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【#22】《ゲスト回》メンタルヘルスとコーチング 〜久米澤咲季さん 〜

概要

記念すべき今年第一回のゲスト回、久米澤咲季さん(さきさん)に来ていただきました!
「気づいたらヒトのエンパワメントにずっと関わってきていた。辛いヒトや傷ついているヒトを放っておけないという習性があることに気づいてきた」
そう語ってくれたさきさんは、国際協力や社会課題の現場に関わってたキャリアから、この春から臨床心理学の学びの道に進まれます。
社会課題の現場で観て・聴いてきた、今人々が必要としていること。そしてプロコーチとしてクライアントさんとの関わりの中からパンデミック渦に実感した人の心の移り変わり。彼女がたくさん受け止めてきた想いをたっぷり濃ゆく語ってもらいました!
これからの社会に、この業界にむちゃくちゃ必要な新たな役割を創り出す挑戦を始めようとしているさきさん、応援してます!
私たちもあやかりたい🌟

【ゲスト】久米澤咲季さん紹介

これまで国際開発や人材育成の仕事を通じて、「人のエンパワメント」をライフワークにしたいと思うに至る。

現在はNPOで人材育成×社会課題解決を目指すプログラムの実施や、コーチとしてキャリアコーチングや研修を実施。

2023年4月からは大学院で臨床心理学を学びながら、さらに幅広く「心の健康」に関わる活動をしていく予定。

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配信内容全文

さきさん自己紹介

Kakky)今回は今年に入って初回のゲスト回です。
前の回で、去年を振り返って、今年はいろんな人の声を聞いていきたい、というのを宣言していたよね。そこから早速お話を持っていて、承諾していただけた方です。

NPO法人クロスフィールズに所属されている、久米澤咲季さんをお招きしました。私の尊敬する大先輩、仲間です!
まずはさきさんから自己紹介をお願いします。

さきさん)ありがとうございます。久米澤咲季と申します。よろしくお願いいたします。
私がどんな仕事をしてきたかをまずは紹介します。
元々は国際開発と呼ばれる発展途上国の支援をアメリカの大学院で学んで、そういう仕事をしていた。主にインドネシの仕事をやることがすごく多かった。そんな20代を過ごしながら、いろんな支援の中でも、人、人の心、エンパワーメントみたいなところに一番関心があることに気付いた。

そこから、クロスフィールズに入ったのが7年半前。
クロスフィールズに入ってからは、主に日本の企業の人材育成のプログラムみたいなことをずっとやってきた。
そのプログラムの中で、日本の企業に勤めてらっしゃる方が、日本や海外のソーシャルセクターに行って、色んな貢献や経験をして、リーダーシップを磨く、現地の社会課題解決を目指していく、そんなプログラムをやりながら、すごくやりがいを感じていた。

昨年、大きな変化があった。クロスフィールズの仕事は今もやっているがフルタイムではなくなって、臨床心理学を勉强したいという気持ちがむくむくと湧いてきて受験をして、今年の4月から大学院で臨床心理学を学ぶ新しいスタートを迎えることになった。

Kakky)ありがとうございます。

さきさん)行くところなくなったらどうしようかな、と思いながら一年過ごしています。

メンタルヘルスとコーチングの違い、関係

Kakky)すごい方向転換をされたのですね。
私達がこのポッドキャストでお話している、NPOやソーシャルセクターの界隈に身を置きながら、その現場で人や社会課題に向き合いながら、コーチとしてもプロフェッショナルでいらっしゃるのですよね。事業の中でもコーチングを使われていたし、組織のチームマネジメントでも実践されて、というのが仕事のなかでありましたよね。
今もパーソナルコーチングを実践されている、というのがありながら。
「ながらながら」で更にこれから、心の健康ということで臨床心理学!

ちなみに、臨床心理学というのが良いんですかね?言葉の選び方、メンタルヘルスの方がよいでしょうか?

さきさん)色んな表現がありますが、一旦、ここではメンタルヘルスという言葉で行きましょう。

Kakky)そちらの領域にも広げていくということで、パワフルなさきさんです!
メンタルヘルスっていう言葉は、このポッドキャストの中ではおニューなキーワードかもしれないですね。

かず)燃え尽きとかいう言葉はたびたびでてきたけど、メンタルヘルスという切り口ではあまり話してないですね。

Kakky)その辺の違いがどういうものか、聞いてみてもいいでしょうか?

