尾崎将也

脚本家・映画監督・小説家  <テレビドラマ脚本>「結婚できない男」「アットホーム・ダッ…

尾崎将也

脚本家・映画監督・小説家  <テレビドラマ脚本>「結婚できない男」「アットホーム・ダッド」「特命係長・只野仁」「白い春」「梅ちゃん先生」「まだ結婚できない男」、<映画脚本>「g@me」「天国からのエール」、<映画監督作>「世界は今日から君のもの」、<小説>「パラレル・パスポート」

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  • 脚本家志望者のための映画・テレビドラマ制作の知識

    プロの脚本家も実は撮影現場のことはあまり知りません。脚本家志望者もある程度現場のことを知っている方が有利では?脚本家と監督を両方経験した立場から、知っていることを書いてみます。

  • 尾崎将也の<全部入り>脚本講座

    脚本の書き方や勉強法についてこれまでアトランダムに書いて来たことに新しい要素も加え体系的に再構成しようというものです。有料コンテンツですが最初の章はお試しで無料とします。

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脚本家志望者のための映画・テレビドラマ制作の知識 その3<ロケ撮影とセット撮影>

 映画やテレビドラマを撮影するには、どこで撮影するかが事前に決まっている必要があります。撮影する場所は、大きく分けてスタジオでの「セット撮影」と、外で行う「ロケーション撮影」の二種類があります。ロケというと屋外というイメージがありますが、家や会社などを借りて撮影する場合は屋内でもロケです。屋内で撮影することを「ロケセット」という言い方をする場合もあります。  ロケーションをする場所を事前に見て回り「ここで撮ろう」と決めていく作業を「ロケーション・ハンティング」、略して「ロケ

    •  脚本家が小説を書いて知ること  <その2>「ヒロインの旅」との出会い

       小説『パラレル・パスポート』を上梓したのを機会に、脚本と小説の違いについて書いてみようと思い、前回は脚本のト書きと小説の地の文の違い、小説の人称について書きました。今回はもう少し内容に踏み込んだことを書いてみようかと思います。 「ヒーローズジャーニー(英雄の旅)」ではうまくいかない?  物語を作るとき、起承転結や三幕などの構成から入ることがありますが、もうひとつ、具体性を伴った「ひな形」にあてはめて考えるということがあります。  そのひな形の典型的なものが「ヒーローズジ

      • 「えっ、小説ってそうだったの?」脚本家が小説を書いて知ること <その1>

         二冊目の小説『パラレル・パスポート』を書きました。今回の記事では「脚本家が小説を書いて、なるほど、小説とはそういうものか」と気付くことについて書きます。脚本、小説、それぞれを書こうとする人にとって何か参考になればと思います。 地の文って何?  脚本家が小説を書くとき、一番思うのが「小説の地の文って何?」ということでしょう。脚本は「シーンの柱」「セリフ」「ト書き」の三つの要素で書かれています。ト書きは人物の動きや表情、その場の状況など目に見えるものを簡潔に書くもので、映像

        • 脚本セミナー(無料)を開催します

          ※申し訳ありません。応募多数につき締め切りました。 日時 12月23日(土)14時~17時 場所 山手線 恵比寿駅近くの貸し会議室 人数 10人程度 内容 ①映画「ローマの休日」の詳細な分析 ②インプットしたことをどうやってアウトプットにつなげるかという話 ③脚本の勉強に関する質疑応答 開催の趣旨 来年より脚本家志望者向けのオンラインサロンを開始する予定です。今回のセミナーはそれに先だって、脚本家志望の方が何を求めているか、何を必要としているかをリサーチする機会にしたい

        脚本家志望者のための映画・テレビドラマ制作の知識 その3<ロケ撮影とセット撮影>

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        • 脚本家志望者のための映画・テレビドラマ制作の知識
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          脚本家志望者のための映画・テレビドラマ制作の知識 その2<キャスティングと衣装合わせ>

          「作品の顔」を決めるキャスティング  キャスティングとは、脚本に登場するそれぞれの役に俳優をあてはめて行く作業です。当然、作品作りの中で非常に重要な過程です。俳優はそれぞれ事務所に所属していますので、事務所と交渉して出演OKとなったらその役のキャストが決定ということになります。(一部にフリーの俳優がいます。その場合は本人と交渉します)  キャスティングをするのはプロデューサーの仕事です。キャスティング・ディレクターというキャスティング専門の人に依頼する場合もあります。  俳

          脚本家志望者のための映画・テレビドラマ制作の知識 その2<キャスティングと衣装合わせ>

          「抽象的すぎる」ってどういうこと?

