飛天の道―東洋の各地に舞う天人・天女たち (Shotor Museum)


飛天の道―東洋の各地に舞う天人・天女たち (Shotor Museum)

 飛天【ひてん】を御存知でしょうか? 空を飛ぶ天人や天女のことです。
 その飛天について、美しい絵画や写真とともに、紹介した本です(^^)

 飛天は、東洋版の天使ですね。西洋の天使が、キリスト教の神の周囲を飛ぶように、東洋の飛天は、仏さまの周囲を飛びます。
 仏像や仏画がお好きな方なら、必ず、目にしているでしょう。天使と違って、翼を持ちません。代わりに、長い衣をなびかせて飛びます。

 飛天は、仏教の体系の中では、常に脇役です。
 けれども、その優美な姿は、古来、多くの人々の心を、慰めてきました。

 本書は、そういった飛天の姿を、世界各国に追い求めた本です。
 著者が画家だけあって、見事な飛天の絵が、いくつも描かれています(^^)
 絵や写真を眺めているだけでも、楽しいです。

 本書によれば、飛天の生まれ故郷は、インドです。そこから、シルクロードを伝って、飛天は飛翔してゆきました。東南アジアへ、中国へ、あるいは西域【さいいき】へ、また朝鮮半島へ、日本へと。

 それぞれの地域で、飛天の造形が異なるのが、興味深いです。
 それらの飛天の造形の差や、飛天の起源、神話や伝説に登場する飛天について、取り上げられています。

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

「飛天の道」関連地図
天空の香風

第一章 インド ―生まれたての飛天―
 古代インド神話の飛天/経典や叙事詩のなかの飛天/仏教を守護する飛天

第二章 東南アジア ―みずみずしい飛天―
 ボロブドゥールの飛天/アンコールの飛天

第三章 西域地方 ―慈愛をささやく飛天―
 ガンダーラの飛天/アフガニスタンの飛天

第四章 シルクロード ―異民族の心に咲いた天界の飛天―
 アクスに舞う飛天/楼蘭【ろうらん】に舞う飛天/天山に舞う飛天/
 火焔山に舞う飛天/鳴沙山に舞う飛天/雲の岡に舞う飛天

第五章 中国大陸 ―深山幽谷の飛天―
 東方の神仙と飛天との出会い/龍門【りゅうもん】石窟【せっくつ】の飛天/
 鞏県【きょうけん】石窟の飛天/麦積山【ばくせきざん】石窟の飛天/
 天龍山石窟の飛天/響堂山【きょうどうざん】石窟の飛天/
 炳霊寺【へいれいじ】石窟の飛天

第六章 朝鮮半島 ―心身にやどる飛天―
 高句麗古墳の飛天/百済の飛天/統一新羅時代の飛天/高麗時代の飛天

第七章 日本 ―聖山や湖面に舞う飛天―
 飛天の翻転【ほんてん】、日本の島じまへ

飛天へのいざない
仏教の世界観
飛天の系譜
飛天関連略年表
参考文献



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