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そのサッカーを疑え!

スポーツライター杉山茂樹が月4回程度発行する有料記事
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#Jリーグ

川崎Fの凋落はJリーグの凋落そのものである。日本サッカーが抱える構造的問題とは

川崎Fの凋落はJリーグの凋落そのものである。日本サッカーが抱える構造的問題とは

 Jリーグ関連のニュースと言えば、浦和レッズのサポーター問題、ジャッジの問題が目に止まる。それはそれで追及されるべき大事な話だが、一方でサッカーそのものの話題が報じられない現実には、大いなる不満を覚える。

 2017年シーズンに初優勝を遂げて以来7シーズンで優勝4回、2位2回、4位1回と、Jリーグで断トツの成績を収めてきた川崎フロンターレが今季これまで9位に沈む現状を嘆いたり、案じたりする声は聞

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マンCはイングランド代表より強い。横浜FM、川崎は森保Jより弱い。日本サッカーが沈滞する理由

マンCはイングランド代表より強い。横浜FM、川崎は森保Jより弱い。日本サッカーが沈滞する理由

 横浜F・マリノス対セルティックを皮切りに、Jリーグの各チームと欧州のビッグクラブとの対戦が始まる。酷暑と猛烈な湿気の中で彼らがどれほど全力で戦うか定かではないが、Jリーグの世界的なレベルを推し量る上で興味深い試合であることは確かである。

 昨季UEFAランク9位のスコットランドリーグを制したセルティックと、昨季のJリーグ覇者である横浜FMの戦いを眺めれば、JリーグがUEFAに加盟すればどんな立

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G大阪、柏、鹿島。Jリーグ各クラブで次々に発生する諸問題の病巣とは

G大阪、柏、鹿島。Jリーグ各クラブで次々に発生する諸問題の病巣とは

 1993年5月にスタートしたJリーグ。今月はちょうど30周年目に当たる。祝賀ムードに包まれた1ヶ月だった。しかし、開幕当時と現在を比較したとき、変化なし、進歩なしと嘆きたくなるものがいくつかある。この記念すべき1ヶ月間にもそれが深く関係する問題が起きた。

 前週、最下位に沈むガンバ大阪のサポーター連合という組織は、横浜F・マリノス戦(5月20日)を前に、試合中の集団的な応援をしないとの声明を出

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30年間のベスト11は日本人ばかり。外国人枠も満たしていない。国際性の低下著しいJリーグを心配する

30年間のベスト11は日本人ばかり。外国人枠も満たしていない。国際性の低下著しいJリーグを心配する

 30周年を迎えたJリーグ。先日、過去30年間のベスト11とMVPが以下のように発表された。

●ベスト11

GK川口能活、DF井原正巳、内田篤人、田中マルクス闘莉王、中澤佑二、松田直樹、MF遠藤保仁、小野伸二、中村憲剛、中村俊輔、三浦知良

●MVP

遠藤保仁

 ファン投票をもとに選考委員会で決定されたものだという。ヤフー・ジャパン、サッカーマガジン、サッカーダイジェスト、サッカーキング、

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市場価値の低下、人材流出……Jリーグのレベルは2,3年前から下降線を辿っている

市場価値の低下、人材流出……Jリーグのレベルは2,3年前から下降線を辿っている

 先日、スタートして30周年を迎えたJリーグ。喜びたい気持ちは半分だ。サッカーの特性上、手放しでお祝いする気にはなれないのである。過去と比較すればよくなっているに決まっている。Jリーグはましてやゼロからのスタートだった。ノスタルジーに浸り隔世の感を禁じ得ないと前向きに捉えることは簡単だ。しかしサッカーは世界と深く繋がっていて、どの国もライバルに四方を囲まれている。

 日本代表にはW杯という世界的

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精神論か。浦和戦の最終盤に布陣を5バックに変更した鬼木采配への疑問

精神論か。浦和戦の最終盤に布陣を5バックに変更した鬼木采配への疑問

 日曜日、川崎フロンターレは浦和レッズ相手に1-0でリードしながら、終盤同点に追いつかれドロー。勝ち点1を加えたものの順位は13位から15位に後退した。過去6シーズンで4度優勝を飾っているJリーグでNo.1の実績を誇るチームである。川崎の低迷はJリーグ前半の大きな話題と言っていいだろう。

 1-1にされたのは後半34分。その少し前あたりから試合は浦和が押し込む状態が続いていた。すると後半40分、

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森保Jより問題なのはJリーグのレベルダウン。日本サッカーは空洞化を起こしている

森保Jより問題なのはJリーグのレベルダウン。日本サッカーは空洞化を起こしている

 Jリーグは7節を終了した段階でヴィッセル神戸が首位の座に就いている。昨季は最終順位こそ13位だったが、一時は降格圏内である17位まで順位を下げていた。そこから大きくジャンプアップした状態にある。

