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いざなうはワールド・コーン・ラビリンス -6- #ppslgr

武器を構え戦闘態勢に移っていた俺達でさえ、その異様に一瞬硬直する。
木々をかき分け目の前に姿を見せたのは、巨大なトウモロコシの実だ。

それが三つ、まるでケルベロスの頭部の様に連なって俺達の様子をうかがっている。脚部らしき部位はまるで鋭い槍の様な茎となっており、あの茎でもって大地を突き刺しながら前進していた。

「R・V、コレ……」
「わかっている、敵だ」
「そうじゃなくてさぁ!」

彼の言わんとする事は当然理解している。トウモロコシは動かないとか、あの目的の覇王トウモロコシを別にしてもでかすぎるとか、今彼は目の前の事態を否定したい自分の中の常識と戦っているのだ。

だが、A・Kが冷静に戻るよりも早くコーン・ケルベロスが攻撃態勢に移る。風鈴の様な涼やかな音波を放ちながら、異形の魔獣は頭部を突き出して揺さぶる。あろうことか、ポップコーンの様に可食部が破裂し敵対者である俺達にまき散らされた!

「チィッ!」

他の二人の前に立って、両手に握った刀剣を頼りに縦横無尽に前方に飛来するポップコーン・ミサイルを切り刻んでいく。刃が織りなす斬撃の盾にバラバラと切り裂かれて落下していくポップコーン!

「銃を構えるんだA・K!このままでは一巻の終わりだぞ!」

酷な叱咤をぶつけるエルフの王子は既に構えた矢を異形のコーン魔獣へと向け、一度に4本の矢をマシンガンめいた所作で連発する!風切り音を伴い奏でてコーン・ケルベロスの頭部へと突き立つ紺碧の矢の雨!

負けじと俺もコーン・ケルベロスの懐まで飛び込み様にその前足めいた茎槍を二本まとめて両断!脚部の損失によって、一時的に動きが鈍りこそするものの見る見るうちに茎が伸びていき新たな脚を形作りコーン・ケルベロスの巨体を支え直す!

俺が左側よりコーン・ケルベロスの茎で出来た身体を蹴って登り、手近な首を二刀流交差斬撃によって斬り落とすが残りの二つがA・Kに迫るが早い!あわやこのまま彼はゆであがったトマトの様に潰されるかと思いきや、そうはならなかった。

「ヘイ!坊や共、お困りでないかい!?」

蒼い光で描かれた魔法陣より宙へ絵を描くが如く姿を現したそのホットなレディはいかつく獰猛なミリタリースーツを全身にまとった坊主頭に、露出した褐色の肌には恐るべきパワーがみなぎるルーン紋様が描かれていた。

「ドゥーム!レディ・ドゥーム!来てくれたのか!」
「様子見のつもりだったんだけどアンタがだらしないからね!ほらシャンとしな!こんな見かけだけの雑魚にアワアワしてるんじゃないよ!」

彼女が宙に描いたルーン障壁によって人間を軽く潰すに足るコーン・ケルベロスの頭部打撃は受け流され、むなしい太鼓叩きと化していた。さらに彼女はそのルーン障壁をボクサーグローブめいて扱えば猛然とコーン・ケルベロスのうろんな頭部を殴りつける!

「チックショウ!やってやる、やるさ!」

ここに来てショットガンを構えなおしたA・Kの姿を確かめると、跳躍宙がえりからもう一本のコーンの首へ斬撃を振り下ろした!

【いざなうはワールド・コーン・ラビリンス -6-:終わり:その-7-へ続く

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