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ロボット世界大会最年少出場で入賞、孫正義育英財団3期生の息子を育てたパパ経営者が、社会に描くビジョン

「子どもの興味や関心って、本来、国語とか算数とかみたいな教科でくくれるものではないと思うんですよ」―――。


子ども向けのイベント・テーマパーク事業などを手がける、Go Visions株式会社の代表取締役・小助川 将(こすけがわ まさし)さんは、そう語ります。

パパ経営者にインタビューして、子育てと経営の両立や、子育ての際に意識していることなどについて伺う、パパスマイルBLOGの連載企画第2弾。

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聞き手は、日本唯一のベビーテック専門メディアBaby Techの運営や、育児系IT商品サービス総合コンサルティング事業などを行う、パパスマイル代表の永田。一女のパパでもあります。

そして話し手の小助川さんは、中学生の娘さんと、小学生の息子さんという2人のお子さんのパパ。リクルート、グリー、LITALICO(リタリコ)などを経て「一人ひとりがビジョンに向けて進める社会を創る」ため、2019年の6月にGo Visionsを立ち上げました。


2019年9月23日には、子どもの可能性が広がるイベント『Go SOZO Tokyo 2019』を、1,000名以上の規模で実施。

小助川さんの息子の晴大(はるた)さんは、ロボット世界大会WROに2年連続出場で、どちらも入賞。8歳での出場は、2017年世界大会では世界最年少出場です。そして晴大さん、孫正義育英財団の3期生にも選出されています。

今回は、子育てと経営の両立を地で行く小助川さんに、その秘訣を伺いました。

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小助川 将(こすけがわ まさし)さん。秋田県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、戦略コンサルティングファームに入社。その後、リクルートにて新規事業の立ち上げなどを行い、グリーでは複数プロダクトの責任者として事業を推進。2015年からはLITALICOで執行役員を務めていました。2019年の6月に「一人ひとりがビジョンに向けて進める社会を創る」ため、Go Visionsを創業。子どもたちの可能性開拓に取り組む事業『Go SOZO』や、働き方やチームビルディングに着目した人事向け事業、経営コンサルティング事業などを展開しています。


意図的な公私混同

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永田:早速なんですが、子育ての経営の両立について、どういったことに気をつけていますか?

小助川:前提を覆すような形にはなってしまうんですが、そもそも子育てと経営の「両立」や「バランス」について、考えたことはないですね。妻も仕事をしていて、どちらかといえば時間は私のほうが自由に使えるので、朝ご飯を用意したり、長女のお弁当を作ったりは、私が担当しています。ただ、9月23日の『Go SOZO Tokyo 2019』には、娘が運営スタッフとして手伝ってくれたり、妻も登壇者としてトークセッションに参加してくれたり、そして息子は来場者の方に向けてプレゼンをしてもらったりと、基本的に子育てと経営の境目はないですね。

あと最近までは、ロボット世界大会のWROへ出るために、息子は夏休み返上でほぼ毎日ロボット制作スタジオに通っていました。それで、今年は私もコーチとして大会に参加していたので、仕事の合間を見つけては、制作スタジオへ頻繁に足を運んでいましたね。人生は1回きりだし、子どもと一緒に目標に向かって全力で取り組めるって、これほど幸せなこともないと思うので、バランスを取るっていうよりは、いまやりたいことを全力でやっています。

永田:もう、子育てや経営に対する考え方が、良い意味ですでに「家事の分担をどうしよう」みたいな段階ではなくなってるんですね。パパスマイルとしても、いまベビーテック領域の事業に取り組んでいる根幹には、「家族が真のチームになることが理想だよね」っていう考え方があります。その点で言うと、小助川さんの家族は完全にチームになっていますよね。

