼玉県の山と言えば何が浮かぶだろう。上州寄りには峻険な岩場を擁する二子山や、日本百名山にも

        【Step5】春の歴史探訪ハイク(御岳山〜日の出山)

          春のおとずれ(Scene8)

           年始から続く脚の怪我もあってなかなか腰が重くなっていた平日の高尾山トレーニングも、ようやく再開する気になってきた。と言っても自分で奮い立ったわけではなく、友人がたまたま今時期平日に時間があって暇だと言うので、それなら一緒に高尾山でも行こうかと誘っただけなのだけど。  一度途切れた習慣を再開させるのはなかなか難しい。何かきっかけが必要だった。幸い高尾山は天気予報も良いと言うので、彼と久しぶりに高尾山から小仏城山を歩いてみることにした。二人で山を歩いたのは一度きり。13年前に

          春のおとずれ(Scene8)

          Love小諸酒(Scene7)

          「千葉酒をメインでやっております。」 そうは言っていても、全部が全部千葉のお酒だけと言うわけでもない。千葉以外のお酒も一定割合用意するようにはしている。だいたい千葉酒8:その他2というくらいだろうか。  千葉酒以外はどんなお酒があるのかと言うと、その殆どは僕達が旅先で出会ったお酒だったりする。僕は山登りが趣味ということもあって、出先に酒蔵があると入らずにはいられないし、買って飲んでみずにはいられない。必然、所謂“山の酒”の割合は多いような気がする。山とお酒は切っても切れない

          Love小諸酒(Scene7)

          山とお酒の買い出し(Scene6)

           先日久しぶりに雪山へ行った。どのくらい久しぶりかと言うと、もう10年近くぶりの様な気がする。アイゼンやワカン、ピッケルの使い方はもちろん、そもそもそれらが錆びついていないか、ウェアが経年劣化でやられていないか、そう言う確認を一つ一つするところから始まった。幸い道具で使えなくなった物はない。良かったよぅ。これ、一つ買ったら何万円するんだよっていうものばかりだから。 今回の行き先は群馬県の谷川連峰の一つ、白毛門。  人気の理由がわかる、素晴らしい眺望だった。白毛門まではひた

          山とお酒の買い出し(Scene6)

          春酒の季節(Scene5)

           急に暖かくなったかと思えばまた寒くなってしまったり、ここ最近は着たり脱いだりが忙しい。暖かくて風が気持ちいいから入口のドアを開けておくかと思えば、花粉のせいか鼻がムズムズする。だけど、まだ認めない。僕が鼻をすすっているのはきっと目の前で切っている葉たま葱のせいだから。  お客さん達は気温に敏感だ。その日が暖かい、寒いによって日本酒も冷で飲むか燗で飲むかを切り替える。酒が飲めない店主からすると、気分や気候で飲み方を変えられるのは粋で羨ましいと思う。  まだまだ店では熱燗の

          春酒の季節(Scene5)

          戯れ(Scene4)

           “はしご飲み”というものが、お酒好きにはたまらないらしい。はしご飲み(はしご酒とも呼ばれる)とは、次から次へと場所を変えて飲み歩くこととされている。「色んなところでちょっとずつお酒を楽しむ」のが楽しいみたいで、神保町にもはしご飲みに良いお店が結構ある。コロナ禍で一度は滅びかけた文化が、最近少しずつ戻ってきたような気がする。  はしご飲みで色んなところに顔を出すとそれだけ色んなお店に顔が利くようになって、常連さん同士が馴染みの飲み仲間になったりするようだ。例に漏れずうちにも

          戯れ(Scene4)

          《step2》三浦アルプス(02/12)

           お店の皆と行く山の企画、今回は神奈川県三浦半島を縦横に走る三浦アルプス山行。昨年に続いて第二弾である。冬の低山はやはり良い。 山域紹介三浦アルプスの地形  神奈川県の東端に位置する三浦半島を縦横に走る山域は、三浦アルプスと呼ばれて親しまれている。最高地点でも茅塚(214m)と決して標高は高くはないが、起伏に富んだ尾根道や秘境感漂う沢筋、知る人ぞ知る藪ルートなど変化に富んだ地形は人気の高い山域だ。  三浦アルプスの地形は主に北脊梁と南脊梁に大別される。それぞれ西から見た

