筋肉痛

筋肉痛を回復させる5つの方法。ナゼ起こる?意味なしサプリ使ってない?

ハイライト
・筋肉痛は炎症物質により近くの細胞まで壊れる事で起きる。
・CoQ10は効果なし。BCAAは微妙な効果。
・クライオセラピーとL-カルニチンはやっといて損はない!

そもそも筋肉痛ってナニ?

筋肉痛とは、慣れていない激しいトレーニングや、競技を行った後に経験する筋肉の痛みのことです。痛みの種類としては、鈍く、抑えると痛みが強くなる特徴を持ち、5~7日にわたって続くことがあります。

さらに、筋肉の痛みをかばうように運動を行うことで、いつもとは違う筋肉に負荷をかけ、その細胞を損傷させてしまいます。その結果、最適な力を作れる時間がどんどん短くなってしまうといわれています。

筋肉痛によって、筋肉の力が長い間弱くなってしまうことは死活問題であり、急激なトレーニングを必要とするすべての人にとって大敵です。

筋肉痛の原因とは?

以前は、筋肉が糖を代謝した結果生じる乳酸が蓄積することが筋肉痛を引き起こす原因とされていましたが、これはおそらく間違いであることが判明しています。

現在は、

運動に伴って筋肉が壊れる → 壊れた筋肉細胞で炎症が起こる → 壊れた細胞の周りの細胞にまで炎症が飛び火する → 痛みが出る

という理論で起こると考えるのが一般的です。

*炎症反応とは損傷した組織を除去・再生するために起こる反応のことです。

筋肉痛をカイゼンする方法

1.全身凍結療法 ■推奨度:B ■コスト:1回1万円

日本ではクライオサウナと呼ばれることもあるのですが、まったく同じ方法です。

-110~-190℃の超低温状態に2~5分間のあいだ体をさらすことで、筋肉の炎症反応を制限し、筋肉痛やパフォーマンスを維持する方法です。

いやいや、嘘だろ・・・?と私も思いましたが、実際に炎症を引き起こす物質であるIL-8やTNF-α、IL-6レベルが低下し、筋肉が破壊されたときに放出されるクレアチンキナーゼ(CK)も低下することが明らかになっています。

さらに、

・筋肉痛からの回復速度UP↑
・筋肉の機能向上↑
・炎症・損傷レベルの低下

などが複数の研究(*1)によって報告されているため、意外としっかり根拠のある方法です。

明らかにコストは高い療法なので、東京や大阪など都市部にお住まいの方で、お金にも余裕がある人は試してもよいかもしれません。

怪しげなクリニックも多いので、しっかり実績のあるところを選びましょう。

2.コエンザイムQ10(CoQ10) ■推奨度:E ■コスト:低

コエンザイムQ10が筋肉痛に効くと聞くことが多いので調べてみました。現状は、残念ながらエクササイズ後のコエンザイムQ10が筋肉痛に効くという証拠はありません。

薬の副作用で出る筋肉痛を減らすのではないか?という仮説があるものの、現状では薬による筋肉痛を減らす効果もないことが、統計的に示されています。

コエンザイムQ10を筋肉痛を抑えるためにあえて摂る必要はないといえるでしょう。

3. L-カルニチン ■推奨度:B ■コスト:低

L-カルニチンは安価で筋肉痛を抑えることができる可能性の高い、優秀なサプリです。

21人の健康な男性に参加してもらった実験(*3)では、

L-カルニチンを1日に2000mgを14日間摂ってもらいました。
・対象群として、L-カルニチンを摂っていない人とグループ分けをしました。
・長距離走後に、Lカルニチンを摂っている人とそうでない人を比較しました。

すると、L-カルニチンを摂っている人たちでは、筋肉の損傷が減り、酸化物質の生成を抑制し、抗酸化物質を増やすことができました。

つまり、炎症を引き起こす酸化物質を防ぎ、筋肉の損傷を抑えることができたのです。

バスケットボール選手に協力したもらった実験(*4)でも、トレーニング後にL-カルニチンを摂取することで、筋肉の炎症を減らすことが示されています。

L-カルニチンは、血管に作用して、筋肉組織への血流と酸素供給を促すことが判明しており、それによって筋肉の低酸素状態を防ぎ、炎症や損傷を引き起こさないよう働くと考えられています。

