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ガイズ・ミーツ・怪獣 -4-

 スカムスライムとの交戦から一時間ほど。
 廃棄研究所を探索する俺達が得た情報は余りにも少なかった。何せ研究内容につながる様な資料は紙・電子問わず施設内に保管されていないのだ。当然と言えば当然の事なのだが。

「そっちはどうだ?」
「ダメだ、何も見つからない」

 何度目かの薄汚れた白く無機質な部屋に入り込んでは何か手がかりがないか残留物をひっくり返すが、ペラ紙一枚すら見つからない。パソコンなども当然の事ながら一台も残っていない徹底ぶりだ。

 代わりに探索の道中で見つかったのは、惨劇があったと思しきおびただしい血痕だった。それも一つや二つではなく探索すればするほどに数えるのをやめる程度には確認できた。

 だが、惨劇があった事、そして情報につながる手がかりがろくに見つからない事から推測できる点もなくもない。

「T・D、一度情報を整理しよう」
「うん」

 小奇麗なグレーのスーツを汚すのもいとわずに廃墟漁りを行う彼に声をかけ、放置されたオフィスチェアを二つ起こして休憩を取る。

「まず、この研究所が廃棄された流れだが……おそらくは所有組織の正式な決定で廃棄されたように見せかけられていると見た」
「見せかけられている、だって?」

 T・Dの言葉に頷いて見せる。

「例えば、この施設で研究されていた生物が手に負えなくなり、慌てて遺棄されたなら何一つ手がかりが見つからないのは不自然だ。現にかさ張るパソコンの筐体、サーバー機器すら完全に撤去されている」
「なるほど、少なくともここが廃棄された時には時間をかけてでも一つ一つ資料を持ち去るだけの猶予があったんだね」

 実に察しが良くて助かる。会話の最中も周囲の気配に気を配るが、今の所生き物の気配は感じられない。だが、わずかになにがしかの機械の駆動音らしき音が俺の聴覚に届いている。

「だが、そうなるとさっきのスカムスライムが放置されていた所が問題となる。理由をこじつけるとして、一つはあのスライムはこの施設は全くの無関係であり、たまたまここに潜り込んだ説だが……あんな凶悪な生き物が自然の産物なら、その危険性について何の公的周知も行われていない事になる。それは少々考えにくい」

「確かに……でもそうなると、この研究施設はまだ稼働しているって事になるけど」
「その通りだ。この研究施設はあくまで廃墟に見せかけられているだけで、ぱっと見じゃわからない形でまだ稼働している設備が秘匿されていると考えられる。あちこちで惨事の痕があるのは」

 最後まで俺が言い切るよりも早いタイミングで、大質量の物体が床を揺らす振動が伝わってきた。

 即、戦闘態勢を取る。T・Dは先ほどと同様に独自の構えを、俺は持ち込んだ武装の中から大口径のリボルバーを引き抜く。伝わってくる振動の質から、今度はスライムではなく大型かつ二足歩行の存在だと推測したからだ。

 逃げ場のない部屋の中よりも立ち回りに融通が利く通路の方が良いと判断し、外に飛び出した俺達の前に現れたのはこれまた奇怪極まる物体だった。

【ガイズ・ミーツ・怪獣 -4-:終わり:-5-へ続く

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