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『If-then ルール』は運動パフォーマンスに効果なし!?

▼ 文献情報 と 抄録和訳

無酸素運動と有酸素運動のサイクリングテストにおける苦悩と戦略。テーラーメードの自己調整戦略に焦点をあてた混合研究法アプローチ

Hirsch A, Bieleke M, Bertschinger R, Schüler J, Wolff W. Struggles and strategies in anaerobic and aerobic cycling tests: A mixed-method approach with a focus on tailored self-regulation strategies. PLoS One. 2021 Oct 27;16(10):e0259088.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed(Full text), Google Scholar

[背景]
持久系スポーツは、運動者が対処しなければならない精神的要求が数多く存在する。しかし、運動特有の要求やその対処法に関する研究は不十分であり、運動要求やその対処法に関する知見にギャップがある。そこで、無酸素運動(Wingateテスト)と有酸素運動(incremental exerciseテスト)において、運動者がどのような障害を経験するか、また、これらの障害に対処するために有用と考えられる戦略を調査した(質的分析)。また、これらの障害や方略をif-then計画(=実施意図;「障害Oに遭遇したら方略Sを適用する!」)で考えることが、単にパフォーマンス目標を設定する(=目標意図;定量分析)よりもパフォーマンスを向上させるかどうかを検討した。N=59名(年齢:M=23.9±6.5歳)が、2-within(実験セッション:1対2)×2-between(条件:目標対実施意図)デザインで両テストを2回実施した。

[結果・結論]
セッション1では、構造化面接を用いて運動者の障害と戦略を評価し、主題分析を行った。両試験とも、労作感が最も頻繁に障害として語られた。また、両テストとも、うまくやるための動機づけ、自己啓発、身体とサイクリングへの集中が、頻繁に述べられた戦略であった。また、有酸素運動テストでは退屈が報告されるなど、テスト特有の障害もあった。セッション2では、セッション1で引き出された障害と戦略を用いて、if-thenプランを指定した。しかし、ベイズ型混合因子分散分析により、if-then計画は運動者のパフォーマンス向上に役立たなかったことが示唆された。これらの結果は、持久的な運動に伴う精神的な過程と、それがパフォーマンスにもたらす限界について、新たな光を投げかけるものである。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

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”習慣化の帝王”と呼ばれる『If-then ルール』。その適応性に注意が必要である。それと同時に『If-then ルール』を正しく理解することも大切だろう。

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