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過去と現在が混ざる脳内で

現在は2023年、令和5年であり、誰もがスマホを持っており、若者はTikTokなるものに夢中になり、HIKAKINさんは子供たちのヒーローです。

何をそんなわかりきったことを今更とお思いでしょうが、これは自分が特異なのか、それとも誰しも歳を重ねると多かれ少なかれそうなっていくものなのか、脳内で過去と現在がごちゃ混ぜなのです。

どういうことかというと、たとえば数日前の朝に起きて最初に思ったことは、「そういえば『忍空』が長期休載していた理由ってなんだったんだ?」であり、2番目に思ったことは「今日、雨が降るのか……」です。

『忍空』というのは1993年から週刊少年ジャンプに連載されていた漫画であり、アニメ化や映画化を果たすなど大ヒットしたものの1995年頃から突如として連載が中断、一時期は作者死亡説まで流れましたが、10年後の2005年後にこれまた突如として連載再開、2011年に無事に完結しましたが、休載の経緯については公式には触れられていません。

いきなりそのことを思い出してウィキペディアという参考書を読んでみたところ、『忍空』のテーマである空手について詳しくないので書けなくなった、という趣旨のことを後年の雑誌のインタビューで語られていたとのこと。そうだったのか。28年ぶりに謎が解けたぜ。

で、もうひとつのブラウザに目を移せば、今日の天気予報が載っているわけです。1995年と2023年が混在している。

それだけではありません。

さらにSpotifyの履歴には、5年に一度くらいの周期で訪れる「LUNA SEAの『SHINE』について再考する時期」が数日前に来たことで、1998年の楽曲がズラリと並んでいるし、BookLiveのアプリには最近になってハマった浅田次郎さんの2000年前後の旅エッセイ集、そしてここ1ヶ月ほどで『タッチ』全26巻を読破しました。

朝と夜はスマホとともに平成の音楽と文学を楽しみ、仕事中は令和に生きて、スーパー銭湯の休憩所では昭和の名作漫画にのめり込む。

脳がいろんな時代を行ったり来たりで、もしかしたら今は昭和68年なのではないか?いや平成94年では?などといったバグが起きそうです。まあ今月に入ってさっそく、書類に2022年と書いちゃうミスを3回やっていますしね。

以前は、自分の記憶というものは時系列で連なるものであり、新しいものと古いものが一緒くたになることはないと思っていました。

簡単にいえば、GLAYが売れた後にORANGE RANGEが売れて、モーニング娘。が社会現象になった後にブレイクしたのがAKB48で、M-1初代チャンピオンは中川家で7代目はサンドウィッチマンというのが、すべて歴史の教科書のように時系列に並んでいるイメージ。

確か20代中盤あたりまではわりとそんなイメージだったのですが、いつからかそういう順番付けがなくなり、米津玄師さんって3年前から有名だったっけ?いや、もっと前からバズっていたような……。ていうか『Lemon』って何年前だっけ?となっており、霜降り明星がM-1で優勝したのも何年前だかわからないし、AKBはいまだに神7が恋するフォーチュンクッキーを踊っている。

ここで親愛なる読者の皆様は思っただろう。それはお前がおっさんになってきているのだと。時代についていけていないのだろうと。

しかしながらそうではない。

毎年のようにM-1の決勝戦のネタはユーチューブでチェックしているし、アイドルには詳しくないが渋谷凪咲さんと本郷柚巴さんと齊藤京子さんは知っているし、10歳下の部下に教えてもらったマカロニえんぴつの曲も聴く。むしろミーハーで若ぶっている痛い奴だと言われたい。ていうか14歳だし。

決して懐古主義とか、あの頃は良かったなどという意識でもなく、ただ単純に、過去のことも現代のことも同列になってきているのです。

だから浅倉南とアーニャが脳内の同じ場面の中にいるのがふつうであり、「だっちゅーの!」と「ヤー!パワー!」が同時に鳴り響いているし、Hi-Cとヤクルト1000が同じ冷蔵庫の中にあるし、5/8チップとシンポテトが同じ戸棚に置いてある。

これから時代が進むにつれて、新しい商品や作品はたくさん生まれることでしょう。

自分の脳のキャパシティはたいして大きくないとは思いますが、昭和と平成と令和の入り混じった思考が今後どんなふうにカオスになっていくのかに期待しながら、次は『H2』の全巻読破に挑もうと思います。

あ、そういえば『忍空』もアニメは知っていたけど原作は読んだことないな……。

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