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黒圱玳士🎩急遜番倖線「ずある掚理小説家に届いた苊悩の挑戊状」第䞉章 偏愛 愛たるや

 偏愛

「  解けないんじゃなかったんだ。  解きたくなかった。  だから、其凊から掚理小説が曞けなくなり、新䜜を䞭断した。䜕時ものあの人なら勝手に逃げた。でも、そうしなかったのは  。元は優しさだず、気付いおいたからだ。
 䞀䜓  䜕凊から、こんなに歪んでしたうのだろうな、人は。普通だった人が犯人になる。たるで、其れが元から理由があったかの様に、マスメディアは蚀うが、それは僕らが䜕凊かで安心したいだけ。  動機なき犯眪もある。行き過ぎた己を止められるのは、最終的に己しかいない。サダノブ、䞀回このパ゜コンごず持ち垰ろう。もう、倜だ。  癜雪も颚柳さんも心配する。」
 僕は真実の䞘ぞ繋がる方角では無い、創䞖神から芋た珟実の景色を映し出す窓を芋お蚀った。
 真実の䞘は、穏やかな昌に時を止めおいるからだ。

   ガリガリ  ガリガリ謎の音

「倧䞈倫ですよ。  これから  倧䞈倫になるんです。」
 去り際に、創䞖神の倧切な人が䞍安そうな顔をしお、僕らを送ろうずしおいたのでそう蚀った。
「  あの人も、良く口癖の様に蚀うのよ。それ、埡呪いなんかじゃないのよ。あの人が本気になった時に蚀うの。䜕の根拠も無くったっお、あの人がそれを蚀った時、倧䞈倫にならなかった事なんお、䞀緒になっおから䞀床もないの。」
 創䞖神の倧切な人はそんな颚に懐かしむように、優しく埮かに笑い、蚀うのだ。
「  えっ䞀床も」
「えぇ、䞀床も。だから信じるわ。最近、自分が駄目だず思った時、あの人蚀うのよ。「  きっず黒圱が倧䞈倫になるっお蚀っおいる気がする。  うん、だからきっず倧䞈倫になるらしい」䜕お  。笑っちゃうわね。」
 ず、僕が驚いお聞くず、そう答えた。
 其凊たで可笑しな話しでもあるたいのに、目の際を軜く指で抌さえおいる。
「  戻したら、あんたり心配掛けるなず、僕はから泚意しおおきたすよ。他力本願も甚だしいったら。」
 僕は  そう蚀ったものの、その蚀葉をあの人がくれた事に、少しだけ感謝した。

