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読書 | 戦国日本と大航海時代

はじめに

 現在、東アジアの緊張が高まっている、とよく言われる。現状の世界情勢について考えるために、少し歴史を遡って考えてみよう。


 何年か前に読んだ本だが、平川新「戦国日本と大航海時代」(中公新書)が興味深かった。詳細は実際に手にとって読んでいただくとして、この記事では、戦国時代の「外交」(主に豊臣秀吉による外交)に関する、この本の著者の主張をまとめてみたい。


(1) 戦国時代における「外交」

年表で、戦国時代の日本外交関連の出来事をざっとおさらいしておこう(読み流す程度で大丈夫です😄)。

1492
(覚え方 「意欲に」燃えるコロンブス)

コロンブスがバハマ諸島に到達する。

1494
トルデシリャス条約締結

ポルトガルとスペイン両国による世界領土分割の確認

1498
(覚え方) 「意欲は」すごいよ、ガマさんは😊

ヴァスコ・ダ・ガマ、喜望峰到達。そしてインドに到達。

1510
ポルトガル、インドのゴアを占領。
1511
ポルトガル、マレー半島のマラッカを占領。
1520
マゼラン、マゼラン海峡の発見。
1521
マゼラン艦隊がセブ島に到達。

1529
サラゴサ条約締結。ポルトガルとスペインが、アジアでの領有権を確認する。

1543 鉄砲伝来。
(覚え方 「以後の世、み」んな戦術変わる)

種子島に漂着したポルトガル人が鉄砲🔫を伝える。

1549 キリスト教(カトリック)伝来。
(覚え方 「以後よく」広まるキリスト教)

イエズス会ザビエルが鹿児島に上陸。

1550
平戸にポルトガル船入港。
1557
ポルトガル、マカオに拠点をおく。
1565
この頃、スペインによるフィリピン諸島の侵略がはじまる。
1568
オランダがスペインからの独立戦争をはじめる(~1648😱。長いね((゚□゚;)))
1571
スペイン人がマニラを占領する。
1580
ポルトガルがスペインに併合される。

1582年2月
天正遣欧使節が長崎を出発する。

1582
本能寺の変
(覚え方 信長の「イチゴ🍓パンツ」に怒る光秀)

織田信長が「本能寺の変」により、明智光秀に討たれる。

1585/2月
天正遣欧使節がローマ教皇グレゴリウス13世に謁見する。

1587
豊臣秀吉が「バテレン追放令」を発布する。

1590
天正遣欧使節が長崎に帰着する。
1591
天正遣欧使節が豊臣秀吉に謁見する。

1592
文禄の役。

豊臣秀吉、朝鮮出兵を命じ、第一軍釜山上陸。

1596
スペイン船、サン・フェリペ号が土佐国浦戸浜に漂着し、サン・フェリペ号事件が起こる。

1597
長崎でキリスト教徒26人が磔刑に処せられる。

1597
慶長の役

豊臣秀吉、朝鮮に再出兵を命じる。


(2) 大まかに言うと

 大まかに言うと、日本の「戦国時代」と、ヨーロッパ諸国による「大航海時代」は重なっている。まず、この事を頭においておこう。

 2度の「朝鮮出兵」は、天下を統一した織田信長、それに続いた豊臣秀吉による領土拡張の「野心」が招いたもの、というように私は学生時代に教わった。
 しかし、日本国内あるいは東アジアという視点ではなく、世界史的な観点から「朝鮮出兵」について考えると、新たな論点が浮き彫りになる。

 戦国時代というと、さまざまな戦国武将を思い浮かべる人も多いと思うが、ヨーロッパ列強による世界進出の現状を宣教師らから耳にしていた織田信長や豊臣秀吉は、大きな恐怖感をいだいたに違いない。
 日本国内あるいは近隣諸国だけを見ると、朝鮮出兵など、かなり無謀なことに思える。
 しかし、ヨーロッパ列強による世界進出まで視野を広げると、戦国時代の位置付けも変わる。

 戦国の群雄割拠とは、日本列島全体が戦時体制であり、軍拡競争をやっていたということである。
 織田信長・豊臣秀吉・徳川家康によって、天下統一がなされた意義は、国家意思が一元化されたことである。
 この観点から「朝鮮出兵」を見る。2度の朝鮮出兵における総計30万人の動員態勢は、世界に対して、日本が世界屈指の軍事大国である姿を見せつけた出来事だった。

 日本が欧米列強がいる中で、独立を保ち続けることができたのは、地政学的な面もあるだろうが、朝鮮出兵による衝撃が大きかったからかもしれない。

(3) 結び

 私の世代では、(東大を目指した人はさておき)文系でも日本史と世界史を両方とも高校ですべて学んだ人は少ない。
 好きな戦国武将の蘊蓄を蓄えるのもよいが、世界史的な観点を忘れると、国内で起こった出来事の意義を十分に理解することはできないのではなかろうか?
 今回の記事では取り上げられなかったが、世界史的な観点から見ると、伊達政宗、支倉常長という人物の評価もおそらく変わることだろう。


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