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日本人がつい「これは社会人として当たり前だ」と思い込んでしまうこと

日本人が海外に赴任されるとき、多くの方は現地の文化や風習を事前に予習してから現地に赴きます。

それでもいざ現地に行くと「文化の違い」に戸惑い、「事前に勉強したはずなのに、現地の人の行動が全く理解できない!」といった悩みを抱える人が後を絶ちません。

頭では分かっているのに異文化に適応できないという問題に直面するわけですが、実際にお話しを聞くと「適応できていない」のは生活習慣や商慣習といった「目に見える文化の違い」に適応できないのではなく、もっと根底にある目に見えない暗黙の前提の違いに気づかないことにあるとわかりました。

平たく言えば、日本では「社会人として、あるいは人として当たり前のこと」が海外ではそもそも当たり前ではない、ということが認識できないと異文化に適応できないわけです。

そこで、日本人がつい「これは社会人として当たり前だ」と思い込んでしまうことをいくつか挙げてみたいと思います。

人に迷惑をかけない

日本では「人に迷惑をかけない」というのはほぼ「宇宙の真理」のように扱われているため、「人に迷惑をかけてもいい」という文化、もしくは「他人の迷惑」という概念自体が存在しない文化がこの地球上にあることを想像することができません。

国によっては法律とその国でのタブーさえ犯さなければ「他人はどうでもいい」というところもありますので、何も知らずにそのような国に赴任すると「何なんだコイツらは?」とストレスを抱えることになります。

もっとも現地の文化に慣れてくると「迷惑なんてお互いさまだ!」と開き直れるので、むしろ日本に居るときより気楽に生活できるという人も出てきます。

いずれにしても「人に迷惑をかけない」というのは「世界共通の当たり前」ではないということです。

時間(例:締め切り)を守る

同じような話が時間についての考え方です。

日本では例えば上司やお客様から「来週の木曜日の17時までに出してください」と言われると、それは自動的に「絶対厳守」の締め切りになります。

木曜日の16時50分の時点でしれっと「まだ終わっていないので、あと3日ください」なんて言おうものなら大変なことになります。

ところが時間にルーズな文化になると、当日になって「やっぱり間に合いません」と言われても「あ、そう」で済まされることがあります。

「何で遅れることを事前に言わないんだ!」と怒ったところで相手は「そんなの仕方ないじゃん」と開き直られるだけです。

もしどうしても締め切りに間に合わせてほしいなら、予め「これはこの日時までに絶対必要です。守ってくれたら報酬を支払います」と交渉したほうがいいでしょう。

ミスやトラブルはあってはならない

日本で顧客からの注文を間違えて納品したり、納めた品物に不良品があると大問題になります。

それころ偉い人同伴で菓子折りを持って謝罪に伺い、「再発防止策」をしっかりお伝えしないと許してくれません。

その感覚で海外に赴任したときに現地の人のミスやトラブルに対して「すぐに原因の究明と再発防止策を考えるように」なんて言ってしまうと、下手をすれば相手から「はっ?その程度のミスやトラブルなんて放っておけばいいんだよ」なんて言われかねません。

何でもかんでも「原因の究明と再発防止策」ではなく、コストと効果を天秤にかけて考えるという文化もあることを理解したうえで、その国での合理的な判断を下したほうが良いでしょう。

日本の「当たり前」を要求してはいけない、というわけでもない

日本人が「これは社会人として当たり前だ」と思っていることを3つ挙げましたが、別にこれが悪いというわけではありません。

これはこれでメリットがありますので、文化の違う国で日本の「当たり前」を導入するという選択肢はアリです。

ただし、日本人にとっては「当たり前すぎること」なので普段から意識することはなく、いざ「何でそうするのか」を説明しろと言われてもうまく説明できません。

文化の異なる国に赴任するときは無意識のうちに「当たり前」だと思い込んでいることが相手にとっては「当たり前ではない」ことを自覚し、客観的な視点から「なぜそれが日本では当たり前になったのか」考えると良いと思います。

外国人から「なぜ日本人は行列に割り込まないのか」聞かれたときにうまく説明できれば、案外異文化に適応できる資質は高いのかもしれません。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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