 ――――――――――――
   ガリガリ  ガリガリ  。

「  ああ、黒圱玳士やそのアカりント自䜓に被害を及がそうず始めた事では無いらしい。」
黒圱は、癜雪の䜜っおくれた珈琲を䞀瞥しおから口を付けた。
「  其れ、偏愛っお蚀うのかしらん」
 癜雪が、黒圱の肩に頭を眮いおがんやりず蚀う。
「  偏愛  だっお、あの人には倧切な人がいるじゃないか。愛情は歪みたくっおいるし、浮かれた事も蚀うが、あくたでもお巫山戯の範囲で、公然に呚知の䞊だ。」
 黒圱がたさかず、癜雪を芋お蚀う。
「  先茩、そう蚀うの疎いですからねぇ。」
 サダノブは、癜雪䞀筋で今たで来た黒圱には分からないず、茶化しお蚀うのだ。
「倱瀌だなっ  。そのくらい  そのくらいは  。」
 黒圱が吃るず、聞いおいた颚柳が態ず䞀぀咳払いをし、
「  分からないだろうなぁ。」
 ず、番茶を啜るのだ。
「䜕で僕だず分からないんですか」
 黒圱は真面目に前のめりになっお、颚柳に聞くものだから、颚柳は思わず茶を吹きそうになる。
「䜕でっお。  黒圱は倱恋した事も、片想いも殆ど無いじゃないか。幞せで䜕よりっお事だよ。」
 颚柳はそう蚀っお、黒圱はたた倉に無機にならないように蚀ったのだった。
  が、
「  私は少し分かるわよぉ〜。黒圱ったら、党然気付いおくれなかったんだもの。」
 ず、癜雪が蚀うのだ。
 黒圱が譊察の手䌝いをしおいた頃からの長い片想いは、鈍感な黒圱は気付かなかったが、颚柳にはずっくに分かっおいた事でもある。黒圱玳士season1短線集参照。
 黒圱はその䞀蚀に、やはり自分だけ分からないのが気に食わず、眉間に皺を寄せ珈琲を䜕時もより早く飲む。
「  分からないなら、知れば良いだけの事だ。」
 ず、䞍機嫌に蚀い残すず、自宀ぞず䜕時もより心無しか急ぎ足で向かう。
 それでも、自宀の朚補の優しい倚色の切り蟌み硝子を開けば、倜颚が優しく黒圱の前髪を擜る。
「  䜕も無機にならなくおも  か。」
 䜕も苊劎等無い様に笑われたが、䜕の感情かも分からずに、䞍噚甚に癜雪を守ろうず必死だった頃の情景が、頭を過ぎるのだ。
 優しい倚色の切り蟌み硝子から、床に萜ちた淡い月の光を眺めお、黒圱はふず思い出す。
 そう蚀えば  この事件の収拟を着けるのに、創䞖神は淡星さんず話しをしおいた筈だ。
「  先茩、癜雪さんが珈琲っお。」
 サダノブがノックし、そう声を掛けお来た。
「あぁ、どうぞ。」
 サダノブが入るず黒圱はPCの前にいたので、昔肘鉄を食らった芚えがあり真埌ろを避けお、英囜特有のスマヌトな曲線脚のアンティヌク机の倩板の暪に、珈琲の入ったカップ゜ヌサヌを眮く。
 探し物の様なので、スツヌルを匕っ匵り出し、黒圱の暪から薄型のデスクトップを芋おいた。
 この「倢探偵瀟」にある幟぀かの端末の本機である。
 セキュリティは、「倢探偵瀟」ずビゞネスパヌトナヌ契玄を結ぶ、セキュリティグッズ専門店「たすか〜る」に匹敵するか、それ以䞊だ。
DMダむレクトメヌルで、創䞖神が聞いおいたアドバむスずやらに目を通す。
「  そもそも、友情が䜕故偏愛などになるんだ」
 黒圱はサダノブに聞くでも無く、調べ乍ら蚀っおいるのだ。
 頭で敎理し乍ら口に出すのは䜕時もの癖である。
「  元からの䟝存䜓質の可胜性  か。」
 黒圱は劂䜕やらアドバむスを受け始めた頃の遣り取りを芋぀けた様だ。
「誰なんですその淡星さんっお。簡単に創䞖神さんが説明はしおいたけど、むマむチ人気ず蚀うだけで人物像がピンず来ない。」
 サダノブがそう蚀うず、
「たぁ、其れもその筈なんだ。䞉人の䞭で実害被害が最も少ないのに、䞀番譊戒心が高い。其れには理由があっお  この淡星さんは恋愛を専門に曞いおいた小説家なんだ。だから、元から読者様やファンに自分宛おだず勘違いされる事が倚く、創䞖神はあの性栌だから、困ったら䜕時でもどうぞず  それ以降仲が良い。深倜に時々執筆の合間時間があれば軜く䌚話をする。そんな䌚話も、近頃は劂䜕も雲行きが怪しかったらしい。」
 ず、黒圱は二人の遣り取りを遡り、珟圚たでザッず目を通す。
   ガリガリ  ガリガリ  。
「雲行きが怪しい」
 サダノブも、DMはプラむバシヌだからず、少し気が匕けたものの、事件に関わるのならず、黒圱の腕呚りの邪魔にならない様にディスプレむを芗き蟌んだ。
「ある日、あの人創䞖神が淡星さんに、この件の事を盞談しおいる。䜕故、䜕時も冗談の加枛が分かる様な月霧さんが、あんな勘違いを起こす様なコメントを、そもそも残したのだろう  ず。女心の心境の倉化っお奎だな。ほら、僕だけじゃ無い。あの人も鈍感も鈍感だろう愛情が捻くりたくりの歪みたくりだから、そんな事だず思ったよ。」
 ず、黒圱はほら僕だけじゃ無いず、さも蚀いたそうな満足そうな笑みを浮かべ珈琲を口にする。
「あっ  。」
 黒圱が思わず、䞀口飲んだ珈琲のカップの䞭を眺めた。
「劂䜕したした」
 サダノブが䞍思議そうに聞く。
「  早めに䌑んで䞋さいっお。」
 ず、黒圱は朗らかに埮笑む。
 黒圱の奜きな甘い粗目の珈琲砂糖の味がする。疲れお芋えた日は、特別にず癜雪が入れ替えおくれるから。
 倫婊になる前からの、倉わらない䜓調を考えお淹れおくれる珈琲は二人の䞭で、忙しい黒圱にも届く手玙の様でもある。
「  愛情たっぷり珈琲、矚たしい〜。」
 ず、サダノブは口を尖らせ蚀う。
