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「外集団均質化効果」の原因(私の卒論より#3)

外集団均質化効果(私の卒論より#2)続き

この外集団均質化効果が起こる理由として、

まず最も単純な説明は、内集団の成員はたくさん知っているので、その多様性に気づくが、外集団成員はあまり知らないために一様に見えてしまう、というものである。実際、具体的な事例をどれくらい知っているかによって、対象集団に関する認知の分化の程度に違いが生ずることが明らかにされている。

しかし、知識量について大きな差がないと思われる集団間でも、外集団均質化効果が見られることがある。(山本・外山,1998)

Park & Rothbart(1982)は、「男性・女性」を判断対象とした外集団均質化効果の実験を行っている。典型的に「男らしい」あるいは「女らしい」行動を記述した文章を多数被験者に与え、世の中の全男性のうち、何パーセントが「典型的(男性的)」行動を、また何パーセントが「非典型的(女性的)」行動をとると思うか判断させ、女性についても男性的・女性的行動がそれぞれ何パーセントずつ分布しているかを見積もらせた。その結果、男女ともに内集団から見るよりも外集団から見るときの方が、典型的事例はより数多く、非典型的事例は少なく見積もっており、外集団均質化効果が見られた。

いくら異性間で知らないことや誤解があるとはいえ、異性の行動が「みな同じ」に見える原因になるほど、熟知度が低いとは考えられない。

蓄えられている事例の数よりも、内集団・外集団に対する情報処理の様態の違いの方が重要である。

すなわち、外集団に対しては、情報を入力する段階で、はなから抽象的な集団レベルでの印象形成が行われているのに対し、内集団に関しては、より再分化した個別的な処理が行われているのである。

たとえば、私たち日本人が外国人について判断するときには、集団どうしを区別する「国籍」という情報が意味を持つが、日本人どうしについて考えるときには、上位カテゴリーである国籍は大した情報価を持たないため(お互い、みな日本人なのだから)、もう少し細かな下位集団レベルでのカテゴリー分けや、個々人の間の属性の違いに注意を払うであろう。(山本・外山,1998)

(「外集団均質化効果におけるバイアス盲点現象の検討」より)
続く

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