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Dear:遥か彼方の星たち

もうすぐ、明日になる。
私がこの時間にしっかりと目を覚ましていることは珍しい。
テスト期間だけは、珈琲を摂取して日を越す。
そして、ふと、集中力が切れたとき、なんとも表現できない感情になる。
私にとっての、マジックアワーなんだと思う。
悲しいことがあったわけでもないのに涙が止まらなくなる。
音楽を聴くとさらに、その感情が加速するのだ。
このとき、聴くのは普段のプレイリストではなく、YouTubeで検索した「かつての記憶」が押し込められた曲であることが多い。音楽って遥か彼方の記憶をすぐそこまで運んできてしまうからこの「マジックアワー」でないと聴けない。

※※※

今、感じている「なんとも表現できない感情」は小学生の頃から感じている。(昔とは、少しずつ変化しているような気もするけれど。)



小学生だった頃の、どうしても眠れなかった毎週日曜日の夜の話をしようと思う。
その夜は隣で寝ている妹を起こさないように、寝室の窓から外を眺めていた。


「もし、明日地球が壊れたら私はどうなるのかな」
「ひいおじいちゃんは星になったのかな」
「私が星になったら、どのくらい明るいのかな」
「来世ってあるのかな」
「いつか、この世界が星だらけになってしまうのかな」
「明日って本当に来るのかな」
「明日は勝手に来るのに、どうして1分前に戻れないのかな」
「私がこの世から消えたら私が持っている記憶はどこにいくのかな」
「私がこの世から消えたら初めからいなかったことになるのかな」


これらの類の疑問は一切口にはしなかったけれど、
そんなことばかり考えていた。
すーっと意識が吸い込まれて飛んでいってしまいそうだった。
目を瞑ると幽体離脱したみたいに天井から私を見下ろしている気がした。
そして、頭の中では黒と白の渦がぐるぐると回っているイメージが浮かび上がっていた。まるで座薬を入れられたときのような感覚で、私はその感覚がとても怖かった。(あれから、何年も経った今でも稀にその感覚が降ってくることがある。)

そんな夜は、羊を数えることで過ごした。(当時から今までずっと、眠れない夜に羊を100匹数える癖がある。ちなみに100匹まで到達すると1匹に戻る。)

※※※

気分転換に外に出てみる。

冬は空気が澄んでいて、星がとても綺麗だ。

私の家から見上げる星空に、名前はないけれど、私はこの星空がこの世で一番好きだ。

もちろん、北欧やその他、様々な場所に素敵な星空があること、知っているけれど、
幾つもの眠れない夜を救ってくれた星空。
数えきれないくらい見上げてきた星空。
何度も希望を与えてくれた星空。
時間を忘れさせてくれる星空。

本当に、言い表せないくらい、綺麗なんだ。
私にとって、特別な星空だ。


そして、何光年もかけて星たちの持つ光が私たちの目に届いているという「事実」が心をすっと透き通らせる。



※※※



今、目の前にあるのは、私が決めた道。

今生きているのは、私だけの人生。

今生きているのは、あなただけの人生。

たくさんの一瞬が積み重なって「今」がある。

私が歩いてきた道のすべては、私しか見たことがないのだから、私しか知らない。

あなたが歩いてきた道のすべては、あなたしか見たことがないのだから、あなたしか知らない。


私だけの人生をぎゅっと。

あなただけの人生をそっと。




※※※




Dear: 遥か彼方の星たち

精一杯の、ありがとう。

眠れない夜に From: -1




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