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もし大谷育江の「ピカチュウのうた」が古典和歌だったら

世界に誇る日本の人気キャラクター、ピカチュウ。
実は歌も歌えるということをご存知ですか?

「ピッカッチュウー!」の、あのお馴染みの鳴き声だけで歌い上げられる「ピカチュウのうた」。

初めて聴いたときは「かわいすぎる…!!!」と驚きを隠せませんでした。


ピカチュウの声を演じるのは、「ONE PIECE」のチョッパー役や「名探偵コナン」の光彦役でも有名な大谷育江さん。

噂によると、元々ピカチュウは人間の言葉を喋る設定だったところ、大谷育江さんの表現力が高すぎて鳴き声だけで演じることになったのだとか。

本当に実力のあるすごい声優さんですよね…!


ちゃんと人間の言葉に聞こえる鳴き声

ピカチュウの鳴き声って、ちゃんと人間の言葉に聞こえるように演じられているんですよね。

「サトシ」は「ピカピ」、「ゲットだぜ!」は「ピッピカチュウ!」などなど…。

TVで何度も聞いていると、だんだん人間の言葉にしか聞こえなくなってくるのが面白いところ。笑

今回取り上げた「ピカチュウのうた」にも、人間の言葉に聞こえる部分がいくつかありました!

特に「ピカ ピ~カピカ!」が「みんな一緒だよ!」にちゃんと聞こえるので、気になる方はぜひ原曲を聴いてみてくださいね。


残念ながら歌詞には共感できなかった

最初から最後まで「ピカチュウ語」で歌われるこの曲。

正式な歌詞を調べてみると、ところどころかっこ書きで意味が込められていました。

ピカチュウ ピカピカ
(「みんなで進もう!」)
ピカピカチュ!
(「平気だよ!」)

ピカチュウ ピカチュウ(ピカ)
(「いつだって」)
ピカピカ ピカチュウ(ピカ)
(「一緒だよ」)

大谷育江「ピカチュウのうた」より

なるほど。うーん…。

残念ながら、歌詞の内容を何度読み返しても、私の心に響いてくることはありません。

「みんな」って誰?
「いつだって一緒」なんてことある?

幼い子供が聞けば勇気づけられるのかもしれませんが、ある程度の年齢と経験を重ねてしまった私には疑問ばかりが残ります。


どれだけ仲の良い友人でも、それぞれのライフステージが変わって価値観が合わなくなることは珍しくありません。

信頼していた人に傷つけられ、ときには縁を切るという決断をすることもあるでしょう。

「いつだって一緒」なんて、簡単に言いきれるものではないのです。

違うと思ったら去る。
これは咎められるようなことではないし、むしろ合わないと分かっていながら無理に付き合い続けるのは「執着」でしかないのでは?

それに「みんな一緒だから」がモチベーションにならない人だっていますよね。

みんながやっているからやる。
それって思考停止じゃないの?


…と、そこまで考えたところで我に返りました。

私ってもしかして、かなりのひねくれ者??笑


ピカチュウの真の思いに耳を傾ける

現代の曲を和歌にしてみるこの企画。

歌詞に反論ばかりしていても仕方ありません。

そこで今一度、ピカチュウが本当に伝えたいことは何なのかを考えてみることに。

聴いた人に前向きになってもらいたい。
聴いた人に勇気を出して一歩踏み出してほしい。

伝え方や言葉選びはどうであれ、きっとピカチュウは誰かに勇気を与えたいと思って、歌ってくれているのだと気が付きました。


私が初めてこの曲を聴いたときに感じたこと。

声がとんでもなくかわいい!
聞いているだけでにやにやしちゃう…!

このとにかくキュートな声に元気をもらえることは確かだと思ったのです。

しかも健気に「ピカチュウ」という鳴き声だけで伝えようとしてくれている…!

これらの点に改めて着目してみることにしました。


ひちちかなり=ぴちぴちと活気があり元気だ

ピカチュウの声を聞くと元気になれる。
耳から癒され、心がときめき、行動する勇気をもらえる。

そんな状態をぴったり表してくれる言葉はないか?と探してみました。

「ひちちかなり」。
今回、私が初めて知った古語です。

意味も素敵ですが、言葉の響きにもなんとなくピカチュウを連想させる可愛らしさがあると思いませんか?

またひとつ、美しい日本語に出会わせてくれたピカチュウに感謝です。


そしてピカチュウの、いつまでも初々しく健気で一生懸命な態度を、私も少しは見習わねば。。

そんな風に感じさせられた一曲でした。笑



我が声に ひちちかなれと 言の葉の
通はぬ君に いかで伝へむ


※解説は冒頭のインスタ参照


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