 対照的な姿を描いているのが昨季の準優勝チーム、川崎フロンターレだ。2017年以降の6シーズンで4度優勝を飾った圧倒的強者ながら、現在の順位は13位。これもまた珍しい話である。海外のリーグではまず起き

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30年目を迎えたJリーグのレベル。UEFAランキングに落とし込めば何番目か

30年目を迎えたJリーグのレベル。UEFAランキングに落とし込めば何番目か

 チャンピオンズリーグ(CL)は、有力選手が代表からクラブに場所を変えて臨むW杯の組替え戦だ。同様に世界一決定戦といっても言い過ぎではない。カタールW杯を間に挟んで行われる今季(2022-23シーズン)のCLは、特にその色が強い。異なるユニフォームを着て、異なる環境下でプレーする選手に対して、親近感や興味をより抱かせる。

 たとえば、先の決勝トーナメント1回戦ドルトムント対チェルシー戦で、前者の

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背番号10番の左サイドハーフ。期待の荒木遼太郎に漂う南野、香川と同種の不安

背番号10番の左サイドハーフ。期待の荒木遼太郎に漂う南野、香川と同種の不安

 欧州組を優先する傾向が強い森保監督だが、欧州でそれなりに活躍していているにもかかわらず呼ばれていない選手もいる。2019-20シーズンから2021年末まで実質2年間、ベルギーのシントトロイデンでプレーした鈴木優磨は、その最たる存在だ。日本代表歴はない。だが、招集された過去は1度ある。鹿島アントラーズに所属していた2018年11月のベネズエラ戦、キルギス戦(=親善試合)になるが、怪我で辞退を余儀な

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拍手と手拍子しか聞こえてこないJリーグのスタンド風景に違和感を覚えるわけ

拍手と手拍子しか聞こえてこないJリーグのスタンド風景に違和感を覚えるわけ

 ガンバ大阪の宮本恒靖監督が解任された。電撃解任という言い方もされているほどなので、突然の出来事と言えるだろう。自動降格圏内の18位。G大阪は新型コロナの感染者を出した影響で、消化試合数が他のクラブより数試合少ない。この低位置はある程度、やむを得ない気がする。

 とはいえ、昨季の成績(2位)との落差はあまりにも大きい。高まった期待値を裏切ったことは確かだ。宮本監督には評価が他の監督より厳しくなる

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川崎が独走するJリーグを、日本サッカー界はもっと心配した方がいい

川崎が独走するJリーグを、日本サッカー界はもっと心配した方がいい

 J1リーグで首位を行く川崎フロンターレと、それを3ポイント差で追う2位名古屋グランパスの一戦が、昨日(4月29日・金曜日)豊田スタジアムで行われた。

 結果は0-4。注目された首位攻防戦は、ホーム名古屋の大敗劇に終わった。勝ち点差は6ポイントに広がり、J1リーグは昨季に続き、川崎の独走状態に入ろうとしている。

 来る5月4日に早くも行われる、川崎対名古屋の折り返しの試合で、川崎が再度、勝利す

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J1リーグ序盤戦総括。昨季より上げたチーム、下げたチーム、危ういチーム

J1リーグ序盤戦総括。昨季より上げたチーム、下げたチーム、危ういチーム

 チーム毎で消化試合にバラツキはあるが、Jリーグは6節を終了。2週間弱の代表戦ウィークに入った。スタートダッシュに成功したチームもあれば、失敗したチームもある。ここでは全20チームを、前年比で横ばいのチーム、上昇したチーム、下降したチームに、改めて色分けしてみた。

 今季は20チーム中4チームが降格。確率は5分の1だ。18チーム中2.5枠(17、18位は自動降格、16位はプレーオフ)だった従来を

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1試合平均4.91人。5人の交代枠を最も有効に活用した監督は(その1)

1試合平均4.91人。5人の交代枠を最も有効に活用した監督は(その1)

 再開された7月4日以降、変則で過密な厳しい日程をこなすことになった今季のJリーグ。選手のコンディションを考慮し、欧州と同じように、前後半各1回、給水タイムを設け、従来3人だった選手交代枠も、交代機会3度までの5人制に拡大して行われた。

「間」のあるスポーツとされる野球に対し、サッカーは流れるスポーツ。いちいち試合が止まらないところが特性であり魅力と言われてきた。VARの採用に抵抗感を示す人が当

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Jリーグが、セ・パ両リーグの顔ぶれが変わらないプロ野球界から真似したいこと

Jリーグが、セ・パ両リーグの顔ぶれが変わらないプロ野球界から真似したいこと

 川崎フロンターレが2年ぶりの優勝を飾った日、プロ野球は日本シリーズの4戦目を迎えていた。サッカー業界の人はこの日に、3連勝で迎えたソフトバンクに日本一の座に就かれては、そちらに話題をさらわれてしまうとばかり、巨人に一矢を報いることを最大限、期待したと思う。

 ソフトバンクはその願いも空しく巨人に完勝。4年連続日本一に輝いた。巨人に対しては、昨年の日本シリーズでも4戦4勝だったので、2年で8戦8

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