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日記 2024.4.29
数値がリアルタイムでグラフ化され、数秒おきに更新される。
それは実体世界の何かの観測結果を示しているのだけど、表示されるのは数学Iのテストの問題用紙みたいな、シンプルな白と黒の画面。繰り広げられる微妙な変化に、規則性や意味を見出そうとしたけど、ほんの1日見ただけでは全く何もわからない。
そのまま新しい1日が終わった。
無力さを感じた。
池の鯉を眺めているのとほとんど変わらなかったなぁ、
「こんなに廃墟や空き家があるんだから、1つくらい秘密基地にしてみたいもんだよな」
「そんな余裕があるなら離れなよ。こんな……」
「大切な人がまだ残ってる」
「……せめて、いつまで探すか決めない?」
「いつまでも」
「死ぬ気?」
「いや。これこそ生きる気というやつさ」
そんなことはわかっている、そんなことはわかっている。
そんなことはわかっている
そんなことはわかっている
ぼくが
心からこの世に馴染めず
いやな顔をして歩いていたら
あの人は
きっとぼくを見て
だまって悲しい顔をするのだ
悲しい顔を
させてしまう
それが憂鬱で
まったくよくなかった
あの人が
悲しい顔をするのはまったくよくなかった
でも
何のイメージもつかめない
窓ガラスにもメガネにも
水滴がまとわりついてよく曇る
駅前のぼこぼこした歩
抱えた秘密は、まだ嫌な色で光っていた。
そのまま家に帰って、鏡で自分を見て、自己嫌悪でひどく嘔吐した時は心底ほっとした。
……抱えた秘密は、まだ嫌な色で光っていた。
人の心の甘く棘々しい部位で。
こういう種類の秘密って、たった1つ抱えただけで、まるでこの世の大事な知識ぜんぶを手に入れたかのような良い心地にさせてくるんだなと思った。
自分だけが裏の状況を理解している。それに対して周りの人たちは、まるでみんなアホ面下げた無知の集
言葉という重荷をおろしきった先の。
ひとりで行ったカラオケの帰り
変電所の脇をとぼとぼ歩いた
歌で精魂を出しきってしまって
少し汗をかいたシャツが
風で冷えた
ひとりで行ったカラオケボックス
ひとりで居るはずなのに
「比較」から逃れられない場所
自分ひとりで歌っていても
曲と曲の合間の沈黙
壁越し
誰かの歌声が聞こえて
心の中で採点している自分がいる
だから
喉を潰してしまうのだ
ひとりの部屋なのに少し格好つけて
声を張るから