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小助川:そうですね。親のやりたいこと、子どものやりたいことに対して、お互いに協力できていると思います。家庭と仕事は、分けて考える必要は全くないと思っていて。すべてはグラデーションのなかにあるので、例えば親が仕事をしている環境を、子どもにも経験してもらうことによって、仕事って楽しいなや、逆にこんな大変なこともあるのかということを、感じてもらいたいと思っています。

永田:ぼくも、子どもがもう少し大人の話していることを理解できるようなったときに、「子連れ会議」みたいなことができれば面白いかなと考えてます。会議に来て部屋の端で遊ばせておくのではなくて、一緒に会議に参加してもらうという意味での「子連れ会議」です。

小助川:あと、家族がチーム、家庭と仕事をごちゃ混ぜにするっていう話で言うと、いま家庭内では、私と妻がどちらも仕事で忙しくて、家事まで十分に手が回ってない状況なんです。そこで子どもたちに対して「仕事っていうのは、誰かの困っていることを解決すること。その貢献の対価が、お金なんだよ」という話をして、もしお風呂を掃除してくれたり、洗濯物を畳んだりしてくれたら、それを提案しに来てと言っています。そこで例えばお風呂掃除をして家族の困りごとを解決してくれたら、100円を支払うということをやっていますね。最近は長女が中学生になって、要求してくる金額が300円くらいまで値上がりしてるんですけど笑。


子どもは「たまたま我が家に生まれてきてくれただけ」

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永田:お子様と接するときに、特に意識されていることってありますか?

小助川:親と子どもという関係よりは、一人の人間として対等に接することを意識しています。最終的な決定は、自分自身の意思でするんだよということは、常に伝えていますね。私の根本的な思想として、自分の子どもだって、たまたま我が家に生まれてきてくれただけ、というのがあって。例え子どもであっても何かしらの考えや意見は持っているはずなので、それに耳を傾けるようにしています。

永田:子どもの考えや意見に耳を傾けるっていう話で言うと、ぼくも一昨日の朝、急に娘から「小学校に上がったら、自分のスマホが欲しい」と言われました。それに対してぼくは「うん分かった。じゃあ今度の日曜日までに、スマホが欲しい理由を整理して教えて」と返したんです。彼女がどんな主張をしてぼくを説得してくれるのか、楽しみだなーと思いながら待っています。

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小助川:デジタルデバイスの場合は、特にご家庭によってそれぞれの方針があると思うんですけど、我が家の場合はかなり自由度は高いんじゃないかなと思っています。むしろ、できるだけ早く触れて欲しいと考えているくらいで。もちろん、アダルトコンテンツをブロックしたり、課金するときには親しか知らないパスワードを入力する必要があったりと、必要最低限の措置はとっていますが。人によっては、そんな自由に触らせていて、変なサイトに引っかかったらどうするの!という声もあるんですが、私はそれも一つの良い経験だと捉えています。

そして、そうやって子どもたちに裁量を与えていると、分からないことがあったときに自分たち自身で調べたり、自然と世界が広がっていったりするんですよね。最近だとTikTokが世間で知られる前に、息子と娘はTikTokで遊んでいて、私が知らない間に勝手に2人で動画を投稿していました。あとは、今年のGWに京都へ旅行に行ったんですけど、そのとき2人に「京都旅行のプランを立てて」とお願いしたんです。そしたら2人はインスタグラムやYouTubeで旅先を調べ始めて、気づいたら行き先がインスタ映えするスポットばかりになっていた、なんてこともありました笑。

永田:周りが良いと言っているものに合わせるんじゃなくて、自分で能動的に取り組んで、自分のものさしで良いと思えるかどうかっていうのは、すごく大事ですよね。それが正解か不正解かなんてことは、本当にどうでもよくて。ぼくもたまに、娘から「これ作ってみたんだけど、ちゃんとできてるかなあ?」って聞かれるんですが、「あなたができたと感じているのなら、できたんじゃない?」と返してます。逆に「あなたは自分のその作品をどう思ってるの?」と聞いて「まあまあいい感じ」と返ってきたら「ああ、それなら良かったね」と言ってますね。


運命的なLITALICOとの出合い

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永田:子供向けのイベント・テーマパーク事業を行うGo Visionsを起業されたり、子供向けのロボットプログラミング教室も運営されているLITALICOで働かれていたりしたというのは、ご自身のお子様の影響もあるんですか?