最近の研究では、高齢者の筋力低下を防ぐためにもL-カルニチンの有用性がしめされつつあり、これから更に注目の成分となりそうです。

とはいえ、何千人、何万人という大きなデータで効果が示されているわけではないため、推奨度はBとしています。

筋肉痛になりやすい人が、とりあえず試すべきサプリとしてはかなり優秀かと思われます。

4.クライオセラピー ■推奨度:A ■コスト:ほぼ0

運動の後、10℃(5~13℃)の冷水で13分程度冷却するだけのカンタンな方法です。

これなら、運動後に冷水シャワーを浴びるだけでできる方法なので、お手軽。さらに、実際の効果も多くの研究で示されているため非常に有用。

1の全身凍結療法と同じようなメカニズムで、身体の炎症自体を抑え込むことで筋肉の損傷を防ぐことができます。

この方法では

・筋肉痛の抑制
・筋肉の運動性のカイゼン

が見られることが、2015年のレビュー研究(*5)により判明しているため、推奨度はAとしました。コストもほとんどかからないのでオススメの方法です。

L-カルニチンと組み合わせて行うことで、さらなる効果が期待できるかもしれません。気になる方はぜひお試しを!

*注意:高血圧や心臓病の既往歴がある人、パニック障害の人などはやらないこと。

5.BCAA(分子鎖アミノ酸) ■推奨度:C ■コスト:低

BCAAは、筋トレ界隈だと非常に有名です。プロテインとして摂取している人もかなり多いと思うのですが、”筋肉痛”という観点からみると微妙な効果しかありません。

2017年に行われた包括的研究(*6)では、BCAAを使用することで筋肉の損傷を示すクレアチニンキナーゼを優位に減少させることが示されており、筋肉を維持する為にはある程度効果がありそうです。

一方、筋肉痛を抑える効果は”無い”ということが示されているので、筋肉痛を抑えるためにわざわざ摂る必要はなさそうという結果。

有害性は示されていないので、あくまで筋肉をつけたい人が、筋力低下を防ぐために摂るサプリとしてはそこそこの効果が期待できそう?くらいに思っておくのが良いでしょう。

まとめ

1.全身凍結療法 ■推奨度:B ■コスト:1回1万円
2.コエンザイムQ10(CoQ10) ■推奨度:E ■コスト:低
3. L-カルニチン ■推奨度:B ■コスト:低
4.クライオセラピー ■推奨度:A ■コスト:ほぼ0
5.BCAA(分子鎖アミノ酸) ■推奨度:C ■コスト:低

基本的には、クライオセラピーとL-カルニチンを併用していくのが一番効果が期待できそうな感じ。残念ながらコエンザイムQ10についてはほぼ効果が期待できないです。

筋肉を見せたい人にとっては、BCAAは良い選択肢となりますが、アスリートにはあえて摂る必要性がないかもしれません。

筋肉の損傷には抗酸化物質を摂ることが重要でないか?という研究がいくつか見つかったので、食事に関しては抗酸化物質を含む食材を積極的に摂るよう気を付ければ、さらに良さげな感じです。

2つの記事には抗酸化物質の摂り方をまとめてあります!こだわりたいヒトはぜひ読んでみてくださいね!

ーーーーー おしまい -----

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引用

1.Rose, Catriona, et al. "Whole-body cryotherapy as a recovery technique after exercise: a review of the literature." International journal of sports medicine 38.14 (2017): 1049-1060.

2.Tan, Jason T., and Arden R. Barry. "Coenzyme Q10 supplementation in the management of statin-associated myalgia." American Journal of Health-System Pharmacy 74.11 (2017): 786-793.

3.Parandak, Khadijeh, et al. "The effect of two-week L-carnitine supplementation on exercise-induced oxidative stress and muscle damage." Asian journal of sports medicine 5.2 (2014): 123.

4.Fielding, Roger, et al. "L-carnitine supplementation in recovery after exercise." Nutrients 10.3 (2018): 349.

5.Hohenauer, Erich, et al. "The effect of post-exercise cryotherapy on recovery characteristics: a systematic review and meta-analysis." PLoS one 10.9 (2015): e0139028.

6.Rahimi, Mohammad Hossein, et al. "Branched-chain amino acid supplementation and exercise-induced muscle damage in exercise recovery: A meta-analysis of randomized clinical trials." Nutrition 42 (2017): 30-36.

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