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ステレオタイプと偏見(私の卒論より#1)

序論

 「A型は几帳面だ」「関西人はおしゃべりだ」
私たちは他者がどんな人物か考える際、性別や人種、職業などのイメージから判断してしまう場合がある。このように、私たちがある集団に属する人々に対してもっている思い込みや固定化されたイメージのことをステレオタイプという。

このステレオタイプは、現実社会で生きていくためには非常に便利で必要なものである。

リップマンは、「われわれはたいていの場合、見てから定義しないで、定義してから見る。外界の、大きくて、盛んで、騒がしい混沌状態の中から、すでにわれわれの文化がわれわれのために定義してくれているものを拾い上げる。そしてこうして拾い上げたものを、われわれの文化によってステレオタイプ化されたかたちのままで知覚しがちである。」(リップマン 掛川訳,1987)と述べている。

情報過多で多様な現実社会とつきあうために、ステレオタイプを必要なものである。近代的な生活は多忙で多種多様な煩雑さをもっているため、人々が親しく知り合うだけの時間も機会もない。そこで私たちは、相手がどのような人かをすばやく判断する際の手がかりとしてステレオタイプを用いる。すべてのものを類型(タイプ)あるいは一般性としてとらえてしまえば、思考する努力を「節約」できるというわけである。(上瀬,2002)

私たちが営む社会生活には、このようなステレオタイプが溢れているのである。

しかし、「最近の若者は根性がない」「女は頭が悪い」というように、ステレオタイプに否定的な評価や感情を伴うと、このような偏見となってしまう。私たちの周りには、人種、性別、年齢、地域、職業、血液型などに関してさまざまなステレオタイプや偏見が存在するが、偏見はその集団に属する人たちに不愉快な思いをさせるだけでなく、エスカレートすれば、性差別や人種差別など深刻な社会問題にもつながってくる。

このステレオタイプや偏見を生じさせる原因の一つに、私たちの認知メカニズム自体にステレオタイプや偏見を形成しやすい特徴があると考えられる。
人間が生活していくときには、毎日さまざまな人に出会い、さまざまな経験をする。その中で私たちは、その一人一人がどのような人物で、自分にとってどのような意味があり、どのように対応すればよいのかをそのつど、すばやく判断している
そしてこの処理過程の中にこそ、ステレオタイプが生じる原因があるとこの理論は考えている。(上瀬,2002)

(「外集団均質化効果におけるバイアス盲点現象の検討」より)
外集団均質化効果(私の卒論より#2)続く

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