「お前なぁ  䜕時も癜雪にただでさえ、冷茶淹れお貰っおいるだろう  埌は穂さんみのる。サダノブの劻でたすかヌるの埓業員にでも頌めば良いだろ。
   にしおも、この淡星さんが蚀うには、元から䟝存䜓質だったのでは説を䞊げおいる。  ぀たり、所謂掚し掻が過ぎお、倧切な人がいるず分かっおいるから、手には入らないず分かっおいおも、空想で満足出来おいた䟝存先が急に無くなり、その行き堎のなくなった䟝存先が、歪んだ友情なりの行き過ぎ  ぀たり、偏愛に向かっおしたったのではないか。」
 黒圱は其れを読み䞊げるず、がんやりず倩井を芋䞊げ考える。
   だが、元から䜕凊か歪んでいる愛情衚珟しか出来ない創䞖神にずっおは、きっず理解出来ない範囲だったに違いない。
「  成る皋、行き過ぎた掚し掻も、偏っおしたえば偏愛  か。でもでも先茩、物にだっお䜕だっおマニアがいお、愛情たっぷりあったっお、俺は良いず思いたヌす俺だっお、バむク倧奜きだし、先茩だっお車乗っお゚ンゞン音聞いただけで「行くぞ、ベむベヌ」じゃないっすか。」
 ず、サダノブは掚し掻や倧奜きな物がある事の䜕凊が悪いのかず、そう蚀う。
「ああ  其れは誰しも倚く持っおいるものだ。だが、其れを固持する䜙りに、呚囲に被害や迷惑行為が及んでしたったら、ただの趣味ずは呌び堅い。
 其凊で初めお問題性が生じる蚳だ。
 あの人だっお、問題が無ければ䜕ら気にする事は無かった筈だ。其れがどうも゚ラヌを倧量に出した原因に思われたから、其凊で初めおこれは劂䜕ず、動き出した筈。」
 黒圱は創䞖神の取った行動を想定する。
 普段小さな事を気にしない人が、気にする理由は「倉化」にある。
 その「倉化」が良い方であれば埮笑むだけだが、もし悪い方ぞ「倉化」した堎合は出来るだけ早く止めるだろう。
 倜空さんずあれこれ話しおいお気付いた頃には、時既に遅しであった。
 なので、自分には分からなかった範疇の盞談を、詳しそうな淡星さんにした  ず蚀ったずころであろう。
「  鈍感なんですねぇ。創䞖神さん。」
 ず、サダノブは少し小銬鹿にしお、目を薄めお蚀った。
「  鈍感には鈍感だろうな。自惚れおいるだけだったら銬鹿をみるじゃあないか。
 だから、圌れや歀れやず確かめおみたくなったんだろうしかも、ただの鈍感では案倖枈む話しでも無いらしい。
 あくたでも歀れは、淡星さんの仮説に過ぎないが、この空想の理想的な暇朰しが急に消える事で  執着ぞず倉わっお  ん」
 黒圱は思わず其凊で蚀葉を切る。
「え  䜕今床は䜕」
 黒圱の「ん」は、その蚀葉は軜く聞こえるが、倧きな異倉でも倉わらないので、サダノブは譊戒した。
「なぁ僕は今、調べおいた。  倧䜓、さっきから䞀人称の「僕」では無い。  誰がこれを蚘録しおいる」
 黒圱は突然、蚘され行く「黒圱玳士」の頁に挞く気付いた様である。
「えっず、創䞖神さんの本䜓は真実の墓ですよね䜕か  ガリガリ聞こえたせんさっきから。」
 サダノブは先皋から脳裏に時々掠める、ガリガリず蚀う謎の音が気になっお仕方ない。
「  ああ、其れなら僕にも聞こえおいた。殺気は無いから胜力者の襲撃でも無いず、空耳か䜕かに思っおいたが  。」
 歀凊で始めお、二人共聞こえおいた事に気付く。
「  たぁ、䜕凊かの工事か䜕かだろう。蝉の音も隒がしい。思ったより小さな音だ。あの人がきっず僕の曞き方じゃ、筆が堅いから音声入力にでもしおおいおくれたか、録音でもしおおいたのだろうな。案倖、圌れで曞く事には五月蝿いしな。」
 そう蚀い乍ら、黒圱は淡星さんが䟝存だの偏愛に぀いお、治す事は出来ないのか遣り取りをしおいたDMを読む。
「䜕故歀れ等を偏愛ずしたかは、玔粋に䜜品が奜きで執筆の邪魔は良くないなず思う。  歀凊たでが普通ラむンだろう  曎に、そんな邪魔をする存圚も邪魔である。  この考えも、淡星さんが蚀うには、愛情衚珟の䞀぀。だが、其凊たで行っおしたえば偏愛ず蚀う事になるらしい。
   家族愛に、兄匟愛、ずたぁ、特に恋愛しおいなくおも愛は倚岐に存圚するから、そうずも蚀えるな。」
 黒圱が自分の芋解含めそう蚀うず、
「䜕だか、愛の授業みたぃ  。」
 ず、サダノブは苊虫を噛み朰したような顔をする。
「ああ、そうだ。然も、歪んだ愛に぀いおだ。  嫌なら先に郚屋に戻っお寝ろよ。僕だっおこんな他人事の愛等劂䜕でも良いんだ。だが、歀凊に犯人の動機ず創䞖神があそこたで、解くのを嫌がった理由があるんだろう死掻問題だから、仕方無く勉匷しおいるだけだ。」
 ず、黒圱は頬杖を付いお珈琲を䞀口含む。
 黒圱からすれば他人事なので、本を読むも䞀緒だ。
 ただ、䜕かに創䞖神が苊戊したのならば、その理由は知っおおかなければ、今埌犯人ず察峙した時に䞍利になるのは䞀目瞭然である。
「ん〜 でも気になるなぁ。他人のごちゃごちゃ恋愛事情っお䜕か気になりたせん」
 ず、サダノブはニダニダしお蚀う。
「  䞍謹慎だなぁ。これで新䜜が遅れおいるんだぞ。」
 黒圱は軜くサダノブを泚意し乍らも、もう少し居座る様なので、䞀瞥したが芖線を元に戻した。
「劂䜕やら䟝存性の話しになっおいるな。創䞖神には倧切な人がいるから、過床な感情を持っおも逆に拒絶されるのは明癜。だが、Zの䞭では仮初の䟝存先が出来た蚳だ。
 其凊からのめり蟌み、半空想䞖界のZず、珟実の境界線に歪みが生じたのでは無いか、ず蚀う仮説。
   たぁ、歀凊たでは無しにも圚らずだ。ただ、この歪みが倧きくなった䟝存状態に問題があるず指摘しおいる。

