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⭐️心の学び:幸福を求める病

ぼくはショーペンハウアーを否定して別の世界観を抱くつもりでいた。

悔しいことにショーペンハウアーと同じ世界に突き当たっている。

「夢に見た漠然とした幸福の面影が、気まぐれな姿をとって目先に去来し、われわれはこの面影の正体を求めるが、得られるよしもない。」

これは生きることの苦悩や煩悶の根源のことを指している。

幸福という雛形に振り回され、在りもしないことを在るかのように思い込む現実がある。

現実については早いうちに教育されるべきだとぼくは思っている。

「夢は諦めなければ…」という話もそうだ。

以前、何かの雑誌で、落語家の師匠が弟子を持つことについて書いておられた。
「師匠は弟子に落語家になることだけでなく、むいていなければ他の道へ進むことも教えなければならない」
という内容だったと記憶している。これが現実なのだ。

私たちはテレビドラマや映画、物語によって生き方の雛形を作り上げている。あたかも現実化するかのように思い込むものだ。

このことについてはショーペンハウアーも同じように述べる。
「現実の世界からいろいろなものが得られるなどという妄想を早期の啓発によって青年の心から断つことができたら、教育の効果はきわめて大であろう。」

思い込みや期待はそうやって苦悩を生み出すこともある。
そのことをショーペンハウアーは、
「文学によって描写された数々の場面の実現されるところを見たいという憧れに悩ませられる」
と同じ見方をする。

いろんなことを学び観察して落とし所を探しているうちにショーペンハウアーと同じ世界をぼくは観ているのであろうか。

ぼくはこのような心理傾向から逃れるために思考を繰り返していたつもりだったのに、昔の人間が観た世界と何も変わっていないことに愕然とする。

それでもぼくは、「現実とは何か」「ここからどう考えるか」「何がいえるか」という思考を虚しく繰り返している。


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