プレゼンテーション2

映画『マンマ・ミーア!』の続編にむせび泣いた。大好きだ。

もしあなたが、10年ほど前にほぼリアルタイムで映画『マンマ・ミーア!』を観たことがあって、それを好きだった記憶があるなら、あなたは、絶対に今上映中の続編『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』を見に行かなければならない。絶対にだ。

このnoteが開かれなくても、それだけは伝えたいので冒頭に書いた。

あなたが上記に該当するなら、別にこのnoteなんて読まなくてもいいから、いますぐチケットを買って劇場に行くべきだ。以上。

* * *

最重要連絡は終わったので、あとはもう好きなようにだらだらと書く。

そもそも事の発端は、noteでツナ缶食べたいさんのレビューを読んだことだ。最近のわたしは育児と仕事で映画とは縁遠くなっていて、上映されている映画なんてまったく知らなかったのだけれど、このレビュー記事のおかげで『マンマ・ミーア!』の続編が上映されていることを知った。

ツナ缶食べたいさん、それをピックアップしてくださったnoteの運営さん、本当にありがとう。

ちなみにこのレビュー記事はとてもよくまとめられていて、感情移入をしすぎることもなく、冷静な視点で解説をしているすばらしい記事だと思うので、全体像をつかみたい方はこちらを読むことをおすすめする。

このように、客観的な解説記事としてはもうすばらしいものがあるので、これからのわたしの文章では、ひたすら感情に任せて、主観的に、暑苦しく、いかに感動する映画なのかを綴っていきたい。もう一度言おう。主観である。くれぐれもご留意を。

とにかく、そのツナ缶食べたいさんの記事を読んで、わたしは思った。「ええ!『マンマ・ミーア!』に、今になって続編が!それは見たいなあ」

この時点でもかなり見たいとは思っていたものの、同時に脳内では「行ければいいけど、そんな暇ないよなあ」という思いもセットで浮かんでいた。

映画を見終わった今から振り返れば、いや君ね、何を言っているんだ今すぐ画面を開いてチケットを買いたまえ、そしてその時間を仕事のアポなみに強固にスケジュール確保して、早く観に行け!と言いたい。それくらい、すばらしい映画だった。

* * *

実際は、すぐに映画を見にいったわけではなく、気になりながらもしばらく放置していた。

ある日のこと、予定がちょっと前倒しに進んで時間に余裕ができて、決めた。よし、『マンマ・ミーア!』の続編、見に行こう!と。このとき決意した自分を褒めたい。このタイミングを逃したら、劇場では観ていなかったかもしれない。自分グッジョブ。

勢いでチケットを買い、劇場へと足を踏み入れた。

というか、ひとりで映画館へ来たのがひさしぶりすぎて、まずそのことですでに感動してしまっていた。ひとりで映画に来ると思いだしてしまうのは、独身時代の自分の記憶たち。海外にいたときや関東でひとり暮らしをしていたとき、徒歩圏に映画館があったこともあり、よくひとりでふらっと、映画を見に行っていた。長くなるのでそれはまた別のnoteにでも書こう。

その後結婚して引っ越して、こどもも生まれて、自分の生活のすべてが、それはもう住む場所も仕事関係も立場もライフスタイルも、ほんとうにすべてががらりと変わってしまったいまの自分にとって、「ひとりで映画館にすわって、過去の自分を感じること」はとても心に沁みる体験だった。

“思えば遠くへ来たもんだ”。そんな感じで、もうすでに最初のCM上映中からちょっとセンチメンタルな気分になっていた。それは素直に認めよう。

* * *

本編がはじまって、数分後。

なぜかわたしは号泣していた。

ちょっと待って。こんな状態、自分すらまったく予期していなかった。

なのに、若かりしころの「あの3人組」が、息ぴったりの歌とパフォーマンスをみせはじめた瞬間、なんだか自分でも期せずして、いきなりぐっ、ときてしまい、涙があふれでた。

うわあ。なんでこんなしょっぱなからわたし泣いているんだろう。自分でもそう思いながら、とめどなく涙があふれ続ける。

たぶん理由は一個じゃない。まずは単純に、作品内の映画の音楽とダンス、演出のすばらしさ。そして、そのすばらしさに、約10年前に前作を観たときの記憶が一気に蘇ったこと。さらに、約10年前という前作上映時から、映画の中でも、自分の中でも、年月が経っていることを実感したこと。

そんないろいろな気持ちが複雑に入り混じって、なんだかわからないがわたしはひとりで泣いていた。

それはミュージカル映画の序盤にふさわしい、底抜けに明るいシーンで、おそらく他のひとは誰ひとり泣いていなかったと思う。

泣くシーンじゃないのに、なんで泣けるんだ、おかしい、おかしいと思いながら、唇をかみしめて、拭うこともせずにただ涙を流し続けていた。

* * *

詳細なストーリーには触れない。

ただわたしが終始感動していたのは、「時の流れ」というポイントだったのだと思う。

映画のなかで、ちゃんと、時が経っていた。

約10年前のキャストは、約10年分、ちゃんと年をとっていた。映画の登場人物それぞれが、スクリーンの向こうで、いろいろな出来事を乗り越えながら、時を重ねてきたように思えた。私たちと同じように。