小助川:子どもの影響は大きいですね。というか、もう子どもが理由です。LITALICOの前はグリーで働いていたんですけど、そのときに娘が学校へ行きたくないと言ってきたんです。それで、娘からの話を聞いたり、自分でも教育問題について調べていったりするなかで、もう学校に期待しすぎるのは良くないなという結論になりました。先生は業務が多くて忙しかったり、学校の仕組み自体も、画一的で知識詰め込み型のスタイルがいまだに残っていたりします。だったら親が子どもの興味や関心を広げたり、やりたいことを応援したりしないといけないなと。

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小助川:そういった経緯があって、転職エージェントへ「教育系の良い企業があったら教えてほしい。いま教育問題にすごく関心があるから」と伝えたんです。そこで、LITALICOを紹介してもらいました。そして、そのときLITALICOにものすごく縁を感じて。というのも、紹介してもらう直前に、LITALICOが運営するロボットプログラミング教室に、ちょうど子ども2人を連れて訪れていたんです。子ども2人が夢中になってものづくりする様子を見学していて、良い場所だなーと思っていたら、その4日後くらいにその転職エージェントからLITALICOを紹介してもらいました。それでその翌週くらいには、子ども2人がものづくりをしていた場所と、まったく同じ場所でカジュアル面談をしていて笑。結果的に、そのまま入社することになったという流れですね。しかも自分が一番やりたいと思っていた、ロボットプログラミング教室の運営を行う『LITALICOワンダー事業部』の、事業部長をやらせてもらえることになりました。

永田:やっぱりそういう巡り合わせっていうのは、あるものなんですね。


「SOZO」に込められた3つの想い

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永田:『Go SOZO Tokyo 2019』もかなり大規模なイベントだったと思うんですが、来年の2月には『Go SOZO Tokyo 2020 Spring』と題して、より大きな8,000~10,000名規模のイベントを実施されるんですよね。会場も池袋サンシャインホールへと移して。

小助川:そうですね。私は子どもたちには、私たち大人が知らない世界をもっともっと体験してほしいなと思っています。大人によっては、自分の知っている世界に子どもがいてくれたほうが安心感があるから、つい自分の知っている世界のなかに閉じ込めようとしちゃうんです。でもそれって、子どもの可能性に蓋をする、とてももったいない行為だなと感じていて。

だから『Go SOZO』の「SOZO」には3つの意味を込めているんですが、1つ目と2つ目は日本語の「想像」と「創造」、そして3つ目は実はギリシャ語の「解放」という意味なんです。これまでの慣習や社会の常識によって抑圧を受けてしまっている子どもたちを「解放」し、自由に「想像」、そして「創造」してほしいという想いがあります。もちろんワークショップや他の子どもたち同士の交流を通じて、子どもたちの興味や関心を広げてほしいという目的もあるんですが、それと同時にそういった子どもたちの姿を見て、大人たちの意識も変えていきたいなと思っています。

永田:パパスマイルが抱えている課題意識とも、非常に近い話がたくさんあって面白かったです。本日はどうもありがとうございました。

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※大盛況のうちに幕を閉じたGo SOZO Tokyo 2019の様子については、後日パパスマイルの運営するメディアBaby Techにて、イベントレポートという形でお届けします!

(※2019/10/14 イベントレポートを追記しました!)




(書き手:パパスマイルBLOG編集長 藤本けんたろう)

最後まで読んでいただきありがとうございます! コーポレートサイト( https://www.papasmile.jp/ )と メディア『Baby Tech( https://babytech.jp/ )』も、ご興味ある方はぜひ覗いみてください!