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心霊の次元 (1985年) (超科学シリーズ〈7〉)


心霊の次元 (1985年) (超科学シリーズ〈7〉)

 二十世紀初期の心霊研究家、ナンドー・フォドーの著作です。
 彼は、欧米では、非常に有名な心霊研究家です。けれども、日本では、まったく知名度がありません。
 彼の著作で、日本語に訳されているものは、私の知る限り、これ一冊だけです。

 ナンドー・フォドーの著書では、"An Encyclopedia of Psychic Science"(日本語に訳せば、『心霊科学百科事典』ですね)が、最も知られています。これは、心霊科学の分野では、決して外せない資料です。
 この著作ゆえに、ナンドー・フォドーの名は、二十一世紀の現在にまで、とどろいています。ごく一部のオカルティストの間ですが(笑)

 残念ながら、『心霊科学百科事典』も、日本語に訳されていません。
 本書は、『心霊科学百科事典』の裏話というべきものが、集められた本です。二十世紀初期の、心霊ブームの状況が、わかります。

 当時のヨーロッパでは、あちこちで、降霊会【こうれいかい】というものが開かれていました。霊媒【れいばい】という、「死者の霊を呼べる人」を中心にした集まりです。霊媒に死者の霊を降ろし、死者と交信しようというわけです。

 二十一世紀の現在から見れば、降霊会は、「二十世紀の皮をかぶったシャーマニズム」に違いありません。
 しかし、当時の人々にとっては、それは、科学的に解明できると信じられた事象でした。

 もともと、ジャーナリストだったナンドー・フォドーは、心霊ブームの波を受けて、心霊研究の道を歩み始めます。ジャーナリストだけに、調べものは得意であり、行動力もありました。そのために、革命的な大著『心霊科学百科事典』が、生まれました。

 本書を読めば、二十世紀初期のヨーロッパにおいて、どのような心霊現象があった(と信じられた)のかが、わかります。奇妙な現象のオンパレードです。
 一つ一つの逸話は、ただ奇妙なだけでなく、人生の重みを感じさせるものが多いです。

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

1 フロイトとの出会い
2 死者との初会見
3 幽霊寝台と家門の伝統
4 悲運の予知と幸福の予知
5 ポルターガイストと精神分析
6 幻視――ある大工の場合
7 現代の黒魔術
8 アッシュ邸の亡霊
9 幽体離脱体験
10 空中浮揚現象
11 妖精と狼人間の幻視
12 大西洋横断飛行家からの通信
13 真珠の医者
14 無からの呼び声
15 宇宙からのファンタジー
16 魔性の恋人と霊媒
17 生まれ変わりの場合
18 エドガー・ウォーレスのメッセージ
19 結論

解説  近藤千雄【こんどう かずお】



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