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パンドラ・イン・ジ・オーシャン -11- #ppslgr

「……よう、またあったな。だよな?」

ウキウキで作戦会議を始めようとオトヒメが宣言した矢先のことだ。アハトによく似た見た目に燃え上がる様なオレンジの髪を持った侍従が三人の男を俺達の前へとつれてきた。

一人は茶髪のいかにも調子良さそうな軽薄な顔立ちに渋面を浮かべた青年、もう一人はブロンドの整った顔立ちに困ったような笑顔を浮かべた若者、最後の一人は白髪が勝る黒髪に無精ひげを生やした実直な雰囲気の壮年だった。

三人の服装は共通の暗緑色の迷彩ミリタリー服だが、白兵戦は考慮していないのか目立った武装らしきものは身に着けていない。本来彼らの目的は海底調査なのだから、その判断は正しいと言える。

先程は音声だけの通信だったので顔を見るのはこれが初めてだが、その声には聞き覚えがなくもない。

「帰ったんじゃなかったのか?」
「そーしたかったのはやまやまなんだけどよぅ、浮上する前に何度もあの黒オバケに絡まれちまって逃げ回ってるうちにマグロに誘導されてあれよあれよというまにここに連れてこられたって訳よ」

いやーまいったぜーなどと緊迫感のないこの声の主は間違いなくあの時のGだろう。となると右の顔立ちの良いのはLで左の壮年はDか。Dの方からこちらに向かって質問を投げかけてくる。

「あなた方二人はこの場所と、案内してくれた彼らについて知っていたのか?」
「まっさか、言い伝えのまた聞き程度さ」

肩をすくめて否定する俺に変わって話に割って入るオトヒメ。

「はあい、新たな客人。わたしはオトヒメ、ここのファーストレディさ。良い子にしててくれたらちゃんと帰してあげるから大人しくしててくれるかい?」
「オトヒメってあのオトヒメです⁉」
「そこのベイビィフェイス君が言ってるのはわたしのご先祖様だねー、本物その物じゃなくてゴメンネ?」

再びさらっとオトヒメの口から解明された浦島太郎しんじつに、Lが卒倒しかけた所をGが慌てて受け止めた。まあ一般的な常識の持ち主の反応ならこんなもんだろう。俺は少々人生の中で不可思議うろんイベントに慣れ過ぎたという物だ。

「その様子だと、君たち三人の方はわたし達を助けに来てくれたって訳じゃないんだよね?」
「その通り、助けるどころか逃げ回るのが精いっぱい。力になるどころかそっちの二人の足手まといじゃないかね。だけどよ」

Gは言葉を切るとしゃがみこんでオトヒメの手を握っては真剣なまなざしで彼女の底知れない瞳を見つめる。

「こんな可憐なお嬢さんが困ってるんだ、不肖このG、出来ることは何でもやるぜ」
「あ、ありがとう」

急な攻め手を受けて戸惑ったのか普段の早口は鳴りを潜めてGに感謝を伝えるオトヒメ。一方でLとDは手で目を覆って嘆息した。

「そっちの二人もそれでいいか?」
「何にも聞かされていないのに判断できませんよ、センパイったらいっつもこうなんですから」
「そうでもない、彼女達の目下の悩みはあの黒い亡霊だろう。自力で何とか出来るのなら外部へ協力など求めないはずだ」

ロクに説明も受けていないのに状況を看破したDの知性に舌を巻く。何故Gがリーダーなのかフシギだが、恐らくは後継者育てが絡んでいると見た。

「だとしたらなおさらもっと詳しい話を聞かせてもらってから改めて判断させてください。僕らで力になれるかなんてわかりませんし」
「ああ、ああ!大丈夫!わたしから話せる内容聞いてから判断してもらって構わない!無理を言ってるのはこちらなんだからね!」

さてはて、三人は素直に協力してくれるものか。

【パンドラ・イン・ジ・オーシャン -11-:終わり:-12-へと続く

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