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【無料公開中】筋膜と自重トレーニングについて

こんばんは。理学療法士×メンタルトレーナー の平山です。
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今回は筋膜と自重トレーニングということで、先日参加したセミナーの内容を簡単にまとめてお伝えできればと思います。
少し運動に苦手意識がある方もぜひ、読んでみてください!


【自重トレーニング】
自重トレーニングとは自分の体重を利用して行うトレーニングです。トレーニングや筋トレというとダンベルやベンチプレスの様なイメージが強いと思います。しかし、それらの道具を使わなくても自分の体重を利用したトレーニングで十分です。もちろん、筋肉を肥大させたいなどの目的があれば道具を利用しても良いでしょう。しかし、自分の健康のため道具がない環境下でトレーニングを行わないといけない時には十分に効果を発揮します。 

【動きのスフィアを拡大する】
スフィアとは「球体」という意味です。我々の体は、前後左右、水平面上など様々な方向に動かすことが出来ます。しかし、生活の習慣や運動の習慣など普段の体を使うパターンが決まっている場合は体を動かしていない方向や動かし方に一定の癖が現れます。決まったパターンのみの運動は慢性的に組織にストレスがかかり痛みや姿勢の歪みの原因になってきます。なので、動くことのできる範囲を球体上に広げていきましょう。


【人間の身体のネットワーク】
人間の体について専門家はいうまでもなく、一般の方も最近は様々なメディアや雑誌で情報を得ることができるため一定の知識はあるでしょう。我々人間の体は「筋・筋膜系」「神経系」「循環器系」で構成されています。神経は命令を出し、神経や筋肉に栄養を送る血管があり、体を動かすために筋肉が働きます。
解剖の教科書にはそれぞれ別々に描かれていますが、実際は別々に分ける方が難しいほど人間の身体は複雑に出来ています。重要なのはこれらの組織を別々に働かせることではなく、全てのシステムがオーケストラのように働くことが大事になってきます。


【最近はやりの筋膜とは?】
筋膜とは全身を包んでいる膜なのですが、国際筋膜学会でも明確な定義はない状態です。実際に人体解剖に参加して、筋膜を見ましたが…筋膜は書籍に載っているように綺麗に筋肉を分け隔てているものではありません。もちろん分けているものもありますが、どちらかというと「深筋膜」「浅筋膜」と分けるよりは「結合組織」とい位置付けで考える方が理解しやすいと思います。

結合組織の構成要素とは「水分」「繊維」「基質」があります。
水分の中に”のり”の役割をしている「基質」が存在します。
しかし、のりだけではすぐに剥がれてしまうので、のりの中に”繊維”があります。その繊維が「コラーゲン/エラスチン」と呼ばれる繊維です。
エラスチンはゴムのように1.5倍は伸びると言われており、コラーゲンはエラスチンのように伸びず、形状を守るための繊維と言われております。
基質の成分は「プロテオグリカン/グリコサミノグリカン/ヒアルロン酸」で、基質や繊維を作る細胞が「線維芽細胞/筋繊維芽細胞」と言われる細胞です。
浅筋膜は疎性(ゆるい)で動きがあり、深筋膜は動き少なく形状を保つようなイメージを持っていただければいいかと思います。

ここでコラーゲン繊維について。コラーゲン繊維は普通クリンプ(波打って)しています。しかし、運動しなくなるとクリンプがなくなってきます。ようは弾力性が失われていきます。そうすると怪我しやすくなります。組織の強さというのはクリンプの有無が関わってきます。では、どうしたらクリンプができるのか。それは「運動」することです。運動するとコラーゲンのクリンプが強くなることは研究でも証明されています。スーパーで玉ねぎが入っているようなネットがありますよね??あんなイメージです。あの状態が良い状態。クリンプがあって引っ張るとビヨーンって伸びますよね? しかし、運動不足(ラットの研究では2週間の不動)でコラーゲン繊維が不規則に配列されるようになっています。

