☆  雲海うんかいの朝あさ

トマム星野ほしのリゾートの1番の目玉めだまは、早朝に臨のぞむ雲海体験うんかいたいけんだ。前日の雲海予報うんかいよほうは「40%」

「でもあまり予報よほうは当たらないんです。もし出でたら、早起きして行く価値かちは十分じゅうぶんにあります。ぜひ！」
説明を受けた。

「ええっ朝4時起あさよじおき！ムリ。私あたしパスして良いい？」
「一応行いちおういってみようよ」
「嘘うそでしょ？」

いつもは寝坊ねぼうの夫が、半分支度はんぶんしたくを済すませて私を起おこす。
4時半よじはん。

「（雲海）見みえるってよ」
「ん〜行いくか…」

ロープウェイ乗のり場ばまでシャトルバスで5分。沢山の人が並んでる。スタッフもテキパキ笑顔えがおだ。

「ここで働く人達は、なんてこんな早起はやおきなの？」

久しぶりに乗るロープウェイは、想像以上に遥はるか先まで上あがって行き、雲海うんかいを抜けた山頂さんちょうの駅えきへと到着する。

ドンヨリ曇くもった朝だったのに、山頂さんちょうの展望てんぼうテラスは見事に晴はれ渡わたっている。星野ほしのリゾートは、ここトマムをドラマティックの他ほかでは味わえない景観けいかんを声高こわだかに謳うたってる。

寝ねぼけ眼まなこのままでも山頂さんちょうに辿たどり着け、眩まぶしい白い椅子いすが用意してある。手てを伸のばすだけで、誰もが簡単に絶景ぜっけいが撮とれる。
ここの雲海は、飛行機の上から見るのとはまた違ちがう。もう少し低ひくい位置いちに出でる雲海うんかいは、山々やまやまをも取り込み、空そらと緑みどりとを混まじり透すかせた何とも美しい光景こうけいを生うむ。

◎  雲くもカフェ

◎  もっとワクワク

展望台てんぼいだいから少し歩くと、インスタ映ばえスポットがある。

☆  レストランhaluハルの朝食ビュッフェ

10人の列れつに並ぶ。「絶対食ぜったいたべてください」スタッフのおすすめは大当おおあたり。出来できたてのローストポークの薄うっすいスライスに、山やまわさびがこんもり。華はなやかで上品じょうひんな香かおりの、何とも忘れられない丼どんぶりでした。

バターってやつは本当に美味うまい。十勝とかちバターは中なかでも高級品こうきゅうひん。既すでにお腹なかがはち切きれそうでしたが、シメの一切ひときれだけは外はずせない。ウットリしながら、珈琲コーヒーと食しょくす。

◎  気球ききゅう

緑みどりの大地だいちに気球ききゅうは似合にあう。「うわぁ〜」見てるだけで気持ちが上あがる。

☆  十勝平野とかちへいや、士幌町しほろちょうへ

「やっぱり…どうしても行きたいな」
私が言いい出だし、トマムから十勝平野とかちへいやの士幌町しほろちょうへ。予定の帯広おびひろとは方向ほうこうが全まったく違ちがう。で、やはり遠い。東京ドーム358個分？その尺度しゃくど、もう訳分わけわからん。日本で1番広ひろい公共牧場こうきょうぼくじょうへ。

☆  ナイタイ高原牧場こうげんぼくじょう

道みちが合あってるのか、心配しんぱいなまま走はしる。もうかなりの距離きょりだ。すると突然とつぜん、ナイタイ高原牧場こうげんぼくじょうの入口いりぐちらしき看板かんばんがあり、入はいる。
「やった〜」
「合ってた（ホッ）」

そこに、ザツな矢印看板やじるしかんばん
「 ⬅︎ ナイタイテラスまで10km」
えっ？牧場入口ぼくじょういりぐちから10kmも行いかなくてはテラスカフェにたどり着つかない？

呆あきれながら走りだすと、まぁ素晴すばらしい、感動かんどうのパノラマドライブだ。ゆるいカーブとアップダウンが360度の黄緑きみどりの世界を案内するように誘さそい、まるで楽しませてくれてるみたい。よく知ってるんでしょう、ツーリングライダーたちも景色けしきを堪能たんのうしながら優雅ゆうがに走る。これぞ北海道、たまらない。来て良かった。おすすめです。

◎  ナイタイテラス

新ニュースポット記事きじ、いくらなんでも遠過とおすぎると軽く流ながし見みしてた。でも建築雑誌けんちくざっしの情報じょうほうって意外いがいと外はずさない。感心かんしん。