さきさん)しっかり定義づけるというか、一般的にこういうふうに理解されてますよ、という意味で話してみると。
世間的によく言われるのは、コーチングはその人がよりありたい姿、なりたい姿、目指したいところに向かって、自己実現的なものを目指して関わっていく対話。
メンタルヘルスの領域でも、カウンセリング、セラピーは、何かしら心に問題・課題があって、それを良くしていく、戻していくもの。そういう違いがある。

皆さん、想像つくと思いますが、心って目に見えないものなので、そこまでパキッと分かれるものでもないと、私はすごく感じるところで。
お医者さんが「あなたは今こういう状態ですよ」と何か診断を下すことで何か一つクリアになるところもあるけど、とはいえコーチングでも元気のない状態で受けることもありますし、なかなか白黒つけるのが難しいところもあるんだろうなと思います。

ばんばん)付け加えておくと、プロコーチの職業倫理の一つに、メンタルヘルスでうつ病などの診断を受けた人にコーチングをしてはいけない、というものがある。
そういう意味では、コーチングの側からも、はっきりと専門性としては切り分けているところ。

なぜメンタルヘルスの道に?

お聞きしたいのは、コーチングをやられている中で、更に、コーチングでは扱えない領域、メンタルヘルスを学ぼうと思われたのは、何が起きたんですか?

さきさん)色んなことが重なって、今この道を選んだという感覚はあるんですけど、コーチングの文脈で言うと、コロナ禍になったのは結構大きかった。
組織の中でもやってたけど、個人でも色んなクライアントさんと対峙することがあり、環境変化によるちょっとした心の落ち込み、クライアント以外のところでも、メンタルヘルスがかなり大きな問題になっている。
コーチングをやってたからこそ、1対1の対話のインパクトにすごく実感があったので、もっと広い形で何かできることがあるんじゃないか、と思ったのが一つ

また、コーチングとは別の面で、NPOで働く中で、他のNPOの人が現場で頑張っていて、どこに行っても心の問題は普遍的であり、どこでも専門家は必要だが、なかなかいなかったり、リソースとして良い人が見つからない、という声が聞こえてきた時期があった。

そのときにハッと、「これ、なんか私やりたいかも」と。
ここで役に立つことができたら、すごく、今まで一緒に同じものを目指してきたソーシャルセクターの仲間に、何か役に立てるかも、というのを思った。

ばんばん)ビビッときた感じが伝わってきました。

さきさん)そう。なんかあの日、降りてきたんです。その後、見切り発車して決めてしまいました。

かず)そこに何があるかもわからないけど、行く、みたいな感じ、いいですね。

Kakky)そこに自分が入っていけると、何かピースを埋められそう、っていう感覚があったのかな。
こういう人、こういう事柄に向けて、関わっていきたいな、どういうふうに自分が入っていきたいな、とか具体的なものはあったんですか?

さきさん)降りてきた感覚があったときに、いろんなNPOから聞こえてきた声というのは、例えば。
不登校の支援をしている団体さんだったり、難民支援の団体さんだったり、すごく必要とされているのに届いていないところがたくさんあって。
行政がやっているのと違うところ、埋められないところを頑張ってらっしゃる。そういうところに入っていきたいな、というのがすごくあった。

一方、クロスフィールズでは大企業向けの人材育成プログラムをやってきたので、企業の中で心の問題を抱えてしまうのはすごく多いので、そういうことでも貢献したい。

考えてみると、色んなことが出てきてしまう。今はあれもやりたい、これもやりたい、と溢れているような感じ。

ばんばん)今まだ大学院行く前だけど、楽しみな感じ!早くそういうところに届けたいという。

さきさん)まさにそうなんです!これから勉強するんですけどね(笑)
始まる前から始まっているという感じ。

ソーシャルセクターでのメンタルヘルス

Kakky)今時点で考えるだけでも、ここにもあそこにも、と出てくるくらいだから、まだ見えていないさらなるニーズはまだたくさんあろうだろうし、すごく大事なところに入っていこうとしているんだろうな、と感じます。
私達もよくテーマとして扱っている、NPOで働く人達こそバーンアウトする瞬間があって、誰かのためにと思っていると自分をおろそかにしがち、とよく言ったりするけど。
そのときにコーチングでも関わっていけるよね、っていう話をしたりするけど、場合とか状況によって、メンタルヘルスっていう観点からのアプローチが必要になる人もたくさんいますよね。