 この淡星さんの経隓談や聞いた話しによるずこうだ。
 䟝存者が砎綻時は過激さだけでは無く、病的になり易く呚囲を巻き蟌む負の砎壊力を備えおいるず譊告しおいる。
 淡星さんはどうやら、良い関係性を「正」、悪い関係性を「負」ず衚蚘する癖があるらしい。
 実に恋愛小説家らしいな。恋愛の䞭の感情を曎に事现やかに分類しお考えおいる。

 䟝存者が砎綻時に取り易い行動を教えおいるようだ。

 •自分に向けた堎合  虚蚀、劄蚀。呚囲の同情を匕く悲劇のヒロむン症候矀。自暎自棄。酷ければ粟神的安定を求め、自傷行為にたで至る可胜性もある。

   これは  あの人なら、避けお通らせようずする道なのは圓然だな。

 •倖に向けた堎合  盞手の関係先者に矛先を向ける。

   歀れがどうやら起こったらしいな。

 曎に、盞手の粟神を錯乱させる事で、己の粟神安定を蚈る。これを自分の存圚䟡倀ずする。
   か。

 知らず知らずに  劂䜕やらこの眠に掛かったらしい。」
 黒圱は䞀床、䞡手を机に眮き背凭れに背を預け、その文章を遠目に芋た。
 軜く目を芋開いお  ゞッず止たっおいる。
「劂䜕したんです  その話しの続きは眠っお蚀っおも、創䞖神さん  気匱な割に図倪いじゃないですか。䜕お蚀うか  気がおかしくなるず無敵みたいな所あるし。口調も普段は倧人しくおも、プッツンしたら昔のダンキヌみたいだしぃ。」
 ず、サダノブは故意に創䞖神の粟神状態を悪化させるのは困難だず思っお蚀う。
「  確かに普通は無理だ。あの人は気分屋だから、萜ち蟌んでも次の日にはけろっずしおいる。倧切な人に怒られおも、そんな調子だ。  しかし、これは芋知った知胜犯でしか実行出来なかった。目の前に先ず、䞍審な゚ラヌを䜜る。他でも無い、远求タむプのあの人だからその小さな異倉に気付き、これは䜕かず探し明け暮れる。
 其れに疲れたずころで、倧きな揺さ振りを掛けた。  最も単玔で、最も倧胆な嘘だ。
   転移するりむルス性の䜕かを持っおいるず蚀う、動きを芋せたんだ。ログむンし、芳おいる時を狙っおね。
 その時、䜕を心配したか僕なら分かる。150〜200近い、物語を犯人は人質にするず蚀っおきたも同然だった。
 衚瀺されおいるデヌタを壊されるず、譊戒したに違いない。
 自分が䜕かのりむルスに掛かったら、先ずはスキャンしお確認しただろう。其れでも、芋぀からないあの人は、Z䟿利ツヌルからの転移か広がる可胜性のある悪戯だず思った。
 そしお、特定に躍起になったが、芋぀からず感染やそのものの転移を危惧しお、䞀床応揎自䜓を停止、曎には苊悩の果おに運営瞮小、䌑暇に至った。
   が、気付いたんだよ。
 数日の絶え間なく続けた、監芖のお陰で。
其れは䜕故か、応揎する方には被害が及ばなかった。䜆し、あの人は少しでも危険な可胜性がある限り、譊戒を解く人間では無い。
 総おの物語を人質に危険に晒した行為が蚱せなかった。
 䟋え  其れが悪戯だったずしおも、物語の魂が篭った物を、自己満足で利甚した犯人が蚱せなかったに違いない。
 だから、もしも歀れがプログラミング操䜜であり、己のアカりントが消される事も蟞さず、血県になっお只管犯人を探しただろう。
 犯人は  この「黒圱玳士」が劂䜕なる物かを知っおいる人物、曎にあの人がこういった行為を蚱せないず、知っおいる人物だず絞られた。
 犯人は即ち  創䞖神が、長く「黒圱玳士」ず蚀うファンタゞヌ掚理小説を曞いおいる事を知っおいる人物。
 だから、芪しい間柄の䞉人たでを䞊げた。そしお今  犯人に蟿り着いおいる。
 あの人も  僕もねぇ。
 だが、歀凊から现心の泚意を払わねばならない。
 犯人を特定し、捕たえるたではするが、裁きを䞋すのは探偵では無い。
 探偵は真実を明らかにするたでが仕事だが、其れさえ犯人はその手の内か、偶然にか蚱さなかった。
 サダノブ  他人の心は  僕にも捕たえられないし、傷付けられない。
 自由の尊厳ず平等を掲げる限り  はな。犯人を捉えた瞬間に厩壊する。
   誰でも無い  己の志がだ。
 あの人は、其れを恐れたたた回避し曞き続ける事も、この難問に答えを出す事も出来ず  ただ、ずっず犯人を監芖し  軈お芋守る数日間に疲匊した。
 其れが犯人の思惑だず知った䞊でだ。
 たった数個の悪戯の䟿利ツヌルが起こした悲劇だ。
 恐らく犯人は目芖し易い異倉を起こすツヌルを揃えたに過ぎない。
 意図しお、忙しないあの人ぞ、䜕故に捚おたのかず  埩讐を始めたんだ。
 だから、黙認し続けお  僕にこの謎を蚗し、レクむ゚ムに眠った  。」

   ガリガリ  ガリガリ  ガリガリガリガリ  。

「えヌっそんなの早く捕たえれば良いじゃないですかっ犯人は歀奎だ――っバヌンッで、終われば良いじゃ無いですかっ倧䜓ねぇ、創䞖神さんも先茩も人が良過ぎるんですよ其れに、䜕この章始たっおから、ガリガリガリガリ幜霊でもいるんすかっこの章  今床はたさかその疲匊しちゃった創䞖神さん幜霊ず闘うずか、その呪いの塊みたいな犯人ず闘うずか、俺  絶察嫌ですらねっ
 䜕かあるでしょう  芪孝行するんでしょう先茩っねぇっおっ」
 萜胆する黒圱の肩を揺らし乍ら、サダノブは蟺りを䞍気味がり芋枡し蚎える。
 犯人を前に  䜕も出来ないんお――っ
 黒圱の説明を聞いおいおも、到底玍埗なんか出来ない。
「じゃあ、劂䜕しろっお蚀うんだ――僕は人を壊す為に探偵になった蚳でも、鳳凰になった蚳ではないっ
 このたた傷付けられたから、傷付けるなど蚀語道断っ
 そんな事をしおも、悲しみが増える、犯眪が増えるだから、創䞖神は甘んじお受け入れ続けたんだぞ」
 黒圱は譊察の手䌝いから探偵になった頃の志を胞に想い、悔しさに唇を噛み勢い良く立ち䞊がるず、サダノブに蚀い攟った。
「だったら、俺がやりたすよ  俺はそんな誇りやらお高い物は持ち合わせおいたせんからねっ䜕をビビっおんすか。  心が壊れるのは䜕方です  このたた旧友を捚お倧人しく「黒圱玳士」終幕だぁ  冗談じゃない  冗談じゃないっすよっ誰に創䞖神さんは助けを求めたんですか  他でも無い先茩にでしょう其れこそ幜霊になっおも浮かばれやしないっその願いも諊めお䜕が鳳凰だっ助けを芋捚おお䜕が探偵だっ芋損ないたしたよっ」
 サダノブは匱気な黒圱に䜕か打開策がある筈ず、願う様な気持ちで怒り蚎える。
「お前ぇ  さっきから黙っお蚀わせおおけばなぁ  その無い頭䜿っお考えおみれば良いじゃないか志を捚おた䞻人公なんお䜕凊にいるんだよっ」
 黒圱も幟ら䜕でも聞き捚おならぬず、サダノブの胞倉を掎み、久々の䞀觊即発のムヌドである。

   ガリガリガリガリ  ガリガリガリガリガリガリガリガリ  

サダノブ 「  俺だっお頭䜿えばねぇ」
黒圱 「はぁ僕を超えられるなら、もっず早くやれば良いだろ、䞻人公でも、次期創䞖神だろうずっ」

 ガリガリ  ガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリ
黒圱 「そもそも、䜕ださっきから  。」

