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走れ、穿て、守れ -6-

 緑の人型兵器がパルクール回避した高速道路の路面に、深々と穴があいた。フットボールに酷似した弾丸がカバ狩猟ガトリングめいて掃射されたのだ。

「ふぅん、悪趣味だねぇ」

 異種同士を生体結合させた幻想生物を俗にキメラと呼称するが、今俺達の目の前に存在するのは言うなれば異なる世界観のキメラだ。先ほどまでは大型のトラックほどの影だったターゲットは今や山の様に膨らんだままに高速道路を疾走している。

 ざっと視認しただけで、蒸気ほとばしるスチームパンクな構造物、幻想でしかあり得ない巨木の如き枝、時代がかった古代の石製建築、金属の義肢を積み重ねたブロックなどなど。おおよそちぐはぐにもほどがある代物同士が幼児の積み木遊びの様に結合している。

 こっちのコクピットをアラートが満たすよりも早く、俺は自機である黒騎士を空中跳躍からの急反転幻惑軌道でもって旧来の物理法則を逸脱した回避行動をとった。

 異世界キメラとでも呼称すべきターゲット、その中央部に埋まっている近未来金属ブロックの真ん中が展開すれば、露出した光学兵器と思しく巨筒から、紅いレーザーが空を分割する。

 さらには異世界キメラの下肢めいている巨木の枝葉の先から水晶の華が咲き乱れればそれはそのままクリスタルクナイとなって路面のガン・フロッガーを襲う!

 急ブレーキでもって狙いを逸らしつつなお襲い来るクリスタルクナイを二丁拳銃迎撃射撃でもって砕く!蒼天直下に舞い散る水晶のかけら!

 一方上部を構成する蒸気のスチパン部位からは高効率伐採ノコギリの如き歯車が射出されては俺の機体へと的確に迫りくる!

 着弾距離へと迫った殺戮歯車を大太刀でもって切り裂けば、そのまま断片を蹴り上げ異世界キメラへと返品!射出した勢いよりもなお破壊力を増した殺戮歯車が石製建築部位を破断!

「バリエーション豊かなのはいいが、統一性が無くてバランス悪いな」
「へいへーい、当ててみな~」

 煽りに反応したかどうかは定かではないが、再度下部の巨木部位の触手より、先ほどと同様のフットボール種子ガトリングが秘密要塞防衛兵器めいた物量で高速道路を薙ぎ払う!

「ハッハーッ!遅い、遅いよ!」

 種子弾が届くよりも早く、ガン・フロッガーは新たに装甲内より展開させたサブマシンガンを右手に持ってこれを迎撃掃射!ぽっかりと空いた前方の安全空間へ飛び込むと左手に構えた幾何学的形状マラカスめいた武器、シュツルムファウストを向け異世界キメラ下肢へと弾頭を放つ!

 爆炎が巻き起こり、巨大なる木肌が焼けこげるもガン・フロッガーは容赦しない。次々とジャグリングの様にシュツルムファウストを取り出しては音楽ゲームめいたリズム感でシュポンシュポンと弾頭投射、幻想的な葉華を豪炎で焼き尽くしていく。

 もちろん、俺もただ黙ってみていたわけではない。一度大太刀を鞘に納めれば、背部翼型波導制御ユニットを青白く輝かせ、流星の如く突貫。光の尾を引いて速度を乗せた居合を放てば、スチパン鋼板部位を深々と切り裂いて内部に溜め込まれた蒸気圧を解放、辺りを白く染めた。

「ええーい!ええ加減にせんか貴様ら!これだからクリエイターというヤツは!」

【走れ、穿て、守れ -6-:終わり:-7-へ続く

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