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青春の思い出は色あせない。2

その宿泊施設は7日以上の連泊が出来なかったのです。

朝の朝礼で先生が、

「今夜はここに泊まれません!」

と言って宿泊出来ない理由を説明した。
みんな頭に?が付いた。

「じゃ、今夜はどうするんですか?」

と男子が聞くと、

「山の中にバンガローがあるから今夜はそこに一泊して下さい。
 明日からまたここに泊まれるから!連泊が出来ないから、
 そっちに一泊してもらうしかないんだよ。」

「・・・わかりました。」
納得が行かない様子だったけど、
誰も何も言わなかった。

ここで不満を言ってもそれがこの施設の決まりなら、
何か変わるわけでも無いとみんなわかっていたのだ。

学習合宿に参加するぐらいだから、
みんな物静かで反抗的な態度の生徒は一人もいなかった、
平和に過ごせたのはこのメンバーだったからなのかもしれない。

そしていつもと同じ1日を過ごした。

いつもと違うのは入浴の後に荷物をまとめて、
みんな大きな荷物を持ってエントランスホールに集合したことだ。

先生はバンガローでの注意事項を話すと、
「じゃみんな気を付けて」と手を振った。

「あれ?先生は?」

「俺たちはここに泊まれるから!お前たちはがんばれよ!」

「え?」

「荷物はここに置いといても大丈夫だから貴重品だけ持っていけ!」

先生たちはバンガローのガキを代表に渡して、
私たちを置いて部屋に帰って行った。

そして私たちは1泊だけ山の中にあるバンガローに泊まることになった。

「じゃ行こう!」
みんなで山に向かって歩き出した。

誰が先頭だったのかは覚えていない、
狭い道でみんなで1列になって歩いたことは覚えている。

宿泊施設から歩いて10分位の所にあるバンガロー、
昼間ならすぐにわかったかもしれないが、
夜の山は思った100倍の暗闇で私たちは軽く迷子になった。

デコボコ山道で月明かりだけを頼りに、
みんなで道なき道を歩いて山に入った。

月が雲に隠れると真っ暗闇になった。
今ならスマホを出して明かりをつけるけど、
携帯電話すら無い時代だから仕方がない、
暗闇でもみんなで注意いしながら少しづつ進んで行った。

夏でも夜の山はひんやりした、
それは気温が低かったのか恐怖から来る寒気だったのか、
わからない。
でも山は昼間と違う空気だったことは確かだった。

どうにかバンガローに着いた。
バンガローというか汚い山小屋だった。

山に何棟か同じ作りの汚い小屋が立っていて、
ドアに番号が書いてあった、
私たちは先生に言われた通りに別れて、
それぞれの部屋に入った。

ドアを開けてみんな黙り込んだ、ここに泊まるの?
心の中に重たい疑問を抱いたまま部屋に入った。

女子5,6人で寝る準備をして、
みんなで雑談をしていると、
「トントン」とドアをノックする音が聞こえた。

ゆっくりドアを開けると、
男子が2人立っていた。

「どうしたの?」

「それがさ〜」

先生の見張りも無いので、みんなでコンビニに行こうという誘いだった。


つづく

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