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ノートちゃんはエッチなのは苦手です

「なぜじゃ!?なぜワシのたくましいポートレートは投稿不可なのじゃ!?」
「ですから、規約に反しておりますので……」

超巨大創作売買商業施設Noteの昼下がり。
他クリエイターの作品を探しにぶらついていた俺の目に写ったのは全裸中年男性が深窓の令嬢に食って掛かっているというなんとも犯罪臭溢れる光景であった。

足音控えて、全裸中年男性に根気よく説明している深窓の令嬢ことノートちゃんに歩み寄る。彼女の肩越しに全裸中年男性の視界に入ると、これ見よがしに大口径リボルバーの撃鉄を起こして見せた。

「そ、そうじゃな。ルールはだいじじゃ。ルールは」
「わかっていただけて幸いです」

ノートちゃんに微笑みかけられて色々もろだしにしたまま赤面する全裸中年男性。お前はまず色々隠せとも言いたくなるが、引き下がった以上恫喝し続けるのも良くないので黙って銃をホルスターに戻す。

すごすごと退散した全裸中年男性を見送りつつも(今回は黙って引き下がったのでセキュリティは来なかったようだ)迷惑客を説得したノートちゃんにねぎらいの声をかける。

「苦労しているな」
「いえ、これが私のつとめですから」
「そうは言うが、根気よくコンテンツの選り分けを行ってくれてる事には感謝している」

一言礼を告げると、そのまま散策にもどる。彼女は忙しい、だらだらと絡むのもよろしくないことだ。

―――――

「ということがあってだな」
「それって私の作品もアウト、かな?」
「ポートレートって言ってたしテキストコンテンツとは同じ全裸中年男性ネタでも線引きが異なるんじゃないか?」

Noteの片隅にあるうらぶれた古めかしい西部劇風バー、メキシコに戻ってきた俺は雑談のネタとして先ほどの話を他のパルプスリンガーに振っていた。

話題を受けたのはいかにもトキめいたカラーリングの長衣をまとった細面の男性パルプスリンガー。全裸中年男性ネタの大家であるT・Kだ。もっとも全裸中年男性ネタばかり書くわけではないが……

「実際問題、エロ文章はどこまでオーケーなんだろうな」
「具体的な線引きなんてムリじゃね?」
「俺もそう思う。仮に淫語を一切使わなくても文脈でエロさを出すことも出来てしまうし」

俺の返事の意図を察したミリタリーカジュアル姿でラクーンめいた髪色の6・Dが黙ってうなづく。エロい文章という観点では、ただ単語を規制すれば良いとはならない。まあ全裸中年男性ネタがエロに入るのかどうかは議論の余地があるが……

「ええ、ええ、私も自作で性的な表現を組み込んでいるので他人事ではないですね」

ついでに話に乗っかってきたのは執事然とした立ち居姿のS・C。

「そうは言っても性愛ってのは物語の重要な要素だからな、全部アウトにされてしまうのもそれはそれで困るが」

その時、俺の話を聞いていた三人が不意に硬直する。その視線は俺の後方に注がれたまま微動だにしない。

「皆さんの作品に、アウトな要素はありませんよ?」

俺が振り向いた先には、困惑した表情で説明するNノートちゃんの姿があった。

「ホント?」
「はい、その、お恥ずかしい話なのですが……私、文章についてはえろてぃずむ、でしょうか?それを判断できないので……判断基準を甘くさせていただいています」

なるほど。AIにとっては画像認識処理においては比較的用意に性的コンテンツのアウトセーフを判断しやすく、文章のえろてぃずむを判断するのは難しいということか。

「イイノ?」
「自動判別機能を厳しくして、誤判断を頻発させては本末転倒ですので……判断する際は運営スタッフの方のご協力をいただいてます」

そこまで説明すると、ぺこりと会釈して彼女は巡回に戻っていった。一方、深々と安堵のため息をつく一同。そして四者共々一様にうなづく。

「ま、彼女に迷惑かけないよう奥ゆかしくやっていこうか……」

【ノートちゃんはエッチなのは苦手:終わり】

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