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欲が薄れたことを自覚して「うわぁ……」となる今日この頃

『定額制夫の「こづかい万歳」』の話のつづき……(実は次の下書きも『~「こづかい万歳」』がらみでして、かれこれ1週間この漫画に出てくる人物たちについて考えている……)なのですが、今回は漫画そのものというよりも、自分の中での、「欲」についての話をしようと思います。

『~「こづかい万歳」』は、欲の少ない人が数多く登場します。代表的なのが作者の吉本先生の奥さんで、こづかいは月たったの7000円。しかしながら、メガネが壊れても買い換えずに自分で修理するし、たまにする外食も格安チェーンの日高屋、リサイクルショップを見回っても実用的なものしか買わない。

唯一の趣味は飲酒で、子供が寝静まった後に1杯やるのが至福のひととき……だそうですが、発泡酒や第3のビールを1缶あけたのちに、スーパーで買ったでかい焼酎をちょっとずつチビチビやるのだという。

うん、いや、まあ、いいんだけどさ……。

前回と前々回でも書きましたが、この漫画を楽しいと感じると同時に不思議なモヤモヤが発生して「うわぁ……」と言ってしまいそうになる原因の一端として、自分と多かれ少なかれ似通ったことをしているので、他人事だと思って気軽にゲラゲラ笑えないというのがありますが、さらに突き詰めて考えてみたところ、登場人物のほとんどが40代以上で、既婚者だったり、子供がいたりして、人生のある程度のゴールまで辿り着いた人たちである、ということも大きいのでは?という答えに行き着きました。

つまり、10数年後の自分がそうなっている可能性がある、というか、高いのです。自分が吉本先生と同世代か上の世代ならまた違った感想になるかもしれませんが、未来の自分の姿を見せられているような感覚がなんともつらい。

あるいは、自分が高校生とか20代前半の頃にこれを読んでいたなら、きっとただ無邪気に笑っていたでしょう。まだ未来が具体的ではなかった頃なら。

ここでようやく「欲」の話になるのですが、未来が具体的ではないぶん、欲がありました。

高校生の頃に「ROSSO」という車の雑誌があって、たまに買っていたのですが、ランボルギーニ・ムルシエラゴやアストンマーチン・V12ヴァンキッシュなどの錚々たる高級車の写真を眺めるのが好きでした。

すでに高校生だったので、簡単に買えるわけがないことは理解していましたが、それでも、いつかなんとなくこれを買える日が来たらいいなあ、くらいには夢想できていました。

今は、それができない。

自動車評論家の清水草一さんが書かれた、年収300万円でフェラーリを買う方法についての著書を何年か前に読みましたが、あれを読んでも真似しようとは思わず、確かにそれなら自分でも少し頑張れば全く不可能ではなさそうだが、それよりも先に、その生活を維持するのはしんどそうだなあ、と感じてしまったので。

自分はギャンブルを全くしないし、特に宝くじに関してはいちばんしょうもない娯楽だと思っているので買いませんが、もしうっかり買ったものが当たって2億円をゲットできたとしても、それでランボルギーニやアストンマーチンを買うか、というとなあ……。

運転しにくそうだし、盗難が怖いし、そもそも大阪北部で自分が普段あそぶようなところはたいてい電車が通っているし、気軽に酒が呑めなくなるし……。などという現実的なことばかりが浮かんでくる。なんというか、ロマンがなくなった。

「ROSSO」を読んでいたのと同じくらいの頃は、内山理名さんに似た人と結婚したいと思っていたのですが、これもいつのまにかなくなってしまいました。

吉田栄作さんと結婚されたというニュースを見て、びっくりするほど何も感じなかったのですよね。

むしろ星野源さんが結婚された時のほうが、なにかが変わったような複雑な感情になった。

俺の嫁候補は実は星野源さんだったのか……?というのは冗談ですが、ケータイ代を滞納していた頃の源さんは、もうガッキーを手に入れた勝者になったのだ……と思うともうね。

ケータイ代を滞納していた時期の星野源さんのエッセイ『そして生活はつづく』は面白いのでみんな読もう。

まあ、今でも女性に対する関心そのものはありますが、ハーレムを作りたいとかはもう思わなくなってしまいました。

クラスに男子しかおらず、陽キャ勢が青春パンクに夢中になっているのを遠巻きに見ながらD'ERLANGER(当時は再結成する前で、完全に伝説のバンドだった)を聴いていた陰キャ非モテ野郎だった高校生の頃は、それはもう、ハーレム生活を毎日のように妄想しては布団で(中略)していたものです。

その後、女性と親密な関係になることをいちおう何度かは経験し、いつのまにやらモテたいという気持ちが薄れていきました。エッチなことについての興味は失っていませんが、いずれこれも消えていくのかと考えるとこわい。すげえこわい。

今のうちからそんなことを考えていても仕方がないのですが、「会社推し」の話に出てくる人なんかは自分と年齢が近くて、なんかこう、やはり「うわぁ……」なんだよなあ。というわけで、次回は「会社推し」についてです。いつまで続くねん。

サウナはたのしい。