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夢の続きは目を閉じてから

小説、漫画、アニメ、映画、ゲーム…どれも現実から少し自分を遠ざけてくれる、大切な存在。確かに現実のように目には映るのに、それは実体のない不思議な存在たち。生きにくい世の中を確実に豊かにしてくれる、大切なものだけれど、私は今までなるだけ遠ざけてきた。


私はどっぷりとのめり込むタイプで、一度ハマってしまうとその世界観から抜け出すのが難しい。目を閉じればいつでもそこに世界が広がっているような感覚になるし、夜はなかなか眠れなくなる。最後には夢にまで出てきてしまうのはよくあることだ。
1番ひどかったと記憶しているのは、中学生時代にどハマりしたあさのあつこの「バッテリー」。野球のルールなんて全くわからなかったし、今もよく分かっていないけれど、この小説は私の心臓を貫いた作品だ。何がそんなに好きだったのかは実際のところ、言葉にするのは難しいが、語彙力が無いのを覚悟で言うと「全て」が好きだった。1人1人の登場人物の個性、岡山県という世界観、スポーツを通じての青春、家族のあり方。もしかすると、その当時自分が置かれていた生活・学校・友人などの環境と正反対だったから、余計にキラキラとして見えて憧れたのかもしれないが、とにかく「好き!!!」だった。
好きすぎて胸がいつもいっぱいでご飯が食べられないし寝れないし、夏休みの学校行事での旅行でもその当時出ていた巻は全て持っていって枕元に置いていたし、小説が終わってしまうのが怖くて最終巻が読めなかった程だ。そして今でも読んでいないままなのだが、あの当時は多分狂愛していたと思う。紛れもない変態だった。


こうして1つの世界観にどっぷり浸かってしまうのは、今でも変わらないままで、完全な現実逃避ができてしまう。それはストレス解消にもなって良いことなのだが、ここまでくると、現実に戻ってきたときのショックが大きすぎて、立ち直れなくなってしまう。心が現実に追いつかなくなる。
そのため、社会人になってからは世界観があまりにも作り込まれている作品について、例えばゲームであればファイナルファンタジーやキングダムハーツなどは、自発的には触れないできていた。


しかし時間的余裕ができている今、少しずつ敬遠してきた作品たちに向き合おうとしている。今までは現実世界というよりも仕事に重きを置いて生活してきたため、作品に傾倒するのが怖くなったが、今はそこまで気にせずとも問題ない。少しずつ触れるうちに、限りある人生の中で自分から出会いの選択肢を消すのは、少しもったいないような気がした。そこまで自分が愛せる作品に出会えるというのは、本当は素敵なことなはずだから。

最近は今まで読んでこなかった、恋愛小説を読もうと色々選んでいるところだ。
これからもし素敵な出会いがあったら、ここで共有できたらと思っている。
さて、今日はどんな夢の旅に出かけよう。

いつもたくさんありがとうございますっ!