見出し画像

その音は涼を感じさせていたはずなのに

風鈴。それは夏の訪れを感じさせるもの。そして汗ばむ季節に音で涼を運ぶもの。夏、各々の家のベランダに飾られる風鈴が好きだった。ちりん、ちりん、と風と共に音を鳴らすその鈴に、心惹かれていた。

昔、風鈴を毎夏飾る家が近くにあった。微かに我が家まで音が聞こえる。ああ、良い音だ。そう幼いながら思っていた。


しかし、だ。そうは思わない人もいる。
あの風鈴、良いねえ。と声をかけると、え?うるさいじゃない。と一蹴されてしまった。会話が終わる。本当は、うちにも飾ろうよ、と続けるつもりだったけれど、とてもじゃないが言えなかった。

感じ方はそれぞれだ。子どもの遊ぶ声が微笑ましいと思う人もいれば、騒音だと感じる人もいる。感じ方をああだこうだ言うつもりはないけれど、少しだけ悲しくなる。


風鈴祭りとやらがこの国にはあるようだ。
自分の好きな音色がたくさん聞こえるその祭り、一度は行ってみたいと思う。そして気に入った風鈴があれば購入することもできるのだとか。良いなあ。
いつか、いつか一人暮らしをするときは、夏の間飾っておきたいと思う。

いつもたくさんありがとうございますっ!