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もし千石撫子の「恋愛サーキュレーション」が古典和歌だったら

TikTokなどのSNSで再びブームを巻き起こしているこの曲。

原曲はアニメ「化物語」に登場するヒロインの1人、千石撫子ちゃんが歌う可愛らしいOPソングです。

「せ~のっ♪」から始まる天使のようなウィスパーボイスは、何年経っても色褪せませんね…!


今回は、そんな伝説のアニソン「恋愛サーキュレーション」を和歌にしてみました。

関連して、「化物語」のED曲「君の知らない物語」も和歌にしているので、興味のある方はぜひ。


一番かわいいフレーズを和歌にしたい

年上の男の子への片思いを、健気かつチャーミングに歌うこの曲。

どこを切り取っても癒しの要素しかないのですが…。

せっかくなので、私が一番かわいいと思うフレーズを和歌にしたい!と考えました。

それが次の部分。

私の中のあなたほど
あなたの中の私の存在は
まだまだ大きくないことも
わかってるけれど

今この同じ瞬間
共有してる実感
ちりもつもればやまとなでしこ!
略して?ちりつもやまとなでこ!

千石撫子「恋愛サーキュレーション」より

特に大好きなのが、最後の2行です。

「塵も積もれば山となる」「大和なでしこ」「千石撫子」が三重に掛かっているなんて!と、初めて聴いたときはさすがに唸りました。

しかも「やまとなでこ!」の歌い方がとにかくかわいいんですよね…!

当時、この部分だけを何度も繰り返し聴いたものです。笑


今回は、ここのフレーズを和歌にすることに。


「私の存在」をどう表現するか

結論から言うと、「私の存在」という歌詞は「我が命」と表しました。


私はあなたと目が合うだけでこんなにドキドキしているのに、あなたはきっと何とも思っていない。

あなたにとっての私は、なんてちっぽけで儚い存在なのだろう…。

撫子はそんな気持ちで歌っていると思うのです。

そして、平安時代の感覚で“儚いもの”といえば「命」。

命の儚さにまつわる古典和歌は少なくありません。

命やは 何ぞは露の あだものを 逢ふにしかへば 惜しからなくに(紀友則)

「古今和歌集」より

命なんてどうせ露のように儚いもの。
君に会うのと引き換えにするなら惜しくもないよ!

…といった意味の和歌です。


露は消えていくものですが、塵は積もっていくもの。

たとえ儚い存在でも、いつか両想いになれる日を夢見て、小さな思い出を積み重ねていきたい!

そんな健気な乙女心を「塵」の比喩に託してみたつもりです。



はかなしや 人には塵の 我が命
積もり積もらば 山とならむや


※解説は冒頭のインスタ参照


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