さきさん)まさにそうだと思いますし、元気に仕事できているときであれば、コーチングでできることってすごく幅広いし、私もコーチング大好きだし可能性は追求したい。
一方で、国際協力の業界、国内のNPOもそうだと思うんですけど、そういうところで働いている方こそ、すごく利他的で頑張り屋さんで、きづいたら自分がぼろぼろになっているのは、結構よくあることだと思うんですよね。
過酷な現場に毎日いる人もいますし、そういう人が元気に働けることが、私にとってすごく大事なこと。できればそういう人たちに何か届けることができたらな、と思う。

かず)学ぶにあたって、今まで見てきた方の顔が具体的に浮かぶ感じなんですかね。

さきさん)浮かびますね。私の中ですべて線でつながっているのだけど、国際協力の仕事、災害の支援だったり、難民キャンプだったり、本当に難しい状況で。もしかしたら支援に行った人もトラウマを負うようなこともあるかもしれないし、日本の色んな社会課題の中でも疲弊するような瞬間、すごくたくさんあると思う。
出会ってきた人たちの顔も思い浮かびますし、これからそういうことを頑張りたいと思っている人たちを守りたい、みたいな気持ちもあるかもしれない。おこがましいですけど。

ばんばん)いやいや、すごく大事ですよ。
さきさん、今、セクターに必要な新しいキャリアを作ろうとされるんじゃないかと思う
ある子ども支援の団体と話したとき、コロナ、物価高、いろんなことがあるなかで、ますます苦しいご家庭がどんどん苦しくなっている。虐待の事案もまた増えてきてしまっている。
そういうしんどいケースに職員が対応して、職員もしんどい状況になってケアが必要でケアを入れようとしている、という話も。
職員の方にそういうサポートがあることも大事だし、その先にいらっしゃる苦しい状況の方、お金、食べ物、そいうことの支援も必要かもしれないが、まずは心のケアをしたり。全体として包括的に扱える職種って意外と少ない。
ソーシャルワーカーはそういう仕事だと思うんですけど。
同時に、その人が少しずつ元気を取り戻してきたときに、今度はコーチングとして、本当にやりたいこと、こうしたいとか、実現していくことまでできる、そのプロセス全部を見ながら関わっていける対人支援、すごく現場では必要だなと思う。
なかなか専門性が高くて担い手が少ない中、さきさん、よろしくお願いします、みたいな。

Kakky)色んな剣を使いながら、シュッシュッシュと何刀流でもやっていくような感じ。

ばんばん)クロスフィールズの方に怒られちゃうけど、勝手に他のNPOに電話しちゃおうかと、「こういう人いますよ」って(笑)

かず)なかなか一つの方法論、フレームワークですべてのことには対応できない。特に複雑性が増している今、メンタルヘルスに限らず。
ジャンルや方法論を超えて、専門家同士が手を取り合うのも必要だし、あるいは一人の人が色んな専門性を超えて全体性を持っていく、両方大事ですよね。
我々もコーチングを学んでいるから、コーチングに固執しそうになるときがある。

Kakky)それ知ってるからね。でもそれだけじゃないからね。

さきさん)そもそも大学院に行って新しいことをやるのってキャリアチェンジみたいに見えることもあるんですけど、「どうなんだろう」と悩まなかったわけじゃない。
自分がやってきた仕事の延長線上に、こういうことにチャレンジすることの意味があるんじゃないかと感じる。
身近な人で、臨床心理士をやっている人に相談したときに、私がやってきたことがあるからこその、何か価値みたいなことをきっと提供できると思いますよ、といってもらったのが心強かった。
専門家になるのて思っているよりも大変じゃないかなと思いつつも、その先にまた新しい何か、今までにはないようなことができるんじゃないかというのが結構あります。

Kakky)引く手あまたですよ、たぶん。みんな、会いたくなっちゃうと思うんだよね。

かず)ちなみに学びは2年間ですか?

さきさん)大学院で2年間学ぶことが条件で、その後、資格試験を受けて、受かってなる、という感じ。

かず)途中途中でも経過を伺いたい感じがしますよね。

さきさんの根底にあるもの

ばんばん)一般的に言うと、職業がすごく変わっていると見えかねないけど、さきさんの中でも一本筋が通っているようにみえるけど、改めていかがですか?