整備せいびされた広ひろい駐車場ちゅうしゃじょうのベンチで楽しげに寛くつろぐおじさんライダー達も。

「良いいとこだろ！（ナイタイテラスを指ゆびさし）こーんな洒落しゃれたの、前はなかった。アイスと、便所べんじょだけ。なーんもなかったんだから」と笑う。

公営こうえいの牧場ぼくじょうなので、観光客誘致かんこうきゃくゆうちに大おおきな予算よさんをかける決断けつだんがつかなかったんだと思う。地方ちほうあるあるで、やたらPR下手ピーアールべたなので、まだ知名度ちめいどは低ひくく、採算さいさんは到底合とうていあってないと思うが、でも素晴すばらしいものは素晴すばらしい。本物嗜好ほんものしこうの観光客かんこうきゃくは、きっともっともっと来きます。

◎  日本一美にほんいちうつくしい景色けしきのトイレ

◼️  帯広おびひろへ

この日の目的もくてきだった六花ろっかの森もりガーデンへと慌あわてて戻る。高速道路で帯広までもかなり距離きょりはあるが、帯広市街おびひろしがいを通とおり越こしてまだ先さきへ50分？遠い、慣なれたけど（笑）

☆  六花ろっかの森もりガーデン

六花亭ろっかていと言えば、可愛い花の絵の包装紙ほうそうしでおなじみ、北海道を代表する銘菓めいか。甘いもの好きの我家の六花亭への信頼度しんらいどは厚あつい。（私達はもうそんなに食べられませんが）我家の若者わかものたちに大人気のバターサンド一択いったくで、よく購入こうにゅう。冷蔵庫を開あける度たびに娘たちはシビアに数かずをチェックしてます。

六花ろっかの森もりガーデンは、比較的新ひかくてきあたらしい施設しせつで、この店名てんめいになって、包装紙にも描えがかれている六むっつの花（エゾりんどう・他ほか、耳馴染みみなじみのない北海道の野花のばな）を配はいした派手はでさのない庭園ガーデン。その中に木造小屋もくぞうごやがギャラリーとして点在てんざいし、訪おとずれた人は素朴そぼくな庭にわを歩きながら見て回まわる。

ギャラリーは無人むじんで、坂本直行さかもとなおゆきという六花亭の包装紙ほうそうしの花の絵えを描かいた地元画家じもとがかのデッサンや、登山の絵とかで展示てんじは地味中じみちゅうの地味じみ。包装紙の柄がらの派手はでな小屋こやだけは人気。

坂本氏は、北大ほくだいで酪農らくのうを学び、趣味しゅみは登山とざんと絵画かいが。経営けいえいしていた牧場ぼくじょうを潰つぶしてしまった後、絵を描かいてた時に、六花亭の社長しゃちょうからのちょっとした冊子さっしの表紙絵ひょうしえを無償むしょうで引き受けて、その縁えんで社長から直々じきじきに自社じしゃの包装紙のデザインを任まかされ大好評だいこうひょうに。長年愛ながねんあいされるラッキーで（六花亭ろっかていにとってもゲンのよい）稀有けうな画家がかだ。

◎  六 'sろくずカフェ

◎  出来できたてバターサンド

併設へいせつの工場（現在見学不可げんざいけんがくふか）が近くにある。六花亭ファン必見ひっけんだ☆

◎  六花亭ろっかていランチ

お腹なかが空すいて、白く清潔感溢せいけつかんあふれるカフェで遅いランチタイム。

スイーツだけだと思ってたら、とても美味しい。旅の御馳走ごちそうの豪華ごうかさに少し疲つかれていた私達にピッタリ。
夫は十勝牛とかちぎゅうのビーフシチュー、私は唐揚げザンギ定食。醤油しょうゆの味が立ったサクサクの唐揚からあげと、ジャガイモの食感しょっかんが絶妙ぜつみょうなポテトサラダ。

六花亭は、駅や空港はしかり、北海道の各所かくしょに店舗てんぽを構かまえていて、どこも繁盛はんじょうしている。だけど、北海道以外には店舗を出していない。出せば絶対繁盛はんじょうするのは間違いないのに、そこは『北海道ほっかいどうの六花亭ろっかてい』なのである。北海道土産みやげには六花亭、誇ほこりがあるんだな。全国のスーパーやデパート、物産展ぶっさんてんにオンラインではジャンジャン売りまくるが、地元帯広じもとおびひろを愛あいし、北海道ほっかいどうを愛あいす。有名絵画ゆうめいかいがは買かわず、地元じもとの無名画家むめいがかをサポート、全国区ぜんこっくビジネスとは一線いっせんをかくす。

