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ノアの本棚

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拙作「ナナシノ魔物退治屋」の世界観をより深く知ることができるちょっとした読み物やフレーバーテキスト集です。
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【設定資料目次】ノアの本棚

【設定資料目次】ノアの本棚

 ナナシノ魔物退治屋拠点内、ノアの部屋にある本棚。
 壁一面を埋め尽くすそれは、ノアの持つ本や書類を全て収納している。しかし、収まりきらずはみ出ている書物もあるようだ。
 部屋の主は、ノックをしてきた相手を快く迎えてくれる。間違っても、無意味に拒絶することはないはずだ。
 何かの暇つぶしにも、調査にも、うってつけの環境である……。

 本棚の近くにはリストがあった。
 部屋の主には必要ないものでは

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【設定資料】アルシュの地区平定

【設定資料】アルシュの地区平定

(本の帯に「何故、蒼鷹は一人で 地区を平定できたのか」という煽り文が書いてある)

 当時の商業都市アルシュの地区は、治安が不安定なりに安定しているという奇妙なパワーバランスを保っていた。ところどころに争いの跡はあれど、足を踏んだだの肩をぶつけただので暗殺依頼が飛び交う数十年前のようなことは発生していなかった。
 魔術師が暗殺業という職を地区に持ち込み、ルーツのコミュニティの中で暗殺関連の産業が成

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【設定資料】神秘の精霊族

【設定資料】神秘の精霊族

神秘の精霊族

 精霊族は日輪島の西側に住む種族であり、姿かたちは基本的に人間に近しいが本質的には生き物ではない「何か」である。万物の根源である彼らは独特の魔力を持つ。我々人間は、精霊と契約することでその力を分け与えてもらうことができる。
 だが、魔術師として上を目指す目的で精霊族と契約を結ぶ場合、やたらめったらに適当な契約をしては痛い目に合う。ここでは精霊族がどのような存在であるのか解説したのち

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【設定資料】古い資料:アンヒューム狩り

【設定資料】古い資料:アンヒューム狩り

(五年ほど前のテロス新報の記事だ)

 アンヒューム狩りの魔術師死亡

 昨日未明、商業都市アルシュの地区で、魔術師の○○さん(42)が胸を撃ち抜かれて死亡しているのが見つかった。
 傍には巨大な麻袋が置いてあり、中からは地区の住人が三人救出された。三人にケガはなく、全員が「アンヒューム狩りの被害に遭った」「もしも(○○さんが)殺されていなければ、我々が死体になっていたことだろう」と語っている。

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【設定資料】賢者の剣-奇才が遺した魔道具-

【設定資料】賢者の剣-奇才が遺した魔道具-

(ノアの本棚に「賢者の剣-奇才が遺した魔道具-」という本がある。賢者の剣の存在自体がファンタジーであるが、この書籍では大真面目な解説がなされているようだ。装丁も随分と重く、お堅い本だと分かる)

はじめに

 魔術を発動させる際には媒介となる魔道具があると便利、というのは今更語るまでもない。この魔道具は戦士なら武器の形を、料理人なら調理道具の形を――と、魔術を何に扱うかによって道具の種類は変わる。

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【設定資料】魔女と神と信仰

【設定資料】魔女と神と信仰

 ここでは三大宗教に関しての解説をしていく。
 まず三大宗教とは

 ・旧ヒュラス教
 ・新ヒュラス教
 ・邪神正教

 の三種であるが、邪神聖教ではなく「精霊神道」を置く派閥もある。

 さて、三大宗教を理解するためには、原初の魔女の物語を知らないと話にならない。なぜなら三大宗教はすべてこの物語を軸にして派生した宗教であるからだ。
 原初の魔女の伝説についてはご存知の通りかと思われるが、軽く解説

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【設定資料】リョセ村の魔物退治依頼 依頼報告書

【設定資料】リョセ村の魔物退治依頼 依頼報告書

こちらの小説のオマケです。

(ものすごく急いで書いたのだと分かる筆跡である。誤字脱字や文の構成にも難があり、時々辛辣な文言が見える)

依頼報告書
依頼番号:852-AN-28543
分類:魔物退治
ランクC
進捗:完了・経過要観察→完了

報告記述書(足りない場合は専用の用紙に追加して記述)