さきさん)そうですね。私の中でも道がつながっている感じがして、すごく違うことをやるという感覚ではなく、遡って考えてみると、国際協力の仕事を選んだのも、人への関心、お金などのハードの支援もあるけど、教育、人材育成、人の人権とかそういうことに興味があったので、そういうことを変えていきたい、よくしていきたいという気持ちでやってきて、今、コーチングで1対1のインパクトを出していくことを学んで。ずっと人のエンパワーメントということが根底に流れているんですよね

それを更に広げていく、みたいなイメージ。

今回、臨床心理学を勉强したいと思ったとき、なぜ私はなんで今までこういう仕事をやってきてるんだろう、と考えたりもした。

色んな理由付けはできるんだけど、やっぱり辛い思いをしている人、傷ついている人を放っておけない、という自分の習性みたいなものなんだな、と思いました。

Kakky)そこなんだねぇ。支えているというか、根底でそれがガンってある感じで。その上に色んなものがお皿が乗ってるみたいな、そんなイメージがぱっとでてきたけど。それだけさきさんを支えるものがしっかりしてそうですよね。習性と言っているところが。

さきさん)そうなんです。習性という言葉が結構しっくり来ていて、自分で選んだというよりは、そういう風に生まれ持ってきた感覚なのかなと思ってるんですよね。なんか不思議なんですけど。

かず)違うことを学ぶんだけど、逆に習性と言われたものが研ぎ澄まされていくような感じにも聞こえますよね。純粋になっていくというか。

さきさん)そんな感じがしますね。

ばんばん)それをコーチングで人生の目的みたいな言い方をしますけど、職業を生きるというよりか、さきさんの人生の目的みたいなものを生きながらも、私こういうことをやりたい、とより明らかになったりとか。
そこを旅されているなー、というそういう比喩が浮かんでくるが故に、早まって大学院終わって資格とったあと、どんな旅だったんだろう、と。今聞いても仕方がないんですけど。

さきさん)そうなんですよ。旅というのはすごくしっくりきますね。

かず)めちゃくちゃインスパイアされますね。勇気ももらう感じがしました。

リーダーとしてのさきさん、影響を受ける私達

Kakky)改めて、人として、一人の人間として自分の人生をリードされている感じをすごくさきさんの話から受ける。そうやって選んでいって良いということを認められる、背中を押される感じもあるし。
同時に、励まされるというか、業界のこと、社会課題のこと、ソーシャルセクターの中に、どんなことが起こっていて、というのを、色んなところに目を向けながら、ここにピースが必要だね、っていうことを考えて、そこに踏み込んでいくね、と決めているリーダーがいることは、めちゃくちゃ心強い。ありがたい、という感覚。

さきさん)ありがとう。私もその言葉に勇気づけられる。
なんだかんだ、こういう道を選んでいる人はそんなに私の周りにはいない。
だからこそやりたいな、っていうのもあるんだけど、どうなっていくのかなっていう不安がないわけでもない。待ってくれている人がいるかもしれないと思うとパワーが湧いてくるし、この選択をした背景としてコーチングの存在はすごく大きいと思っている。
コーチングの源流は心理学、インパクトは私自身が実感してきた。
クライアントさんが本気で自分の人生に向き合って、変わっていくところを見ると、私もやりたい、みたいな感じになる。

Kakky)跳ね返ってくるみたいな感じでね。

さきさん)そうなんですよ。跳ね返ってきたら、こういう感じでやっちゃうんですよ。

ばんばん)我々も今、跳ね返ってきてますよ、さきさんの話を聞いて。自分の人生を見つめ直したい感じ。自分は旅をできているだろうか、と思うぐらい。
それぐらい、誰かのリーダーシップが人を勇気づけることがすごくあると感じました。

いい時間ですね。いくらでも聞いてられる。

クロージング

Kakky)もっともっと、というところも出てくるけど、今日は、さきさんとの対話はまずはここまでにしてみようかなと思います。

聞いてくださっている方も、もっと聴きたいだったり、個人的に、ということもあるかもしれない。そんな方はぜひご連絡もらって、おつなぎしたり、実現してくるかもしれないですね。
そういう声はみなさんからもぜひぜひ聞かせていただけると嬉しいです。

ということで、これからがすごく楽しみ。
また、話聞きたいですね。

第2回、第3回もチェックインしながらやっていきたいですね。

これからがんばってください!


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