見出し画像

もし森高千里の「私がオバさんになっても」が古典和歌だったら

森高千里といえば、「いつまでもオバさんにならない」の都市伝説(?)で有名ですよね。

1992年に発表された彼女の代表曲のひとつ、「私がオバさんになっても」のタイトルをもじって語られる、洒落の効いたフレーズです。

事実、今も現役歌手としてこの曲を歌い続けられていますが、どの年齢の歌唱映像を見てもやはりミニスカートがよく似合っていて、爽やかで若々しいのです。

特にイントロの振り付けは、何度見ても癖になる可愛さ…!

私もカラオケに行けば、必ずと言っていいほど歌ってしまう曲です。(※もれなく振り付き)


実はとても誠実でピュアな歌

この曲、タイトルがとてもキャッチーで、一見ふざけた曲に思えるかもしれません。

しかしきちんと歌詞を聴くと「年老いても末長くあなたと添い遂げたい」という、とても誠実でピュアな歌だと分かります。

私がオバさんになったら
あなたはオジさんよ
かっこいいことばかり言っても
お腹がでてくるのよ

森高千里「私がオバさんになっても」より

普段から冗談を言い合う関係なのか、素直になれないけれど、本当は大好きだという気持ちが伝わってきますね。


ところで、現代のヒット曲を和歌にするこの企画、どうしても歌詞の一部を切り取ってフィーチャーすることになります。

そのとき歌詞のどの部分を切り取るかが問題になりますが、私は落ちサビを使うことが圧倒的に多いと最近気が付きました。

というのも落ちサビには、その曲で最も言いたいことが集約されがちだからです。(異論は認めます。笑)


このような理由で、今回の曲も落ちサビの部分を使うことに!


ふる=古くなる、老いる

「老い」をテーマにした古典和歌は少なくありません。

むしろ「恋」や「季節」と並ぶ立派なジャンルになり得るのでは?と思うほど、老いの悩みはたくさんの人に詠まれてきました。

中でも「ふる(=老いる)」が使われている、私の大好きな古典和歌がこちら。

たのめ来し 言の葉今は 返してむ 我が身ふるれば 置き所なし(典侍藤原因香朝臣)

「古今和歌集」より

ずっと心の拠り所にしてきたあなたの手紙、返すね。
もう若くないから置くとこ無いの。

そんな意味の和歌です。

人からもらった手紙をどう処分するか、現代の私たちでも悩みやすい問題ですが、送り主に返却するとはなんとも斬新ですよね…!笑


自分の老いを気にしながらも、堂々と思いを伝える女性は、いつの時代も魅力的だと感じます。



な弄ぜそ 末に我が身の ふるるをり
かつ肥えたるは 君が腹かな


※解説は冒頭のインスタ参照


この記事が参加している募集

#古典がすき

3,913件

#今日の短歌

38,567件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?