           生徒の脚本やプロットを読んだり、話したりしているうちに気付いたことがあります。「ストーリーが抽象的すぎる」ということです。これが作品がうまく行かない大きな原因のひとつです。  「抽象的」とは、実用日本語表現辞典によると「共通した要素を抜き出して一般化していること、または具体性に欠けていて実態が明確ではないこと」とあります。脚本を書くときに問題となるのは主にこの文章の後半の方です。 『E.T.』を例に  例えば映画『E.T.』はどんな話? と聞かれて、次のふたつの答え方

          「抽象的すぎる」ってどういうこと?

          脚本家志望者のための映画・テレビドラマ制作の知識 その1<全般的な話>と<企画について>

          「脚本」は制作工程のほんの一部  脚本を書くというのは映画やテレビドラマを作る中のひとつの工程です。「ダメな脚本から優れた映画やテレビドラマが生まれることはない」と言われるように作品作りの中で重要な工程ではありますが、脚本を書くという行為は制作の中のほんの一部であり、また制作の現場から離れたところに存在しているという特殊性もあります。脚本家が仕事上で会うのはプロデューサーと監督(ディレクター)がほとんどで、彼らと打ち合わせをしたあとは脚本家は一人で執筆作業をすることになりま

          脚本家志望者のための映画・テレビドラマ制作の知識 その1<全般的な話>と<企画について>

          尾崎将也の<全部入り>脚本講座[6]  プロットの書き方

          ※今回は無料です プロットは脚本の設計図  脚本を書く前に、普通は「プロット」というものを書きます。プロットとは簡単に言えばストーリーを詳しく書いたようなものです。厳密にはストーリーそのものとは少し違うのですが、それは後で詳しく述べます。  何のためにプロットを書くかというと、主な目的は「脚本を書く前に内容を検討するため」です。プロの場合は、一回目の打ち合わせでは内容に関して大まかな方向性を話し合い、「じゃあその方向でプロットを書きます」となり、その次にプロットで打ち合わ

          尾崎将也の<全部入り>脚本講座[6]  プロットの書き方

          尾崎将也の<全部入り>脚本講座  [5]ストーリーをどうやって作るか

          (重複度3)※200円に値下げしました。 まずはお詫び 前回から時間がたってしまったことをお詫びします。  前回はセリフの初級編でした。「次回はセリフの上級編」と予告したのでそれを書こうとしていたのですが・・・これが実に難しいのです。自分がいつも仕事でセリフを書いているのに、いざ「いいセリフ、面白いセリフはどうやって書くのか?」「どうやって勉強するのか?」を考えると、「あれ?どうするんだっけ?」という感じで、よくわからないのです。  前回書いた初級編は、いつも生徒の作品を読

          有料
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          尾崎将也の<全部入り>脚本講座  [5]ストーリーをどう…

          <映画の紹介>「長靴をはいた猫」

          人生で始めて「熱狂」した映画  69年公開の東映動画作品(監督・矢吹公郎)。当時東映動画の社員だった宮崎駿氏が原画スタッフとして参加しています。「東映まんがまつり」と銘打って他のアニメと一緒に上映され、小学校三年生だった僕は母親に連れられて見に行きました。  僕は中学一年のときに「燃えよドラゴン」を見たのが映画オタクになったきっかけだったと色々なところに書いていますが、それ以前に始めて「熱狂」した映画がこの作品です。  当時は夏休みや春休みに毎日のようにテレビでアニメ映画を

