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バイアスは修正できるのか(私の卒論より#4)

「外集団均質化効果」の原因(私の卒論より#3)続き

外集団均質化効果という認知傾向は、否定的評価や感情と結びつくと偏見や差別にもつながる。そのため外集団均質化効果を緩和することができれば、ステレオタイプや偏見を解消するためにも有効であると考えられる。

外集団均質化効果が緩和されれば、外集団に属する人たちを「皆同じ」と思いやすい傾向が緩和され、自分が属する内集団だけでなく外集団に対しても多様性・複雑性があると認知しやすくなるだろう。そうなれば、外集団成員をイメージだけで判断して否定的な評価や感情に結びつけて、「黒人は――。」「女は――。」などといった偏見または差別につながることも減るのではないだろうか。

ステレオタイプや偏見は個人の心に存在するもので、私たちのもつ認知傾向や自己高揚傾向から生じたものである。私たちの心の中からステレオタイプや偏見を完全になくすことは難しくても、否定的内容を意識的に変容させたり、あるいはその活性化をコントロールすることは可能であると考えられる。

ステレオタイプ・偏見を低減させるのに効果的な接触状況として、お互いを必要とする状況をつくり、相手への関心を高めるような協同学習や協同作業があげられている。両者が平等な立場で協同活動をすることと、その活動を強く支持するような制度や体制が重要といえる。

しかし、一度作られたステレオタイプや偏見を変えたり消したりすることは、人間の心のしくみから考えると、とても難しい。

人は一度信念を抱くと、それを維持する情報処理が行われやすいため、状況によっては相手と接触することでステレオタイプが確認され、より偏見が強まってしまう場合もある。

Chen,Froehle & Morran(1997)は、認知バイアスを教育によって修正することが可能であるかどうかを調査することを目的に実験を行っている。

精神衛生カウンセラーが患者の抱える問題の原因を環境や状況ではなく、患者本人の性質のせいだと推論してしまう傾向があることを示し、このバイアスの修正が可能かどうかを検討するために、まず患者が自己の問題について報告しているビデオを見せ、参加者を帰属過程と自分自身の生活との関連や実際のカウンセリングでの応用について熟考する「帰属過程条件」と、もし自分がこの患者ならばどのように感じるか想像させ、討論させる「感情移入条件」と、今回のテーマとは無関係の概念に関して話し合わせる「統制群」に分けて実験を行った。

その結果、帰属過程についての教育を受ける、あるいは感情移入の訓練を行った参加者は、問題の原因を患者本人の性質ではなく、状況に帰属させる傾向が強く、統制群の参加者は患者本人の性質に原因を帰属させる傾向が強かった。このことから、教育によってバイアスを修正できる可能性が示された。

(「外集団均質化効果におけるバイアス盲点現象の検討」より)

以下、実験・考察など続きますが図などが上手く載せられないため、ここで終了します。
あとこのデータ最終版じゃない気がしてきた、、!

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