黒圱「五月蝿いなっ」
サダノブ「うっせえな、この雑音がぁあああヌヌ」

 ガリガリガリガリガリガリガリガリ  ズルズルズルズル  ガシャン    

「なぁ〜かぁ〜よぉ〜くぅ〜しなさいっお    蚀ったでしょうが――――――――っだぁ〜れに五月蝿いっおぇ〜〜ただ掚理解説の途䞭でしょうよっ」

 闇の底から沞々ず湧き䞊がる蚀葉ず共に、殺気だらけの地を這うかの唞り声  。
 二人に気配も無く、ドアからそのどす黒い闇を匕き連れお、今  正に姿を珟そうずしおいた。

黒圱「えぇっ――っ䜕で貎方がっ」
サダノブ「――ひぃいい――っ化け物でぇたぁあああヌヌっ」
黒圱は䜙りの驚きにぎたりず動きを止めその姿を凝芖し、サダノブは䜙りの恐怖に震えお腰を抜かす寞前である。

 ――  ずうずうこの事態に  あの人が  プッツンする  ――

 そのどす黒い圱を匕き摺る人物は、二人が静かに硬盎しおいるのを芋るず、其れで良しず満足そうにゆっくり銖を瞊に二床振り頷くず、再び郚屋の倖ぞ  あの奇劙な音を立お消えお行った。
「  せっ、先茩  い、今の誰かさんに心無しか䌌おたせんでした」
 サダノブは衚情を匷匵らせ乍ら、黒圱に聞いた。
「えっあぁ  たぁ  。だから蚀っおいたじゃないか。  愛情衚珟が歪んでるっお  。」
 ず、黒圱はその人物をそう説明し、苊笑する。
「  芋なかった事にしようか  。」
 黒圱はその人物の壮絶な姿に思わずそう蚀った。
「  えっ  あっ、はぃ。」
 サダノブも其れには喧嘩する気も倱せ、そう答えるしかなかった。

 愛たるや

「  先生。䜕故、歀凊に」

 犯人は䜕食わぬ顔で、䜕時もの堎所に䜇んでいた。
「  先生ではありたせん。黒圱です。」
 黒圱はその蚀葉に、長い睫毛を䞋ろし、目を现め蚀った。
 䜕時も気楜に合う筈の  䜕も背負わなくお良い、物語の䞭。
 䞀歩其凊から出れば  創䞖神は闘志を剥き出しに、生きるだろう。
 毎日流れ行くその早さに耐え、䜕事にも揺らがない様、遠くを芋詰め乍ら。
 黒圱を知らない蚳では無い。だが、既に  黒圱ずあの人の差も分からない。
 静たり返ったその物語は、創䞖神が荒れる事を危惧しお閉ざした物だった。
「我が子の様に想っおくれた。  この物語を。そしお、䜕時たでも、貎方だけが口にした。もう、総お解けおしたった。最埌に倧きな謎を䜜る。総おがひっくり返るような。
 そしお  歀れが曞かれた。総おの珟実を謎にする。  そうせざるを埗ない  。これが貎方の望みでしたか。
 黒圱玳士の新䜜よりも、貎方は貎方の物語を創䞖神に曞いお欲しかった。ずっくに  気付いおいたしたよ。あの人は  月霧さん。」
 月がその物語の䞭で未だ閉ざされおも、静かな優しい光を灯しおいた。
 月霧さんは、黒圱を芋ずに  ずっずその月を芋䞊げおいる。
 この月霧さんに創䞖神が答えようず決めた、数日間の苊悩さえ、呑み蟌んでしたいそうな月倜だった。
「レクむ゚ム  解攟  。」
 黒圱も月を芋䞊げ、そう蚀った。
 重なる想いが、その月を歪たせお芋せる。
 歪んだ  愛の果おに  䜕を想うだろうか。
「  貎方は気高く、賢い。  だから、決しお真実を蚀いはしない。  だが、其れでも、貎方がした事を僕は蚱せなかった。貎方が、この物語を閉した事が残酷だず想いこんな事をしたならば、あたりにも  やり過ぎだず思いたしおね。
   貎方が䜕をしたのか。䜕時もの様に  答え合わせをしたしょうか。」
 そう蚀った月霧さんから芋えたのは、創䞖神ず黒圱が重なった姿である。
 その声も  䜕もかもが、重なっおいた。
 䜕時だったか、月霧は蚀ったんだ。黒圱でも  創䞖神である僕も、倧しお倉わらないず埮笑んだ。
 その時  嬉しかった様な  悲しかった様な気もしたのだ。
 其れは既に  非珟実の䞭に䜏たう䜕方も、芋分けが付かなくなっおいたず蚀う事だから。
 非珟実ず珟実を錯誀した蚳では無い。正しい真実は  非珟実の二぀の存圚を䞀぀に感じ、芋おいた。
「あら、そんな事ありたしたっけ先生。䜕の事やらさっぱり。」
 その月霧さんの答えにニダりず笑ったのは確かに黒圱であった。
「  構いたせん。其れで。  たあ、月を芋䞊げる次いでの暇朰しだず思っお䞋さい。ある、こんな仮説の物語  。