あちこち行って気づいたのだが、六花亭はどの店でも、空港店でも、見みてすぐにわかるような観光客かんこうきゃくにも必かならず聞きくのだ。　
「お客さま、ポイントカードをお作つくりしますか。」
「えっ？は？（まさか？）いえ、結構けっこうです。」

ありえん（笑）でもいつになるかわからないけど、また来て欲しいのだ。全然あぐらをかかない六花亭にビックリ。我家の小さな株かぶはグングン上昇じょうしょう。
（あ、順番じゅんばんが…後から帯広本店おびひろほんてんがまた登場とうじょうします）

☆  六花亭ろっかていアート
　ヴィレッジ・中札内美術村なかさつないびじゅつむら

のんびりしてたら3時など、とうに過ぎて閉しまっていた。六花の森ガーデンから車で10分、六花亭が、中札内市なかさつないしと大林組おおばやしぐみとで作った美術村複合庭園びじゅつむらふくごうていえん。その地域に根ねざした施設作しせつづくりは日本建築学会賞にほんけんちくがっかいしょう（業績部門ぎょうせきぶもん）に輝かがやいた。カシワの林の中に北海道の画家達がかたちの美術館やレストラン、公園で構成こうせいされている美しい村ヴィレッジだ。

見事に誰だ〜れもいないウッディな村内そんないを散歩していると、スタッフ発見はっけん。私は制止せいししたのに（いつもは内気うちきな）夫おっとがキビキビ。
「あ、ちょっと聞きいてみるわ」

六花の森で貰もらった《お楽しみプレゼント引き換え券》を渡しに行き、可愛い六花亭の保冷ほれいバッグを2つ貰もらってニコニコ戻もどって来た。
「ほら」
「すご！」

◎  六花亭ろっかてい・帯広本店おびひろほんてん
（帯広駅前通おびひろえきまえどおり）

またまた六花亭？そうです。パティシエを娘に持つ我家、ここまで来たら本店ほんてんに行かないわけにはいきません。50分かけて市内に戻って、日曜で賑わう夕方の帯広繁華街おびひろはんかがいに車を駐とめて急ぎ足で向むかう。
「あ、まだやってるぞ」
「うわ、間まに合あった〜」

先ほど貰もらった保冷ほれいバッグをむんずと出し、購入こうにゅうした生ケーキや和菓子をギュウギュウに詰つめた。飛行機で東京まで無謀むぼうにも持って帰ろうと決めた。パティシエを含むスイーツ大好き娘むすめたちの嬉うれしい悲鳴ひめいが、ただただ聞きたくて。

○   2階のカフェ（間に合わず）

◎  ばんえい競馬場けいばじょう

後ろに荷物のようなソリをつけて走る、雪国ゆきぐにの歴史や文化の見える荒々あらあらしくも素朴そぼくな競馬。全然別物ぜんぜんべつもの、異文化いぶんかの北海道だ。残念ながら、時間が足りず、レースは楽しめなかった。

○   馬うまの資料館しりょうかん

○  とかちむら（競馬場内）

○  道みちの駅えき（競馬場内）

じゃがいもが（多種たしゅ）やたら美味しくて、箱はこで郵送すべきだった。（メロンしかなかった）デパ地下のとも味が違う。とうもろこしも買いそびれてしまって大後悔だいこうかい。


◎  夜のとかち帯広空港おびひろくうこう

カーナビで空港のレンタカー屋まで向かう。ローカル空港の周りがこんなに暗いとは知らなかった。レンタカー屋の看板は見えるが、あまりに真まっ暗くらで、入口いりぐちが全くわからない。なんだかわけわからん空地あきちでUターンして、ようやく無事返却ぶじへんきゃく。

20：35 JAL帯広発の最終便さいしゅうびんで、羽田空港まで。

羽田空港の外に出たのが22時半。夜だというのに、モワッとした息苦いきぐるしいほど熱あつい空気が、全身を包む。この暑さ、思い出した。

「うっわ〜こんなだったっけ。もうマニラ（空港に間違って着いた）かと思った〜」

「やっぱり夏なつは北海道ほっかいどうだ。全然違うな〜」

たった3日で、すっかり北海道に慣なれていた。当たり前じゃなかった、爽さわやかな私たちの夏なつ。
こんな年になっても、旅先で初めての感覚かんかくや驚きが沢山あった。経験けいけんする出会であいは、ざわめきと共に心満こころみちるものだ。

また出かけよう。
いつも冒険者ぼうけんしゃでいる自分じぶんを、ポケットに忍しのばせて、時々確たしかめてはニヤニヤしながら歩あるいていたい。

①➕②➕③、長くかかりました。もうすっかり秋（苦笑）
読んでいただき、ありがとうございました。