          <映画の紹介>「長靴をはいた猫」

          フジテレビ・ヤングシナリオ大賞受賞の頃のこと(後編)

            第五回フジテレビ・ヤングシナリオ大賞を受賞した『屋根の上の花火』は、トレンディ・ドラマっぽいラブコメでした。前編にも書いたように、僕はトレンディ・ドラマに憧れて脚本家を目指したので、作品がそういうものになるのはある意味当然でした。  しかしこの作品が受賞するに足るものなのかどうかは全く自信がありませんでした。 コンクールに対するモヤモヤ感 僕はコンクールに対して「何が評価されるのかよくわからない」というモヤモヤした感じを抱いていました。  そのモヤモヤの原因はいくつ

          フジテレビ・ヤングシナリオ大賞受賞の頃のこと(後編)

          フジテレビ・ヤングシナリオ大賞受賞の頃のこと(前編)

           6月18日に発売された「月刊ドラマ」7月号に、僕が92年に第五回フジテレビ・ヤングシナリオ大賞を受賞した『屋根の上の花火』が掲載されています。(坂元裕二氏、金子ありさ氏、古沢良太氏のコンクール受賞作も同時掲載)  今回は脚本家を目指した頃のことやコンクールのことなどを思い出しながら書いてみます。 映画監督志望の中学~大学時代 僕は中学の頃から映画オタクになり、映画監督になりたいと思うようになりました。高校のときには新井一さんの「シナリオの基礎技術」を読み、さらに「男はつ

          フジテレビ・ヤングシナリオ大賞受賞の頃のこと(前編)

          映画『世界は今日から君のもの』GYAO!で無料配信(7月5日まで)

          監督した映画『世界は今日から君のもの』がGYAO!で無料配信中です。7月5日(日)まで。 出演・門脇麦 三浦貴大 比留川游 マキタスポーツ YOUほか。音楽・川井憲次。 下のリンクからどうぞ。

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          尾崎将也の<全部入り>脚本講座[4-2] 自然なセリフを書くためのエクササイズ

          (重複度0) ※今回は無料です。  尾崎将也の<全部入り>脚本講座4「セリフについて」(前編)で、「セリフは話し言葉としての自然さが必要」と書きました。初心者の中にはそれが苦手な人がけっこういます。前回も書きましたが、文字で書くから書き言葉に近くなってしまうということだと思います。そこから抜け出すためには、自然な喋り言葉を書く練習が必要でしょう。そこでちゃんと人が喋っているように見えるセリフ、キャラクターが感じられるセリフを書けるようになるためのエクササイズを考えました。

          尾崎将也の<全部入り>脚本講座[4-2] 自然なセリフを書くためのエクササイズ

          コロナ時代のテレビドラマ・映画

           先日、緊急事態宣言で中断していたテレビドラマの収録が再開されました。現場はかなり厳格な新型コロナウイルス(以下コロナと略します)対策のルールがあるようです。(下記はネットの記事に出ていた日本テレビのドラマ撮影ガイドラインです)  撮影の現場が大変なのはもちろんですが、僕がそれ以上に気になるのは、テレビドラマや映画の「内容」がどんな影響を受けるかということです。 三密のシーンは無理? 上記の記事には、制作関係者の話として「こういうシーンはダメと脚本家に制限を出すことはない

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          尾崎将也の<全部入り>脚本講座 [4] セリフについて(前編)(まずいセリフを書かないために)

          (重複度2) ※初めての方は「前書き」も合わせてお読みください。  前回の講座で取り上げた「ト書き」は脚本を書く上で大切な要素ではありますが、そんなに難しいものではありません。プロの脚本家が「ト書きが難しくて悩んでいる」と言うのを聞いたことがありません。もちろん初心者が最初の段階で戸惑うのは当然ですが、一度「ト書きはこういうもの」と理解してしまえば、その後はさほど悩むことはなくなるはずです。  それに対して「セリフ」は難しいものです。プロの脚本家もいいセリフを書くためにい

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          尾崎将也の<全部入り>脚本講座 [4] セリフについて(…