 貎方はある愚かな掚理小説家ず、毎晩狐ず狞の化かし合いの様に、恋の話に華を咲かせた。
 勿論、それは空想の倢で互いに惹かれ合う事も無いから、安心しきっおいた。
 だが、其凊に䞀人の女狐が珟れる。
 その狐をその愚かな掚理小説家は、銀の狐だず持お囃し甘やかす。
 軈おその銀の狐に倢䞭になった愚かな掚理小説家はこう蚀った。
 手の掛かる  しかし、実に良い毛䞊みの狐だず。
 そしお、貎方ず蚀う存圚を忘れたかの様に、燥ぎ明け暮れた蚳ですが  其れにはこんな理由があった。
 実はあの銀の狐は、燥げば燥ぐ皋毛䞊みに光沢が珟れ、其の光が挆黒の闇をも照らす。
 だからお互いの為に、そう燥ぎ遊んだ。その事実を貎方は知らない。
 知らなかった貎方はこう思った。䜕お目障りな銀の狐。自分より持お囃され、曎にはずっず目の前で燥ぎ遊び明け暮れおいる。
 愚かな掚理小説家の時間を、我が物顔で奪い去った。
 䟋えば、利害関係が䞀臎した銀の狐ず愚かな掚理小説家が、䟝存関係で蚀う共䟝存に圓たるずしたしょう。
 貎方は、既に其れに気付き、愚かな掚理小説家が時間に远われおいる事に気付いた。
 たさか、そんな利益を分け合っおいたずも知らず。
 始めはこの愚かな掚理小説家の目を芚たすだけで良かった。
 だから、劂䜕したら元に戻るのか  目を芚たすのかず画策したのです。
 そしお、出した答えが  謎には倢䞭になるに違いない。誰よりも謎を愛し続けたのだから。
 あの人の気を惹き぀けられるのは、そのぐらいしかありたせん。他は奜きだず蚀っおも、倧切な人以倖は党く振り向きもしない勝手我儘な人だ。」
 黒圱はそこたで蚀うず、䞀぀深呌吞をし敵意は無いず、その堎にだらりずロングコヌトを広げ座る。
「本圓  我儘な思い通りにいかない  目障りな人。」
 月霧さんは吊定するでも無く、其れを本圓の物語の様に、黒圱の暪に静かに座るず、目を閉じお聞き耳を立おるのだ。
 䜕お  静かな掚理だろうか  。
 答えも無く、緊匵感も無い。
「  思い通りになんか、成れないのですよ。あの人は。䜕かに留たっお生きお行ける皋、時を莅沢には䜿えない。貎方は聡明だから、その思い通りにならなかった愚かな掚理小説家に気を取られただけです。
 捚おられた蚳でも無く、飜きられた蚳でも無い。䜕凊かで気付いおいたでしょう  䜕も䞀぀、埌悔無く生きるあの人は、闇雲に圓たっおは道をこじ開けお行く。呚りなんか、䜕も  そう  䜕も初めから芋おいないんです。
 だからブレない。それだけ、犠牲にした物もある。」
 その蚀葉の語尟を聞き眺めるず、そこには臙脂の倧きなコサヌゞュの付いた山折りのハットを月倜に揺らした、黒圱そっくりの愚かな掚理小説家がいた。
「先生、お疲れ様です。」
 ふず、月霧さんが口にする。
「  そちらこそ  お疲れ様です。今宵も良い眺めですねぇ。  劂䜕皋だろうか。時は早過ぎお、僕には芋えない  。僕らには、答え等無粋でしたなぁ。  だがね、黒圱ず決めたのですよ。貎方から受け取った物を劂䜕するか困り果お  。結局はこの答えに蟿り着いた。
 僕は僕の蚀葉で  貎方を蚱せなかったどだけ蚀いたしょう。その蚱せないず蚀う気持ちは、確かに匷い。残せるならば  気付いお貰えるならば  忘れないで欲しいのであれば、そんな蚘憶の残し方も、我々小説家は時にしたす。
   だが、僕はその残し方をあたり奜たない事も貎方ならば、既に分かっおいたでしょうに。
 この結果が芋えおいたしたねぇ  盞倉わらずご冗談のお䞊手なお人だ。決しお僕は怒り任せに報埩などはしない。
 だから、安心しおこの策を打った。

   そうですね」
 ゆっくりず立ち䞊がったその姿は倉わり、挆黒のシルクハットにロングコヌトを広げた、あの黒圱に戻っお芋えた。
「始めは銀の狐を远い掛け、謎に悪戯の圢跡を態ずしお芋せた。劂䜕にも貎方だず分かる様に、良いねを残しおから犯行を繰り返した。
 歀凊で重芁だったのは、愚かな掚理小説家がログむンずアりトが貎方に知られおいるず気付いおいる事。これは以前からの隙し合いでずっくに成立しおいた。貎方はきっず応揎の最䞭に気付いた筈だ。
 銀の狐が自動良いねを䜿っおいるず。䜕ら倉哲も無い事だが、歀れを利甚しようず画策したんですね。
 䜕方がどれ皋の物を䜿っおいるか、分からない状況  歀れに目を向けさせた。ただ、気付いおいたんですよ。
 掞察力だけはあるんです、ああ芋えお。  あれは、自動では無い。切り替えおいたんだっお。
 貎方の動き  ちゃんず芋おいたんですよ。お望み通り、他の誰よりも、銀の狐ず貎方だけをマヌクしおいた。
 だが、少しばかり悪戯が過ぎたようですね。気が付かないのでは無く、蚀わなかったに過ぎない愚かな掚理小説家に、貎方は気付いお欲しくなっおしたった。
 私が助けおいるのだからず。
 其凊で思わぬ事態が起きた。
 頻繁に起こし過ぎた故に、ずうずう愚かな掚理小説家は公蚀の堎で、怒りを露わにしたのです。
   あの人、案倖瞄匵り意識は高いのかも知れたせんね。自分の庭をあれだけ奜き勝手にされれば、普段のあの応揎量ず蚀い、其れは守りに培した事でしょう。
 たさか其凊たで被害を及がす気は無かったが、぀いやり過ぎおしたった貎方は、今床は嫌われるのを恐れお考える。
 その時に、愚かな掚理小説家はたたあの銀の狐ず逃げ回り圌方歀方に飛んで遊んでいた。それは息抜きをしお幞せそうに。
 そしお、瞮小運営を決め、Zに蚪れる頻床も枛った。
 しかし、頻床が枛ればその時に䜕か仕掛けたら時間的にバレおしたう。
 だから、銀の狐の裏切りず蚀う舞台を甚意した。
 今床は跡を残さず、銀の狐ずいる時だけに、頻繁に起こしたのですよ。
 そう蚀えば、きちんず蚘録されおいた。
 愚かな掚理小説家は、始めに起こった事実から、䞁寧に残しおいたしたよ。
 貎方を初めに疑った理由からね。
 貎方の動機も総お  気付いおいたした。
 誰よりも  䞀番知っおいる、私の物なのに  。
 浮気に芋えた方が奜郜合だったのは貎方だけです。これに懲りお、他で浮぀いた事は蚀わないずでも思いたしたか
   皆んなずうずう本気にやったかず、孀立させ泣き぀かれたかったですかね
 その時には、気付かねばいけたせんでした。
 貎方の執着が軋み出した事に。愚かな掚理小説家は、愚か故に其れには逆の行動を取った。
 あの人  柵だずか、束瞛は䞀切受け付けないのですよ。
 あれば「ぶっ壊す」っお、匵り切っちゃう人ですから。
だから、逆に銀の狐をより䞀局愛でた。
 だからず蚀っお、貎方を嫌いになった蚳でも無い。嫌な物は嫌だず自己䞻匵が激しいだけです。
 でも、軜く泚意され、目の前でより䞀局銀の狐ず戯れる姿に、我慢ならなくなったのは圓然ず蚀えば圓然なのですよ。
あの、性栌だから  しか、僕からは蚀えたせんが。
 だから、ある皋床は自業自埗だず、本人も自芚しおいたすよ。
   そしお、䞍意に態ずあの人は仕掛けたんです。
 貎方の動きを芋る為だけに。
 そんな理由でたさか歀凊たでやるたいず、思い乍ら。
 ある日、銀の狐を䞀日切るず話し合い、其れを実行した。
   思わずボロが出おしたったのですね。
 銀の狐をやっず手攟したず思った貎方は、安心した。
 だから、もうこれで手を煩わす事は無いず気を抜いたのですよ。
   だから、逆に確定的に疑われた。
 その日だけ、䜕も起こらなくなったから。
 䜕も無い  貎方の平和が戻っお来る筈でした。
   が、あの人は曎に犯人である事を決定付ける為、最埌の䞀手に手を掛けるのです。
 あの人は甚意呚到で実に疑い深い。神経質な皋に。

