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糖質と体重について

今回はこれまでの糖についての話を踏まえて、

最も書きたかった糖質制限に関して書いていきたいと思います。


①糖質制限とは?

今ではダイエットの手段としてよく聞かれる「糖質制限」ですが、もともとは2型糖尿病患者さんへの食事療法として行われていたものです。

食事で糖質を摂取したことにより、血糖値が急激に上昇する「食後高血糖」が、心筋梗塞や脳梗塞などの危険因子となるためその予防策として利用されたようです。

文献①によると糖質制限は血糖値を減少させ、薬を使わずに治療効果を求めることが目的であり、体重減少は目的とされていません。しかし、結果として体重は減少するものであると述べられています。

やり方は以下のように、患者さんの段階に合わせて複数パターンあるようです。

糖質制限

参考までにコンビニのおにぎり1個の糖質量が大体30~40g程度です。

一番上のVery low carbohydrateでは、1日におにぎり1個分の糖質しか摂れないということですね、、、

また、一般人の1日の炭水化物・脂質・タンパク質量の目安はこのような内訳になっています。

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これとさきほどの定義のそれぞれの数字を見比べると、High carbohydrate に関してはそれほど難易度が高くなさそうに思えますよね。Very lowに関しては10%なので、かなり食事を変えなくてはいけないと考えられます。


しかしこの定義に関して注意しておきたいのが、これはアメリカで出されている定義であるということです。食事習慣や体型において日本人と違っている部分があるかと思います。

日本でも2016年に糖尿病患者への糖質制限による効果を容認しているので、今後新たな展開があるかもしれません。


②なぜ糖質が良くないとされるか

先ほど糖尿病患者さんには血糖値上昇は心筋梗塞などの危険因子となると書きました。

では、なぜそうでない健康な人にも糖質は良くないと言われているのでしょうか?


肝臓でのグルコース貯蔵を説明した際に、インスリンが登場したと思います。

インスリンの分泌によって食後上昇した血糖値を取り込ませ低下させてくれるのですが、糖が取り込まれる場所は肝臓や筋だけでなく、中性脂肪にも取り込まれます。

身体のエネルギー源であると同時に中性脂肪の構成要因になり得る、それが糖質が悪者とされている理由のひとつかなと思います。


③減量を目的とする糖質制限の狙い

現在、ダイエットの手段として見られる糖質制限ですが、正確な科学的根拠はいまだみられていません。ただ、血糖値上昇抑制を目的として糖質制限を行った糖尿病患者さんには体重減少がみられると言われています。


となると、健康な方が糖質制限によって期待することは二つ考えられます。

1つは、糖質摂取量を抑えることでインスリンに対する刺激を弱め、中性脂肪への取り込みを軽減させること。

また2つ目は、糖質を制限し体内に枯渇させることで、ケトン体の産生が起こります。ケトン体というのは肝臓での脂肪酸の酸化が高まることで産生され、糖の代わりのエネルギー源となるものです。

これによって脂肪のエネルギー源としての利用を高めることができるため、体脂肪量の減少が期待できるという考えがあるようです。

しかし、ケトン体が体内に生じるのはかなりの飢餓状態の時です。

先ほどの糖質制限の段階の中でいったら、1番上のVery lowでしかケトン体の産生は期待できません。かなりの制限をかけないと効果は望めないのです。。

④糖の重要性

アスリートはもちろんのこと、一般の方においても糖質は必要不可欠な栄養素です。強度の高い身体活動をすれば骨格筋、考えるなどの知的活動をすれば脳のエネルギー源として利用されます。その他日常生活の行動は脂肪が利用されます。


糖の摂取不足から血液中のグルコース濃度が低下した状態が続くと、頭痛やめまいなどをはじめ、健康状態に不調を及ぼします。


⑤正しい糖質摂取を。

人間は何も行動はしていなくても、生きていくために一定のエネルギーが必要です。それが基礎代謝量と呼ばれるものです。その基礎代謝量に身体活動量と食事摂取により発した熱量が1日の消費カロリーとなります。

消費

性別、年齢、除脂肪体重によって基礎代謝量は異なってきます。かなりアバウトに言うと大体の方が1000~2000kcalなのではないでしょうか。。


日々の摂取カロリーが消費量と等しいのであれば、体重は変化しません。

しかしそれらのバランス次第で体重の増減が起こります。

体重


体重減少を目指すのであれば、

1日の摂取カロリーを消費カロリーよりも少なくなるように調節する

これが体重減少の本質であるかと思います。

そのための手段として、身体活動量を増やすとか、

摂取カロリーを少し調節してみるとかの方法があり、

摂取カロリーを調節する手段として、糖質量を調節してみる。そういった流れでの糖質制限(制限というより、調節)が正確な理解かと私は思っています。


⑥血糖値急上昇を防ぐ

そうはいっても血糖値の急上昇は健康な人においても体に負担がかかるため、避ける方が良いことです。

そこで「糖質を食べない」という選択肢よりも、血糖値が上がりにくい食べ方を選択する方が身体に優しい選択だと思います。

たとえば、食べるものを変えてみる。

炭水化物にはインスリンへ与える刺激の強さに違いがあり、それを数値化したものをGI値(グリセミックインデックス)と呼びます。

これが低いものを選択すれば、血糖値の急上昇を抑えることができます。

主食でいうと

食パン、もち>白米、スパゲッティ>玄米

といったところです。

また、昔から言われている野菜やスープを先に食べることも血糖値の上昇を緩やかにしてくれます。野菜はGI値が低いものが多いです。

GI値の低いものにどんな食品があるのかは、さまざまなところに書かれています。調べてみてください!

⑦最後に

今回は糖質制限についてまとめさせていただきました。

要は、糖質制限はもともと糖尿病患者さんへの食事療法であり、健康な人の体重減少には科学的根拠が欠けていること、脂肪量の減少を目的とするにはかなり厳しい制限を必要とすること

これを理解することが大事かと思います。

そのうえで摂取カロリーの調節という視点で捉え、糖質量を考えてみることをお勧めします。

何事も自分の体に見合ったものでないと健康を害してしまいます。このご時世、健康であることが何よりの務めです。

ぜひ、自身に適切なやり方で取り組んでください。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

参考1 ;R. D. Feinman et al,  Dietary carbohydrate restriction as thefirst approach in diabetesmanagement: Critical review and evidence base,  Nutrition 31 (2015) 1–132, 
 http://dx.doi.org/10.1016/j.nut.2014.06.011


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