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余談的小売文化論

「知性ある消費」をテーマに、現代の消費行動や理想論と現実的な問題のギャップについて考え、言語化しています。「正解」を語るのではなく、読み手が自分なりの正解を見出すための一助になる… もっと読む
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2018年8月の記事一覧

日本は、「スモールビジネス大国」を目指すべきなのかもしれない

日本は、「スモールビジネス大国」を目指すべきなのかもしれない

今週からNewsPicksで始まった中国ユニコーンの特集を毎朝楽しみにチェックしています。

小売の視点からも、中国はもはやシリコンバレーやNYを軽々と追い抜いて世界の最前線に躍り出たといっても過言ではない存在。

特集に出てくる企業の話も、どれもダイナミックでスケールが大きくて、改めて中国の勢いを感じています。

そしてちょうど今週はラグジュアリーECの巨人・Farfetch上場のニュースも飛び

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いま、水着が売れるわけ

いま、水着が売れるわけ

「Business of Fashion」で「なぜ今バケーションドレス(水着含む)が売れるのか?」をテーマにした記事があり、これがとても面白かったので個人的な考察も交えながら解説したいと思います。

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百貨店の役割の変化

先週末、ちょうど新宿で用事があったので久しぶりに伊勢丹に行ってきました。

たまにしか行かないエリアまで足を伸ばすときはなるべく意識してその土地のお店を回るようにしているのですが、やはり伊勢丹は他の百貨店と比べても『百貨店』では括れない強さがある、と改めて思いました。

他の店舗では見ないような世界観のゾーンや商品が豊富に揃っており、最大公約数的ではない見せ方ができるは、パッケージとして完成されて

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自由な仕事に『NO』が必要な理由

自由な仕事に『NO』が必要な理由

最近NewsPicksのインフォグラフィックエディターである櫻田さんと話していて、半年ほど前に書いた「意思ある『NO』がプロダクトをつくる」という話を思い出しました。

櫻田さんと特に盛り上がったのが、『客観は収集で主観は取捨選択である』という話。以前書いた『意思あるNO』を言い換えると、主観とも言えるのではないかと思います。

私と櫻田さんはどちらも主観や自分ごと化、その人にしかできない唯一性を

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あらゆるコンテンツが "ドキュメンタリー"になっていく

あらゆるコンテンツが "ドキュメンタリー"になっていく

ここ最近、Netflixのオリジナルドキュメンタリーをあれこれ見ているのですが、中でも面白かったのがこの「100万ポンドのメニュー」。

レストランを開くという夢をもつ若者が、3日間だけのポップアップレストランを通して投資家にそのポテンシャルをアピールし、出資にこぎつけるというドキュメンタリーです。

初日の夜は半額で一般のお客様に解放し、2日目のランチに投資家が来店。そこではじっくり投資家と向き

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ホテルでモノは売れるのか

ホテルでモノは売れるのか

今月のCasa BRUTUSの特集が「LIFESTYLE HOTE」ということで、早速読んでみました。

まだまだ知らないユニークな宿がたくさんあることに思いを馳せつつ、メディアとしてのホテルが盛り上がってきていることを改めて感じる特集でした。

中でも、小売の人間として気になったのが「STAY&BUY」というまとめ。

以前から店舗の進化系としてホテルというかたちがありえるのではないかと考えてい

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本屋とは、知性というファッションを売る場所である

本屋とは、知性というファッションを売る場所である

以前自分にとってのファッションの定義を考えてから、あらゆる分野でファッション性を感じるものについて考えています。

その中で感じたのが、本というアイテムのファッション性です。

今は本が売れない時代と言われますが、それでも10万部以上のベストセラーが定期的に生まれ、芥川賞と直木賞は毎年ニュースになり、雑誌の読書特集は安定的な売上を作っているといいます。

インターネットがこれだけ発達し、Web記事

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ファッションの役割のひとつは、自己肯定感を育むこと

ファッションの役割のひとつは、自己肯定感を育むこと

今さらですが、最近『Queer Eye』にめちゃくちゃはまっています。

(↓このお茶を持ってるアント二が特に大好き!)

Queer Eyeは簡単に言うと、昔ワイドショーでよくやっていた『お父さん大変身!』とか『ママを大改造!』的なものと、劇的ビフォーアフターをぎゅっと詰め込んでポップにしたような内容。

昔から人が変身するコンテンツが好きだった私としては、ファッションや美容だけではなくインテリ

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私たちが短期的視点で決断をしてしまう理由

私たちが短期的視点で決断をしてしまう理由

私はあらゆる意思決定において『将来価値が最大化するか』が一番の指標なのですが、この見ている時間軸の違いによる齟齬はよくぶつかる壁でもあります。

短期的な利益と長期的な利益が合致する施策もありますが、それと同じくらい、今を消費し尽くすことによって将来価値を下げてしまう施策もたくさんあります。

わかりやすいところで言えば、まるで嫌がらせかのような誤クリックを誘発するようなバナーだったり、SEOに引

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これからオーダーメイドが主流になる理由

これからオーダーメイドが主流になる理由

ZOZOSUITの出現を機に、日本でも一気に『オーダーメイド』が注目を浴びるようになりましたが、個人的にはどれだけの人がオーダーメイドを欲しているのかについては懐疑的でした。

しかし最近になって、むしろオーダーメイドの方が主流になる時代がくるだろうと確信した瞬間がありました。

それは、

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日本の会社は "社会"を形成する

日本の会社は "社会"を形成する

私は新卒で入社したときに『これは入社ではなく入学だ』と感じたエピソードをよく話すのですが、日本企業は多かれ少なかれ学校のような要素も持ち合わせているものだと思います。

そう確信したのは、『アメリカ・ジャーナリズム』という本の中で日米の社員教育に対する考え方が異なるという箇所を読んだから。

社員教育費がほぼゼロに近いというのもまた極端な気がしますが、たしかにアメリカのように雇用の流動性が高い環境

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「でいい」消費が広まる時代に

「でいい」消費が広まる時代に

先日、「無印良品は無印良品"でいい"を目指している」という話を聞き、たしかに今は『でいい』消費の時代なのかもしれない、と思いました。

無印良品もユニクロも、そしてインテリアでいえばニトリも、今成功していると言われるブランドはどれも『これがいい』ではなく『これでいい』というポジションを積極的に取りにいっているように見えるものばかり。

私たちはブランドを確立する上で、ついどうすれば『これがいい』と

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