   貎方を  切りたした。  ただ、䜕を隠し持っおいるか定かではない以䞊、応揎を再開するに蟺り、裏切らねばならなかった。
 物語を玡ぐ者達の安党ず貎方を倩秀に掛けた。  其れが䞀時の気の迷いだず分かっおいおもです。
 倢を壊しおは成りたせん。倢を  脅かしおは成りたせぬ。  どんなに、苊しい事が悲しい事があっおも。
 それは  貎方も小説家であれば分かっおいた筈です。どんなに朜ちお忘れられようが、諊めようが  䜕を描いお曞いおいたのか、思い出しお欲しかった。僕の声は今  貎方に劂䜕届いおいたすか僕の姿は  劂䜕  芋えたすか」

   僕はそう蚀うず、倉わらぬ月を芋䞊げた。
 この謎を解く  。
 其れは、この結末を芋぀けるず蚀う事だ。
 僕は䜕時もこう  黒圱を通じお、蚀っお来た。

 ――真実は時に、残酷で悲しい物もある。
 ――だが、それに呑たれおはいけない。
 ――その䞭に光る、たった䞀぀の光を芋よ。
   其れが僅かな  人の願いであったずしおもだ。

 月霧さんは、その埌自䜜自挔をし、被害者を装った。
 僕はその策に、䞀床はたんたず嵌められた。
 慌おお、月霧さんを第二の被害者だず、迎えに行ったからだ。
 しかし、埌悔はしおいない。
 月霧さんは  人らしかったのだから。
 間違いもあり、正そうず必死だった。
 誰がそれ以䞊の眪状を付けられるだろうか。
 既に  捕たっおいる犯人は、捕たえられない。

 僕は月霧さんを迎えた盎埌に気付いおしたった。
   気付きたくは無かった。
 僕はZを䜕ずなく避け始めおいたのに、月霧さんのタむムラむンが目に飛び蟌む偶然の確率は極めお䜎い。
 尚䞔぀、其凊で䞍審な䜕かに気付き隒ぎ立おる  。
 その確率は曎に枛る。
 其れに  僕はリポストを切るずしか蚀っおいない。
 確かに調べれば䞍審なブクマが远い掛けおいたのには、数人は気付いた。
 僕が芋えない䜕者かに远われお、倜空さんず逃避行の旅に出おいた事も。
 月霧さんが、気にもしなかったブクマを隒いだのは、僕のログむンを知っおいたからである。
 理由は劂䜕であれ、僕はあの日を深く埌悔した。
 救いたい䞀心で向かった気持ちも  間違いでは無かった。
 そしお翌日  月霧さんのリポストが切り取られお繋がった郚分をTLに目撃。
 勿論僕は䜕者かの仕業だず思い、そのポストを月霧さん偎から芋お確認した。その芖点からは通垞通りリポストは、繋がっおいた。
 それたで、そうかも知れないず蚀う曖昧なリポスト切りの本来の意味を、月霧さんは態々僕に教えおしたったのだ。
 こう蚀う効果になるのだず。
 䜕の為にに䞍自然に切り繋いだか、気付いた僕は月霧さんが犯人だず断定せざるを埗なかった。
 二日に枡り、僕に気付かれるよう、自䜜自挔をタむミング良く行えたのは月霧さんだけ。
 しかも、最初に誀解を招く蚀葉を眮いお、そのリポストを切った効果たではっきりず、確認させおしたったのだよ。
 慌おお僕に迎えに来おもらう為の自䜜自挔は  党おが月霧さんが犯人である事を決定付けおしたった。

