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SLRとラセーグテストはイコールではない

今回は、SLRとラセーグテストについての解説をしていこうと思います。

ところで、みなさんはSLRとラセーグテストを同じものだと認識していないですか?

僕も学生時代はこれ同じテストじゃない?なんて思っていましたが、2つに分けられている理由がちゃんとあるんです。

読み終わった後に、SLRとラセーグテストの違いを迷わず答えられ、臨床に活かせるように簡単にまとめていきます!


SLRとラセーグテストの方法

まず前提として、SLRとラセーグテストは=ではなく≒です。

≠とまではいきませんが、手技から両者は違いがあります。

SLR

【実施方法】
検査する下肢を股関節中間位として、踵の下を手で支える。他方の手は膝関節伸展位を保持するために膝蓋骨の上に置くか、骨盤の回旋、挙上を防ぐために上前腸骨棘に置く。健常側では70~90°まで疼痛をともなわずに挙上可能である。
【陽性兆候】
挙上途中で坐骨神経の走行に沿った疼痛が出現する。

出典 千住秀明,中島喜代彦:理学療法評価法 第3版.2014;234.

つまり、SLRとは下肢伸展挙上を他動的に加えた際に坐骨神経痛の有無を評価する方法となります。

出典 千住秀明,中島喜代彦:理学療法評価法 第3版.2014;234.

ラセーグテスト

【実施方法】
背臥位で対象者の膝を屈曲させて同時に股関節を屈曲させ、次に股関節は屈曲したままで膝を伸展させる。

出典 千住秀明,中島喜代彦:理学療法評価法 第3版.2014;234.

つまり、SLRの手技に加えて、第2手技として膝関節・股関節屈曲位での疼痛評価を行うものがラセーグテストということになります。

書籍によってはSLR=ラセーグテストとされていることもありますが、正確には、ラセーグテストが第1と第2手技に分けられており、第1手技に当たるのが先に述べたSLRであり、第2手技が膝関節屈曲をさせる方法とされています。

出典 森本忠嗣:Straight Leg Raising test(SLRテスト)の定義の文献的検討.日本腰痛会誌,2008;14(1):96-101.

評価からわかること

SLRテストもラセーグテストもどちらにおいても、目的としているのは坐骨神経痛の鑑別です。

ただ、手技が2つに分けてある理由としては、坐骨神経痛を中枢由来なのか末梢由来なのか鑑別するために分けられています。

SLRテストでは、股関節伸展筋群と膝関節屈筋群の伸張を伴う手技であるため、ヘルニア由来の坐骨神経痛もしくは、殿筋群及びハムストリングスの伸張痛や梨状筋症候群が疑われます。

さらにラセーグテストを加えることで、殿筋及びハムストリングスの伸張を軽減させる手技であるため、これらの筋を除して疼痛評価をすることが可能となります。

つまり、ラセーグテスト陽性の場合は、ヘルニア由来の疼痛が濃厚ということになります。

まとめ

SLRテストは簡便な評価なので、ラセーグと混同されやすいですが、評価の意味を理解すると、何を見たい評価なのか明確になりますね😊

まとめると、
SLR:陽性、ラセーグテスト:陽性の場合、
坐骨神経痛は中枢のヘルニア由来の疼痛であることが疑われる。

SLR:陽性、ラセーグテスト:陰性の場合、
坐骨神経痛は末梢の筋伸張痛or梨状筋症候群であることが疑われる。

ただ、末梢由来のものを疑う場合、筋伸張痛より坐骨神経の走行に沿った筋の圧迫による神経滑走不全の方が多いように思います。

そのため、筋膜的に連結のある腓腹筋なども併せて診ることができると、より坐骨神経痛の治療がうまく進められると思います♪

それでは、今回はこの辺りでおしまいです。

今後も皆様の役に立つ情報をお伝えできればと思います。

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