          《step2》三浦アルプス(02/12)

          酒場トークセッション(Scene3)

          酒場でしてはいけない話  “酒場でしてはいけない話”が三つあると昔から言われているらしい。それは政治、宗教、そして野球の話。これらは酒が入ると話が拗れてしまうからダメなのだそうだ。まぁ、カウンターに立って色んな人が色んな話をしているのを目にしている身としては何となく察するところがある。  三つの話題のうち野球は割と安全に話が展開されているような気がするが、政治と宗教は確かに話題としては繊細だ。人それぞれに信条があったりして、それが強ければ強いほど、政治と宗教の話題には熱が

          酒場トークセッション(Scene3)

          こんな夜(Scene2)

          「今日はさすがにお客さんも来ないだろう。」 なんて雪を見ながら妻と話していたら、 「こんな日だから、今夜は飲みに行こうかな。」 と、常連さんから連絡が来た。気象庁から大雪警報は出されるし、交通機関は早々に制限されるし、通りにはいつもより随分人が少ないように感じる。今日じゃないと思うなぁーと言いながら、少し心が温かくなる。  それでも今夜は忙しくはならないとたかを括ってのんびり準備していると、連絡をくれた方ではない常連さんがいらっしゃった。だいぶ寒そうに肩をすくめながら、「今

          こんな夜(Scene2)

          雪と水道管(Scene1)

           都会に降る雪が嫌いじゃないのは、「こんな場所にも雪は降るんだな。」という当たり前のことに対する違和感のせいだと思う。今日の千代田区は風もないから、空からまっすぐに落ちてきた雪はアスファルトに消えていく。東京でも西側の山の方は積雪の恐れもあるというが、こちらはどうだろう。  都会の雪は嫌いじゃない。嫌いじゃないけれど、好きだとも言い切れない。  このまま振り続ければ積雪はないにしても、夜には凍結してしまうかも知れないな。歩きづらくなった凍結路は面倒だけど、それより何より僕

          雪と水道管(Scene1)

          《the 1st step》鋸山(1/14)

          2024年最初は房総の山へ  田園地帯を走るJR内房線に揺られながら窓の外を見る。先程総武線で走り抜けたマンションの立ち並んだ無機質な風景は、内房線に乗り換えて千葉駅を過ぎると一気に田舎の雰囲気が漂い出し、木更津駅を過ぎた頃には別の国に来たのかと思うほど長閑なものになった。木更津で生まれ、九十九里で育った僕はこの風景が好きだ。いくつになってもこの景色は懐かしい。  雲一つ無い真っ青な青空に、飛行機が一機、また一機と現れては去っていく。都会と違って人工的な遮蔽物のない広い空を

          《the 1st step》鋸山(1/14)

          No title

          山の記録を綴ることにした。 東京でお店を始めてから4年が経つ。2019年に夫婦で始めた店は間もなくコロナ禍と呼ばれた荒波にのまれたが、少しずつ増えていったあたたかなお客さん方に支えられてそれも何とか乗り越えられた。  2022年頃からは少しずつお客さん達と登山に行くなんていう企画も始めてみた。きっかけは些細な酒場での会話。酔った拍子に「富士山に登ってみたい。」と言ったお客さんがいて、じゃあ折角だから皆で登ろうか。ということになったのが、そもそもの始まりだ。それが2022年の

          表題の決まらない旅の記憶⑦

          【No.8】 コ・タオ (タイ~マレーシア縦断)26歳になる誕生月を機に 働いていた会社を辞めた。 そして、沢木耕太郎の深夜特急になぞらえて マレー鉄道でタイとマレーシアを 縦断するため、最終出社日の翌日には バンコク入りしていた。 入社時には生涯この会社に尽くすと 決めた覚悟も、新しいことをすると決めた 新たな覚悟に上塗りされたことで 跡形もなく消え去った。 それがどれだけ安定していようと、 夢や希望を追い求める衝動には到底敵わない。 かと言って安定した人生に 魅力がな

          表題の決まらない旅の記憶⑦