そのリアルさが、とても胸に刺さった。永遠に年をとらないサザエさんやドラえもんも大好きだけれど、『マンマ・ミーア!』には自分と同じ、リアルタイムの人生が流れているように感じたのだ。

冒頭の文で、「もしあなたが、10年ほど前にほぼリアルタイムで」とわざわざ書いたのも、その所以。だれにとってもすばらしい映画だとは思うけれど、わたしが感じたポイントでの「感動」は、おそらく前作をほぼリアルタイムで観た人の一部だけに、共感してもらえるような気がしている。

続編を観ていると、どうしても前作のことを思い出すし、その前作を観ていた、約10年前の自分のことも思い出す。働いていた会社、置かれていた状況。一緒に観に行った仕事仲間。当時20代前半だったわたしの感想は、切なさのかけらもなく、「楽しかった!元気が出た!」という感じだったなあ。

あれから10年近く経ったんだ。

そんな感傷と、当時も観た鮮やかなパフォーマンス、音楽、ダンスのすべてが、また目の前で繰り広げられているということに、「なんだか信じられない」という気持ちになる。昨日のことのようにも思えるけれど、約10年。

加えて、映画の中で「親子」や「出産」などがたいせつなテーマであったことも、1歳児育児中の自分にはとても大きかったと思う。前作から本作までの間のライフステージの変化が、映画でも、自分でも起こっていることで、よりリアルに「時の流れ」を思い、また前作のときには考えられなかった「親の思い」が押し寄せてきてしまった。

わたしの感動ポイントがそんな感じだったので、結局、序盤も、中盤も、もちろん「映画のストーリー的に泣けるシーン」である終盤も、すばらしい音楽とダンスパフォーマンスに合わせて結局ほとんど泣いていた。

マスカラはぜんぶ落ちて、泣きはらしたこどもみたいにまぶたが腫れた。

* * *

ところでどうでもいいけれど、この映画をひとりで見に来てほんとうによかったと思った。理由は単純、思う存分泣けたからだ。

たぶん、前作を観ていない人と来ていたら、あきらかに温度差があっただろう。たとえば前作を観ていない夫と来ていたら、夫が途中で寝始めたことにいらいらしたりして、画面に集中できなかったかもしれない。だからひとりで見に来て、完全にその世界にひたることができてほんとうによかった。

というのも、実際、わたしの左隣の男性は軽いいびきをかいて寝ていたのだ。別にそのことについては何も思わない。感じ方なんてひとそれぞれだし、「ミュージカルの突然歌い出すのがちょっと苦手」というひとはわたしの友だちにもいるし、「このすばらしさがわからないなんてけしからん!」とはならない。

ただ、他人では気にならないけれど、自分の夫や友人と来ていたら、やっぱり少なからず、ちょっとした共感を求めてしまうだろう。そんななかでいびきをかいて眠られてしまったら、まあいいけどさ、と言いつつもやっぱりちょっと悲しくなる。だからひとりできて、好きなだけ没頭できてよかった。

あなたがもし、前作の『マンマ・ミーア!』をほぼリアルタイムで観て、かつ好きだと感じたタイプならば、たぶんわたしと近い感覚の持ち主だろう。なのであなたには、ひとりで劇場へ行くか、もしくは当時一緒に前作の『マンマ・ミーア!』を観に行った友だちと一緒に行くことをおすすめしたい。どうかスクリーンの世界に浸ってほしい。

* * *

くどいけれど、大事なことなので、最後にもう一度言う。

もしあなたが、10年ほど前にほぼリアルタイムで映画『マンマ・ミーア!』を観たことがあって、それを好きだった記憶があるなら、あなたは、絶対に今上映中の続編『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』を見に行かなければならない。絶対にだ。

もう、このnoteをここまで読んでくれた方の中に、該当するひとはいないことを願っている。もしいるなら、今すぐこのnoteを閉じて、チケット予約をしてほしい。

もし前作を観ていないという方で、このnoteを読んでちょっと興味を持ったという方がいたなら、今からでも遅くはないからぜひ前作を観てから、劇場へ行ってほしい。ミュージカル映画は大スクリーンで見ると、音楽のライブや、演劇の舞台のような温度感がある。なじみのない方も、経験として単純に、新鮮で面白いと思う。

上映後、まわりのお客さんたちも「もう1回見たい!」とか「マンマ・ミーアやばいわ」とか言っていたから、たぶんわたしの主観によるちょっとズレた感動ポイントに限らず、映画力だけでも十分、感動できる映画なんだと思うよ。たぶんね。

以上!


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