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「買わなきゃ損!」その判断は本当に正しい?

年に一度の大規模セール!

こう聞くと「買わなきゃ損!」と感じ、必要のないものまで買ってしまったことはありませんか?

損得勘定で考えると、一番得なのは「何も買わない」ことかもしれません。

にもかかわらず、どうして我々はついつい買ってしまうのでしょうか?


「損をしたくない!」という気持ちが、意思決定をゆがませる


「損をしたくない!」という心理を説明を試みたのが、プロスペクト理論です。プロスペクト理論とは、不確実性下での意思決定を行う際に、人間本来の認知バイアスを取り入れた意思決定モデルのことを言います(出所:みずほ証券・一橋大学)。

提唱したのは、ダニエル・カーネマン(Daniel Kahneman)とアモス・トヴェルスキー(Amos Tversky)の二人の経済学者です。Kahneman&Amos(1979)で初めて紹介されました。

Kahneman, Daniel, and Amos Tversky. "Prospect Theory: An Analysis of Decision under Risk." Econometrica 47.2 (1979): 263-292.

詳細は原著を読んでいただくと深まりますが、簡単に言えば、「利益を得ることよりも、損をしたくないという気持ちが働きやすい」ということです。

具体例を交えて考えてみましょう。たとえば、大富豪がみなさんに次の2つの選択肢を提示したとします。みなさんは、どちらの選択肢を選びますか?

  • 選択肢A 何もしなくても「100万円」を100%の確率で受け取れる

  • 選択肢B くじを引き、200万円を50%の確率で受け取れる(50%の確率で何も受け取れない)

多くの人々が選択肢Aを選ぶのではないでしょうか。なぜなら、選択肢Bを選べば、何も得られない(損をする)という可能性があるためです。

ただ、期待値を計算すると、選択肢AもBも同じはずです。その期待値がわかっていても、損失を回避しようと動くのが、プロスペクト理論のポイントなのです。


「期間限定キャンペーン」「宝くじ」「全額返金保証」・・・プロスペクト理論はさまざまな場面で活用できる!


プロスペクト理論はビジネスのさまざまな局面で応用されています。

たとえば、「期間限定キャンペーン」はその代表例です。これは、消費者が「損をしたくない」という気持ちを強調し、購買意欲を高める手法です。同様に、「早期購入特典」もこのアプローチの一環で、消費者に「今購入しなければ損するかもしれない」という印象を与えます。

「宝くじ」もプロスペクト理論が効果的に利用されている事例です。通常、宝くじで一等が当たる確率は数千万分の一と極めて低いにもかかわらず、「自分なら当たるかもしれない」という過度な楽観主義に基づいて非合理的な購買行動を取ることがあります。

また、「全額返金保証」も、消費者が商品やサービスを試す際のリスクを軽減するために、プロスペクト理論をうまく取り入れた手法でしょう。この制度があると、消費者は「試してみて駄目ならお金を戻せる」と考え、新しい商品やサービスを試してみる意欲が高まります。

このように、ビジネスの多くの局面でプロスペクト理論は活用できます。消費者が損失を避ける傾向があることを考慮に入れ、リスク評価の視点を補完するために、この理論を利用することで、より効果的な意思決定とマーケティング戦略が実現できるでしょう。

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