コラーゲンの繊維はストレスのラインに沿って構築されます。ですので、スフィアを意識して様々な方向へストレスをかけていくことがコラーゲン繊維を含む筋膜の強化には必要になってきます。


【動きの多様性】
ここで一つ興味深い研究をご紹介します。一般の方と慢性腰痛がある方である一定の作業をしてもらいました。すると動きは同じなのに一般の方は毎回筋肉が発火する場所が異なります。一方、慢性腰痛の方は毎回同じ場所の筋肉が同じパターンで発火していました。これはストレスが同じ場所に加わり続けることを意味しております。

【Resiliency / レジリアンシー とは】
あまり聞きなれない用語だと思います。
レジリアンシーとは「回復力/立ち直り力/弾性」という意味があります。イメージ的には「タフ」というイメージも当てはまります。これは身体にも精神にも何かダメージを受けた時にさらに強くなってバウンスバックできることです。
先ほどからご説明させていただいた「自重トレーニング」や「筋膜」ですが、本当の目的は自重トレーニングにて筋膜を刺激してレジリアンシーを高めることです。
端的にいうと、自重トレーニングはレジリアンシーを高めるトレーニングということが出来ます。

「動きのスフィアを拡大する」の部分でもご説明させていただきましたが、一定のパターンでの運動は軟部組織にストレスがかかります。負荷やストレスは組織が適合して強化するためには必要不可欠なものですが、その負荷やストレスが組織の耐性を超えた場合に組織は統合性を失う=怪我します。

様々なタイプの活動や運動に対して対応できる軟部組織の回復力=レジリアンシーを実現することが重要になります。

【Graded Exposure / 段階的露出】
という考え方があります。簡単にいうと、少しずつ成功体験を積み重ねていこうよ!ってこと。いきなり、ステップを踏まずに高強度の運動すること怪我します。なので、段階的に運動を進めて成功体験を積み重ねていくことが楽しさに繋がるよって。

【段階的な強化 / ローカルからグローバルへ】
運動を進めていく上でのポイントをいくつか紹介したいと思います。

・組織に可動性を取り戻す
動かしていない部分を動かしたい。鍛えたい。という時には、急に動きを取り入れると組織が傷ついてしまうから受動的でもいいからまずは刺激を入れましょう。例えば、マッサージするとか摩るとか、なんでもいいから刺激を入れます。

・アイソメトリックな筋活動
いよいよ動かすときにまずは、アイソメトリック(等尺性:筋肉の長さを変えないで力を入れる)で筋収縮を入れることから練習しましょう。これは筋肉の繊維の滑走性が生じないため筋繊維を痛め難いと言われています。
いきなり、ダイナミックに動くと怪我の元です。


以上が自重トレーニングを行なっていく上での大事なことです。
上記の内容を意識して、気をつけて体を動かしていきましょう。
今回はいくつか紹介したいと思います。


【呼吸のワーク】

これは呼吸を利用して「腹腔内圧」を高めるワークです。
腹腔内圧がしっかりと働くことで全身の筋肉の状態が良くなるので可動域も広がってきます。体幹を安定させるためには筋トレも大事かもしれませんが、まずは内圧を高めることが大事です。吸気の際は肋骨を横に膨らませるように意識することも大事なポイントです。


【ブリッジ】


【クローリング】

この四つん這いってのは凄い様々な刺激を入れることができます。
四つん這いで
・膝を浮かす→支持点が6から4点へ:結構きつい
・片手を挙げる:体が捻じれないように支える必要がある
・ハイハイする:体のバランス(捻じれない、背骨を真っ直ぐ)

【まとめ】
・自重トレーニングはレジリアンシーを高める
・運動の刺激は様々な方向へかける:スフィアを意識する
・様々な方向への刺激は結合組織を強くする
・運動は段階的に進めていく

ということです。運動に苦手意識がある方はぜひ、この自重トレーニングから行ってみてはいかがでしょうか??
やってみると意外と楽しいですよ!

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