 商業都市アルシュの北方に位置するリョセ村からのゴブリン退治依頼だ。
 リョセ村は昔から良質な薬草が

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【設定資料】素人にもできる魔物対策

【設定資料】素人にもできる魔物対策

(ノアの本棚から「素人にもできる魔物対策」という本がはみ出ている)

 あなたの住まいの近隣に、魔物が住み着いたとしよう。さて、あなたはどうするだろうか。騎士団に依頼するほどではなく、ギルドや傭兵団に依頼するには予算がつらい。
 魔物は確かに危険なものであるが、種別によっては素人にも対策ができる。そもそも住み着かないようにすることもできる。ここではそのためのノウハウをご紹介したい。
 尚、自力で魔

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【設定資料】あんしん!かんたん!ギルド活用

【設定資料】あんしん!かんたん!ギルド活用

(ノアの本棚で、薄い冊子が少しはみ出ている。どうやらギルド利用者に対するパンフレットのようだ)

【ギルドって何?】
 ギルドとは、魔物退治や要人警護、各種イベント会場の警備等を請け負う人材の紹介組織です。
 元々は「魔物退治屋ギルド」として魔物退治を主に扱っていましたが、仕事の幅が広がっていった結果、「魔物退治屋」の部分が取れて「ギルド」という名称になりました。

【ギルドはここがアンシン!】

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【設定資料】ラモトーネ魔術学校卒業生インタビュー

【設定資料】ラモトーネ魔術学校卒業生インタビュー

ラモトーネ魔術学校 卒業生インタビュー
エンジ・クラーシス(首席)

 ――最初に、軽く自己紹介をお願いします。

 エンジ「エンジ・クラーシスです。今は魔道具製作の会社に就職して、職人として働いています」

 ――ラモトーネ魔術学校を受験しようと思った切っ掛けを教えてください。

 エンジ「魔術の勉強がしたかったんです。僕はルーツなので、公立の魔術学校よりもルーツに理解のある私設学校の方がよりよ

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【設定資料】デラングード採石場の魔物退治 依頼報告書

【設定資料】デラングード採石場の魔物退治 依頼報告書

  こちらの小説のオマケです。

依頼報告書
依頼番号:798-AN-01025
分類:魔物退治
ランクD
(「緊急」というハンコが押されている)
進捗:完了・経過要観察

報告記述書(足りない場合は専用の用紙に追加して記述)

 デラングード採石場は周辺を森に囲まれた巨大な採石場である。近場の集落の人々はここで採取した良質な石材を外部に売って生活をしている。周辺には森が広がり、鹿や猪等の野生動物

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【設定資料】稀代の賢者伝説

【設定資料】稀代の賢者伝説

(ノアの本棚の中で一際目を引くのは、間違いなくこの「稀代の賢者伝説」という本だろう。表紙を開くと本の帯が貼り付けられていて、そこには「わりとよくまとまってると思う!」とカルロス・ヴィダル本人のコメントが書かれていた。
 中身は、どうやらカルロスが今までにしでかした奇行や、放った迷言をおもしろおかしくまとめたものらしい)

・学生時代、学校の授業に飽きてしまい、授業を抜け出して魔術協会の図書館で勉強

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【設定資料】ルーツと魔術師と暗殺者

【設定資料】ルーツと魔術師と暗殺者

 

(アンヒューム歴史文化学の第一人者、セジュール・クールが執筆した代表的な書物である。堅苦しい文章はとっつきにくさがあるが、飛ばしながら読んでも要綱をつかむのに問題はない)

 そもそもアンヒューム――この書物の中ではルーツと呼ぶ――が偏った場所に住んでいるのも、その地域に名前がつけられていないのも、胸を締め付けるような悲しい暗殺事件が発生するのも、言ってしまえば全部魔術師のせいである。ルーツ

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【設定資料】ナタリアのチャリティーグッズショップ

【設定資料】ナタリアのチャリティーグッズショップ

 ナタリア・ヨーカーのオフィシャルチャリティーグッズショップ「ファンシー・レオパルト」
 ナタリアの慰問先には臨時のショップも展開されることもあるが、本店は王都にある。デザインが微妙なのであまり売れていないらしい。

 ラスターがその商品パンフレットを持ってきて、ノアの本棚に捻じ込んでいた(ラスター直筆書き下ろしメモつき)。

※作者注※
 銀貨一枚=概ね「小さなパン一つ分」の価値。日本円にして大

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