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アルケミスト〜僕の星は誰にも奪えない〜#7

第七話〜彼女の気持ち〜

【七枚目のカード・不明】

少しだけ、秋の匂いがした。夏の暑さを嘆いていたはずなのにいつも夏の終わりは切ない気持ちになる。毎日僕を訪ねて来ていたカルサーはもう3日も来ていない。どうしたのだろうかと不安になってしまうけど、街路樹はもうすぐ黄金色の実をつける。過ぎゆく日々を嘆くよりもこれからの日々を輝かせればいい。僕らはどうせ星になるのだから。

僕らはいつも判らないことを知りたがる。でも僕らは夏が終わることを知っている。

答えが判っているからって、哀しくならない訳じゃない。

大丈夫、まだ夏は傍にいてくれる。太陽はMCの辺り、今日も空は高い。もしもこの世界に女神ヴィーナスの息子が存在するならば世界中に恋人たちが存在することになる。僕らは天使のDNAを持っている。天使が僕らを操っているのならば。

楽園を出た後、アダムとイヴは幸せになれたのだろうか。その問いは危険をはらんでいる。だって、彼らの後ろにはいつも蛇がいるから。僕は不安になった。プエラを疑ってしまった。

僕の心は変容(アルケミー)した。

この青い空の下、僕らはどこへ行くんだろう。行く宛ても行き先も判らずに。僕は道に迷ってしまったようだ。来たことのない道の端々には占いか何かをしていそうな露店があちこちでそこに並んでは目を輝かせている人たちが見える。
そこから、何やら声が聞こえる。

ホロスコープはシナストリーが相性、トランジットやプログレスは時期、相手の気持ちを知りたいのなら卜占がいいし、それならタロットもいいけどルノルマンもお勧め。紳士と淑女があるし、顔の向きで気持ちも分かりやすいから…。

僕はロバのような耳で聞き取りながら、話している人の顔を見た。ライオンの立髪のような黄金色の長髪に雪のような白い肌、小さくて丸い眼鏡をした薄くて大きな口元。そこから漏れる声は優しくて包まれるような落ち着いた声をしている。

その人は占い師らしかった。鑑定が終わって、人が去っていく時、僕と目が合った。

ニコリと笑う占い師。僕はなんとなく占いをしてもらうことになった。

「どうやら、君の想い人は、君のことをずっと想い続けているようだね。

二人の顔は向かい合っているし。その顔の間には本のカードが出ているからもっと本を読みなさい。近くの良い図書館を教えてあげよう。」

どうやら僕は沢山勉強をして、魅力的になってプエラの気持ちを向かせる作戦という流れになってしまった。僕はすっかりその気になって、その図書館に挑んで行くのだった。

なるべく難しい本がいい。僕はカール・グスタフ・ユングのコーナーで分厚い本を手に取った。「ヨブへの答え」「アイオーン」「心理学と錬金術」…。

大学と併設されたその図書館の本はどれもすこぶる難しい。だって僕は中学生。大学生だって勉強しながら読むんだもの…。僕は敗北感たっぷりでその本を棚に返した。その時隣の大人にぶつかる。

金色の髪から香るミントの香り。黄金色の髪がさらさらとほどけて、顔が見える。

「やあ、また逢ったね。君はユングがお好き?

私は実はこの大学でユングの研究をしている教授なんだよ。今から講義をするよ。君もおいで。」

僕はそのままアンスール教授の講義室を訪ねるのだった。

〜次回〜
#7.5「ひとつの青い照明」
お楽しみに!


PS
皆さま、
祖父のために沢山お祈り頂き、、
本当にありがとうございます!
祖父は、入院時から危険な状態が続き、
いつでも覚悟をして下さいと
いつも言われるのですが、
今も生きております…!
実は祖父はカニババと言われる
死期に出ると言う排泄物が出ても、
腎臓がほぼ不全で血中濃度の毒素が
凄い値でも、、、生きてます!!泣

これは皆さまが祈ってくれた奇跡です!

医師からも、エビデンス的に珍しい、、
症例なのだと思います。

どうかこのまま、再生してくれますように!

皆さま、ありがとうございます!
私も頑張って描きます!!
特に次回の#7.5は、
私が描きたいテーマを
アンスール教授が語ってくれます!
ちょっと長くなってしまったのですが、
とても良い話になったので、
是非読んで頂きたいです!

ですので、次回をお楽しみにして下さい!

それでは、6日にお逢いしましょう!
ありがとうございます!

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