 嫌われおも、憎たれっ子䞖に蔓延るだ。
 僕は走る事に埌悔はしたくない。
   だから、惑う人の心も、間違えた道を歩むかも知れない僕を  今日は蚱したい。

   其々の愛の圢もたた  平等である。
 人様に迷惑掛けない皋床ならばな  ふふっ。
 ――――――――――――

「ちょっず――――――っ」
 矎しい月倜に聞き慣れた怒号に僕は慌おお振り向いた。
「䜕で歀凊にきちゃうんですか――っ」
 黒圱は、其の闇から珟れた  䜕お説明しようか。
 そうだな  。
 真っ赀な着物を䞀心䞍乱に振り乱し、走っお  走っおくる  倧鎌を振り䞊げた女ず  其れを止めようずしお、足にしがみ぀くが振り萜ずされ掛かっおいるサダノブ  だな。

「ぞっ  今終わるず思ったじゃないか。」

 僕は其の芋慣れた人物に蚀ったが、

「あんたは黙っおなさいよっなぁ〜に二人で月なんか眺めちゃっお黒圱も黒圱よっ居るんならさっさず燃やしちたいな、こんな女狐」
 その女  女  あんたり、この呌び方は埌で怒られそうだから蟞めようか。
 通称、黒圱玳士の裏ボス  こず、䜕か僕にあった時だけちろっずZではお知らせに顔を出す、バリバリ黒圱玳士の事務方ず、僕の健康管理で日々お䞖話になっおいる  所謂、最愛の人である。
 劂䜕しおも、今回物蚀いがあるらしく、こんな登堎で良いのかず、聞いたのだが  歀れで良いらしい。
 よっお、この蚀葉䜿いず、この姿で蚘したいず思う。
「今日も勇たしくお、玠敵だね。」
 僕はにっこりず埮笑み圌女を迎えた。
 䞡手を広げお埅぀が  凄たじい勢いでガツガツず振り切り、月霧さんに向かっお行く。
「あっ、ほら  。この䞀件は萜着し  。」
「勝手に萜着しおるんじゃないわよ」
 僕の䌞ばした手は、その怒りの圢盞ず䞀喝にフリヌズする。
「あのぉ  僕に八぀圓たりされおもですねぇ。」
 ず、小声で蚀っお苊笑った。
「あんた、ちょっずりチの旊那に䜕しおくれちゃっおんのよ熱出したじゃないの  この銖刈り歊者が、ぶった切っおやる」
 最愛の人が  月霧さんに切り掛かっお、倧鎌を振り䞊げお远い掛けおいるのを芋お  僕は、心底こう思い、うっずりず芋詰め呟いた。
「  䜕お可愛いんだろう、今日も。」

「はぁ  劂䜕かしおたすよ可愛いじゃ無いでしょ、流石にっ止めお䞋さいっお」
 サダノブが䜕故か血盞を掻いお、僕にそんな蚀葉を良い残し、最愛の人を远い掛けお行った。

   良いなぁ、楜しそうだなぁ  。
 僕も筆䌑めしお、最愛の人ず远い掛けっこしたいなぁ  。

「䜕しおいるんですかっ思っおる事、だだ挏れで曞いおたすよお垰りなさいっ  党く䜕凊たで歪んでいるんだか。止めおきたすからねっ」

   黒圱は僕にそう早口で蚀うず、月倜に真っ赀な矎しい鳳凰の翌を茝かせ過ぎお行った。
 走り去った埌、あの思い出の䞇幎筆代わりにしおいた矜根がひらりひらりず舞い降り、僕はそれを手にしお埮笑んだ。
「ほら  倧䞈倫になった。」

   䜕を慌おる事があろうか、銬鹿銬鹿しい。
 こんな問題解決、この僕には䜙りにも簡単過ぎる。
 僕の数日間の苊悩に比べたら  よっぜどねぇ。

   月霧さん  僕は、淡星さんにこんな事を䌝授されたした。
 貎方を再び蚱しおしたうのは、ずおも危険な事だず。
 僕の砎滅か貎方の砎滅  たたは貎方ず朰し合う事になるかも知れない。
 其れでも僕は構わないず思いたした。
 黒圱ず決めたんです。  貎方が倢に惑うならば、もう䞀床  今床こそ、惑う事なき䞀筋の真実の光ぞ  。

 倢を芋せるのもたた  玳士の仕事である。

 危険を恐れる時、誰かの手を取りはしない。
 探偵も、救助の鉄則である。
 惑わないよ  僕は。
 捚おたフリをした。これで別れならば臎し方ないずも思った。
 だが  もう䞀床倢が芋たいず思った時は、僕は迷わず  其の手を救うず誓う。
 救いの手を䌞ばした時、匕き摺り蟌たれる芚悟をしろ。
   そんな事  僕には垞識過ぎお笑っちたうよ。
 どうぞ奜きなだけ匕っ匵るず良い。
 貎方の真意をこの目は芋過ごしはしない。
 その䞀瞬に賭けお、その闇から匕き䞊げおやる。

 その苊しみも  悲しみも  我が手にお  
 䞁重に、真実の䞘ぞず垰す。

「  ほら、䜕時たで遊んでいるんですかぁ。曞き䞊がりたした  デヌトに行きたすよヌっ戻っお来お䞋さ――いっ」

 ――黒圱玳士ヌ急遜番倖線 「ずある掚理小説家に届いた苊悩の挑戊状」も、これにお䞀件萜着――

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お急ぎ匕っ越しの為、校正埌日ゆっくりに぀き、⚠誀字脱字オンパレヌド泚意報発什䞭ですが、この著者読み返さないで筆走らす癖が埡座いたす。気の所為だず思っお、面癜い間違いなら笑っお過ぎお䞋さい。皆んなそうしたす。そう蚀う埮笑たしさで出来おいる物語で埡座いたす^ ^


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読曞感想文

お賜銭箱ず蚀う名の実は骞骚の手が出おくるびっくり箱。 著者の執筆の酒代か圓おになる。若しくは珈琲代。 なんおなぁ〜芁らないよ。倧事なお金なんだ。自分の為に投資しなね。 今を良くする為、未来を良くする為に おな。 劂䜕しおもなら、薔薇買っお写メっお皆で癒されるかな。