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仕事が嫌いな父と働きたかった母へ

私の父は、今64歳。60歳で仕事を退職し、今は毎日好きなことをして過ごしている。母は今61歳。私が生まれた頃からずっと専業主婦だった。

仕事が嫌いな父

父はずっと仕事が嫌いだった。私が社会人になってからも、

「仕事が嫌になったらやめても良い」
「無理に働かなくても良い」

と、仕事を無理にしなくて良いよ、ということを私によく言っていた。私が、仕事が楽しいことを伝えると「楽しいんか、それならかまへんけど…」と不思議そうに笑っていた。

父と母のけんか

そしてある日、父と母がけんかしていた時のことがとても印象に残っている。

父「あんな仕事、人間がやるもんじゃない!人間はもともと働かんでもええんや!」

工場で力仕事をしていた父は、自分の仕事がずっと嫌いだったようで、なんでこんな仕事をしなければいけないんだろう、という思いで何十年も、60歳になるまで、我慢して働いてきたことがこの言葉につまっていた。

そしてその父の発言に対して母は、

「楽しく仕事してる人だっておるわ!私だって仕事やめずに、ずっと働きたかったわ!」

母は社会人を7年ほど経験し、結婚と出産を機に退職し、専業主婦になったそうで、仕事が好きだったこと、会社の人に自分が必要とされることが楽しかったこと、専業主婦として何十年も過ごしてきたことに、少し後悔があるかのような発言をしていた。

この父と母の発言を聞いたとき、悲しい気持ちでいっぱいになり、今でも思い出す度に涙が出る。

それは、何十年もの時を過ごしてきて、その時間の過ごし方に後悔をしている二人の気持ちを考えると、とても苦しいからだ。

環境を変えられなかった父と母

父も、仕事が嫌だったなら転職すれば良いし、母も専業主婦が嫌だったなら仕事をすれば良かったんだろうけど、子どもがいるから無理だ、年を重ねてしまったから無理だ、今の環境を変えるのは怖い、などといった様々な気持ちから、環境を変えることができなかったのかなと思う。

もちろん、父と母自身の責任もあると思うが、時代背景もあるのかなと思う。今より昔の方が、転職のリスクは高かったのかもしれないし、田舎だったこともあり、家に入らない妻というものは親戚や近所の方からよく思われない空気感もあったのかもしれない。

そんな父と母に、私は、感謝の気持ちでいっぱいです。

我慢して働いてくれた父のおかげで、不自由なく育つことができ、楽しい学生時代を過ごしていたし、専業主婦でいてくれた母のおかげで、いつでも家に母がいて、寂しい思いをしたことなんてない。この私の気持ちを伝えることで、少しでも父と母が、頑張ってきてよかった、と思ってくれたら良いなと思いつつ、まだ恥ずかしくて伝えることができていません。いつ伝えようかな・・・。

後悔のない選択を

今の時代は昔より、仕事を選択しやすくなっていると思う。楽しいと思える仕事を、人生の道を、選択していたいなと思う。そして少しでも多くの方が、私の父や母と同じように、何十年もの間しんどい気持ちで過ごすことがないように、仕事が嫌ならやめて、少しでも楽しいと思える仕事を選択してほしいなと思います。

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